
特養と老健は、何が違いますか。
特養は常時介護が必要な方の生活を長く支える場、老健は在宅復帰を目指してリハビリや介護を行う場です。2024年10月1日現在、介護老人福祉施設は8,621、介護老人保健施設は4,214で、合計1万2,835施設。ただし地域密着型特養は別掲で、この合計は介護保険施設全体の総数ではありません。
特養は生活、老健は在宅復帰が役割の中心
特別養護老人ホームは介護保険上「介護老人福祉施設」、老健は「介護老人保健施設」です。似た略称でも、入所後に目指す方向が違います。
| 比較 | 特養 | 老健 |
|---|---|---|
| 正式な種別 | 介護老人福祉施設 | 介護老人保健施設 |
| 役割の中心 | 常時介護が必要な方の生活を支える | 在宅復帰へ向けたリハビリ、介護、医学的管理 |
| 次に確認すること | 入所要件、待機、生活内容 | 入所目的、判定時期、退所後の暮らし |
特養は原則として要介護3以上が対象ですが、個別条件があります。老健は「終の住みか」と同じ前提で探す施設ではありません。本人の状態、利用可否、費用は施設と担当のケアマネジャーへ確認します。
家族会議では「特養か老健か」を最初の問いにしない方が整理できます。先に、現在の家へ戻る可能性、戻るなら必要な介助、戻らない場合に長く暮らす場所、医療とのつながりを一項目ずつ書きます。その答えに照らして、二つの施設種別の役割が合うかを見ます。
老健を候補にするなら、在宅復帰という言葉を「自宅へ戻る」だけに狭めず、施設が想定する次の暮らしを具体的に聞いてください。家族が担う介助量、住宅の段差、通所や訪問を組める曜日まで確認して初めて、退所後の予定になります。特養を候補にする場合も、入所後の生活、看取りへの対応、家族との連絡方法を候補施設ごとに聞きます。
1万2835は二つの種別だけを足した数字
厚生労働省の令和6(2024)年介護サービス施設・事業所調査によると、2024年10月1日現在、介護老人福祉施設は8,621、介護老人保健施設は4,214でした。単純合計は1万2,835です。
数字を家族の感覚に直すと、二つの合計の約67%が介護老人福祉施設、約33%が老健です。およそ2対1ですが、近い方が本人に合うとは限りません。地域の候補へ絞れば全国比とは変わります。
注意したいのは、同じ表に地域密着型介護老人福祉施設2,551が別掲されていることです。8,621を「特養の全て」と言い切れません。介護医療院917なども合計に含めていないため、1万2,835を介護保険施設の総数とも呼べません。老健と介護医療院の役割は、介護医療院と老健の違い|2024年の施設数で比較で分けて確認できます。
良い点は、役割の違いから候補を減らせること
特養と老健の役割を先に分けると、家族は「空いている所」だけで探さずに済みます。長く生活を支える場が必要なのか、在宅復帰への調整期間が必要なのかを話せます。
費用の決まり方はサ高住と特養の費用差、食費・居住費の負担軽減は介護保険負担限度額認定証で分けて確認できます。サ高住は住まい、特養と老健は介護保険施設で、契約の性格も同じではありません。
老人保健施設は、有期の役割をもっとはっきりさせるべきだ
ここからは事実ではなく、私の注文です。老人保健施設が元の有期期間の入所に戻すべきである。3ヶ月とか長くても6か月。言い方は荒いですが、老健の「在宅復帰を目指す」という役割が家族へ曖昧に伝わる状態を、私はよいと思いません。
ただし、今回の一次情報は施設数の統計です。3か月や6か月という現行の一律上限は確認できませんでした。この数字を制度上の期限として家族へ伝えてはいけません。私の意見と、現在の個別判断は分けます。
私にも迷いがあります。在宅へ戻る条件が整わないのに、期限だけを強くすれば、本人と家族が次の行き先を失います。それでも、入所時に「何のための期間か」「いつ見直すか」「戻れない場合は誰と相談するか」を曖昧にしない線引きは要ります。
見学では部屋より、退所後の話を先に聞く
特養と老健を比べるとき、今日できる確認は候補施設へ同じ三問を聞くことです。見学の基本は介護施設の見学で確認したい5つのことにもまとめています。
- この施設へ入る目的を、本人の状態に照らしてどう考えるか。
- 状態や今後の暮らしを、いつ、誰と見直すか。
- 退所や移動が必要になった場合、次の相談を誰がつなぐか。
同じ「入れる施設」でも、半年後の行き先が違えば家族の準備は変わります。費用見積りも同じ要介護度、同じ居室条件で取り、月額に含むものと含まないものを分けます。
運営する側でも、特養か老健かを空きだけで決めない
私はサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営しています。住まい、通所、訪問は別サービスで、私は提供側として利害があります。
サ高住を運営する側でも「うちへ」と先に案内しません。特養、老健、サ高住では役割が違います。この記事は特定の利用者の体験ではなく、施設の役割を曖昧にしない方がよい、という私の意見です。
別種別も含めて比較する場合はサ高住とグループホームの違いも確認できます。今日決める必要はありません。担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターに確認してください。
よくあるご質問
特養と老健では、どちらが長く入所できますか。
一般的な役割では、特養は常時介護が必要な方の生活を支える施設、老健は在宅復帰を目指してリハビリ等を行う施設です。ただし、個別の入所期間を一律に断定できません。本人の状態、施設の判定、地域の受入れ状況を候補施設へ確認してください。
老健は3か月で必ず退所しますか。
今回確認した2024年の施設数統計には、3か月や6か月という一律の上限は書かれていません。老健は在宅復帰を目指す役割ですが、退所時期は本人の状態や施設の判定で異なります。入所前に、判定の時期、家族への説明、次の暮らしの相談方法を聞いてください。
特養と老健の費用はどちらが安いですか。
施設名だけで一律には比べられません。要介護度、所得、居室、食費・居住費の負担軽減、加算などで変わります。月額の見込みは候補施設から同じ条件の見積りを取り、介護保険負担割合証と負担限度額認定の対象を確認してください。

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。プロフィール
参考にした公式情報
利用可否、入所期間、費用、自己負担は本人の状態、所得、施設、地域、時期で変わります。この記事の期間に関する記述には筆者の意見を含み、制度上の一律期限を示すものではありません。担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、候補施設へ確認してください。