住まい / 2026年8月28日

サ高住と有料老人ホームの違いを磐田の目で見る

サ高住と有料老人ホームの違いを磐田の目で見るの内容を表したAI生成イラスト
記事の内容をもとに作成したAI生成イラストです。実在する人物・施設ではありません。

「サ高住と有料老人ホーム、結局どこが違うんですか」

いちばん大きな違いは契約の形です。サービス付き高齢者向け住宅は高齢者住まい法にもとづく登録制の賃貸住宅で、住まいの契約が土台。有料老人ホームは老人福祉法にもとづく施設で、住む部分とサービスがひとつの契約にまとまっているものが多くあります。設備の豪華さではなく、契約書が何枚に分かれているかで見分けてください。

サ高住は住宅、有料老人ホームは施設。根拠になる法律が違う

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームは、そもそも別の法律から生まれています。サービス付き高齢者向け住宅は「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(高齢者住まい法)にもとづく制度で、事業者が都道府県などに登録して運営します。有料老人ホームは老人福祉法にもとづくもので、老人を入居させ、介護・食事の提供などの便宜を供与する事業を指します。

この違いは、パンフレットの写真では見分けがつきません。外観も居室も食堂も、似た造りになることがあります。見分けるところは1つで、契約書が「賃貸借契約+サービス契約」に分かれているか、ひとまとめの「入居契約」になっているかです。私は不動産の仕事もしているので、この点は最初に見ます。

全国の登録は291,009戸、静岡県は5,970戸(2026年7月末時点)

国土交通省のサービス付き高齢者向け住宅情報提供システムが公開している「サービス付き高齢者向け住宅の登録状況」によると、令和8年(2026年)7月末時点で全国の登録は8,317棟・291,009戸です。同じ資料の都道府県別の表で、静岡県は176棟・5,970戸となっています。

この静岡県の数字を、私の商売の感覚に翻訳してみます。1棟あたりの平均戸数は5,970戸÷176棟で約33.9戸(私の計算)。私が運営しているサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」は46戸なので、県内の平均よりやや大きいほうに入ります。県内の全戸数5,970戸に対して46戸は約0.77%(私の計算)。県内の全戸数は、うちと同じ46戸の建物にすると約130棟分にあたります(5,970戸÷46戸。私の計算)。

都道府県別で見ると、大阪府が857棟・33,581戸、北海道が527棟・23,684戸、東京都が422棟・18,320戸。静岡県の5,970戸は、全国の中では中位にあたります。

比べるべきは設備ではなく、契約・費用・介護の入り口の3つ

見学に行くと、どうしても居室の広さや食堂のきれいさに目が行きます。ただ、後から効いてくるのは間取りではなく契約の構造だと私は考えています。制度上の違いを、種別の一般論として表にします。個別の住宅・ホームによって実際の運用は変わります。

比べる点サービス付き高齢者向け住宅有料老人ホーム
根拠になる法律高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)老人福祉法
位置づけ登録された賃貸住宅入居させて便宜を供与する施設
契約の形賃貸借契約と、サービスの契約が分かれるのが基本住む部分とサービスがひとつにまとまるものが多い
必ず付くサービス状況把握(安否確認)と生活相談類型により異なる(介護付・住宅型・健康型)
介護保険サービス別契約。要介護認定とケアプランが前提介護付では包括的に提供される類型がある

「介護付」と名乗れるのは、都道府県から特定施設入居者生活介護の指定を受けたものだけです。名前に「介護」が付いているかどうかで、介護保険の使い方がまるごと変わります。パンフレットの表紙の言葉ではなく、重要事項説明書の類型の欄を見てください。認知症が進んでいる場合に候補へ挙がるグループホーム(認知症対応型共同生活介護)との違いは、サ高住とグループホームの違い|磐田で選ぶならで整理しました。

サ高住で必ず付くのは、安否確認と生活相談の2つだけ

サービス付き高齢者向け住宅の「サービス付き」を、介護サービス付きの意味だと受け取る方がいます。制度上必ず付くのは、状況把握(安否確認)と生活相談の2つです。入浴の介助も、通院の付き添いも、この2つには含まれません。

私が運営しているサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」も同じです。ふじがおか見付デイサービスとふじがおか訪問介護センターは、連理枝とは別のサービスで、契約も別です。連理枝に住んでいるからデイサービスが付いてくる、という仕組みにはなっていません。同じ会社が運営していても、住まいと通所と訪問は3つの別々の契約です。この点は、うちのパンフレットを見た方から実際によく質問されます。

通所と訪問の役割分担はデイサービスと訪問介護の違いは?磐田での選び方に整理しました。

費用は「毎月いくら」ではなく「何が含まれていないか」で比べる

住まいの費用を比べるとき、月額の総額を横並びにしても答えは出ません。含まれている項目が住宅・ホームごとに違うからです。うちの数字を例として開きます。「ふじがおか見付連理枝」の共益費は月38,000円、月額はお一人で140,600円〜160,600円、ご夫婦で172,600円〜173,100円です。

この月額に含まれているのは、パンフレット記載の家賃、共益費、基本サービス費、1名分の食事代。含まれていないのは、介護保険の自己負担、個別の水道光熱費、通信料です。つまり要介護度が上がって介護サービスを増やせば、その分は月額の外側で増えます。

比較表を作るなら、金額の欄より「含まれていないもの」の欄を先に埋めてください。特別養護老人ホームなど介護保険施設との費用の考え方の違いはサ高住と特養の費用差、2026年8月の改定でどう変わるに書きました。介護保険の自己負担が1割か2割かは介護保険2割負担の拡大は?磐田の家族が今できる確認で触れています。

運営する側から言うと、サ高住は「向かない人がいる」

私は磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅を運営しています。売っている側です。だから先に、自社に不利なことを書きます。以下は特定の入居者の事例ではなく、運営する側としての私の考えです。

国の60歳などの入口と住宅ごとの条件を分ける手順は、サ高住の入居条件|60歳と独自条件を確認で整理しました。

サービス付き高齢者向け住宅は賃貸住宅なので、住む方の自由度が高いのが良さです。同時にそれは、自分で決めて自分で動く場面が残るということでもあります。介護の必要度が上がり、24時間の見守りと介助が前提になってくると、住宅という枠組みでは追いつかなくなる場面が出てきます。そのときは、介護付の有料老人ホームや介護保険施設のほうが合うと私は考えています。

正直に言うと、私はこの説明をどこまで先に出すか、いまだに決めきれていません。先に「向かない場合もあります」と言えば、うちに来ていただける可能性は下がります。ただ、入ってから合わないと分かって住み替えるほうが、ご家族の負担も費用も大きい。だから先に言うことにしています。それでも毎回、言い方に迷います。

今日できる確認は3つ

住まいを今日決める必要はありません。パンフレットを取り寄せる前に、手元で終わる確認が3つあります。

  • 気になっている建物が、どちらの種別か調べる。サービス付き高齢者向け住宅なら、国土交通省の情報提供システムに登録情報が載っています。載っていなければ、有料老人ホームか別の種別です。
  • 重要事項説明書の類型の欄を見る。「介護付」と名乗れるのは特定施設入居者生活介護の指定を受けたものだけです。ここで介護保険の使い方が分かれます。
  • 月額に「含まれていないもの」を書き出す。介護保険の自己負担、水道光熱費、通信料、おむつ代。含まれない項目の数が、住み始めてからの上振れ幅になります。

3つとも、電話をかけずに終わります。うちに見学に来ていただく必要もありません。介護の順番そのものを押さえたい方は介護を知るから、うちの住まいの内容は住まいのページにあります。決めるのは、材料が揃ってからで構いません。

軽費老人ホームも候補に入れて入居対象と介護の受け方を比べたい場合は、ケアハウスとサ高住の違い|磐田で住まい選びで確認できます。

見守りのある別の住まいも比較する場合は、居住サポート住宅とサ高住の違いで対象と支援の範囲を確認してください。

関連する確認として、サ高住の夜間対応|磐田で確認する契約の範囲では、ご家族が次に確かめたい点を整理しています。

よくあるご質問

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームは、何がいちばん違いますか。

契約の形が違います。サービス付き高齢者向け住宅は高齢者住まい法にもとづき都道府県などに登録された賃貸住宅で、住まいの契約が土台です。有料老人ホームは老人福祉法にもとづく施設で、住む部分と受けるサービスがひとつの契約にまとまっているものが多くあります。どちらが向くかは介護の必要度と、家族がどこまで手を出せるかで変わります。

サービス付き高齢者向け住宅は全国にどれくらいありますか。

国土交通省のサービス付き高齢者向け住宅情報提供システムが公開する「サービス付き高齢者向け住宅の登録状況」によると、令和8年7月末時点で全国8,317棟・291,009戸が登録されています。同じ資料の都道府県別の表では、静岡県は176棟・5,970戸です。登録状況は毎月更新されるため、最新の数値は同システムでご確認ください。

サービス付き高齢者向け住宅に入ると、介護サービスも自動的に付いてきますか。

自動的には付きません。サービス付き高齢者向け住宅で必ず提供されるのは、状況把握(安否確認)と生活相談のサービスです。デイサービスや訪問介護などの介護保険サービスは別の契約になり、要介護認定とケアプランが前提です。どの事業所を使うかを選べるかどうかは住宅によって違うので、契約前に確認してください。

著者・大石浩之(富士ヶ丘サービス代表取締役・宅地建物取引士)の顔写真

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール

参考にした公式情報

制度・自己負担・利用条件は個別の状況と時期で変わります。ここに書いたのは2026年8月28日時点の一般的な整理で、種別ごとの制度上の違いです。個々の住宅・ホームの運用や契約内容は建物ごとに異なります。1棟あたりの平均戸数、県内全戸数に占める割合は登録戸数から私が計算したもので、公表値ではありません。「ふじがおか見付連理枝」の月額はパンフレット記載の家賃・共益費・基本サービス費・1名分の食事代を含み、介護保険自己負担・個別水道光熱費・通信料は含みません。ご本人の状況にあてはまるかどうかは、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、市の窓口でご確認ください。

有料老人ホームの囲い込みと、住まい・介護サービスを分けて確認する質問は、有料老人ホームの囲い込みとは?2026年改正の3項目にも整理しました。

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