住まい選び / 2026年9月4日

有料老人ホームの囲い込みとは?2026年改正の3項目

親子がテーブルの上に並べた複数の介護サービスの選択肢を比べているイラスト
記事の内容をもとに作成したAI生成イラストです。実在する人物・施設ではありません。

「紹介された介護事業者を断ったら、親の入居まで断られるのでしょうか」

有料老人ホームの囲い込みとは、住宅型ホームが併設・隣接する特定の介護サービス事業者へ限定・誘導し、入居者の選択を狭める問題です。厚生労働省の2026年法律第51号の概要は、①事業者間の独立性確保、②新しい相談支援、③紹介事業者の認定制度を示しました。原則施行日は2027年4月1日です。契約前は、住まいの契約と介護サービスの契約を分けて確認します。

囲い込みは、住まいと介護の選択が一つに見える状態

有料老人ホームの囲い込みは、住宅型ホームの入居者が、併設・隣接する介護事業者の利用へ限定・誘導され、本人の主体的な選択が制約される問題です。厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)の概要」は、過剰な介護サービスの提供も課題として挙げています(2026年9月4日確認)。

有料老人ホームには、住まいと介護サービスを一体的に提供する「介護付きホーム」と、必要な介護サービスを外部事業者から利用する「住宅型ホーム」があります。住宅型ホームは、住まいの契約と介護保険サービスの契約を同じ事業者が扱う場合もありますが、制度上は同じ契約ではありません。

ここで言い切ります。親御さんが、紹介された事業者を選ばない希望を伝えること自体はできます。ただし、希望を伝えられることと、入居できるかどうかは別の話です。2026年9月4日時点では、改正の具体的な登録対象や運用細目は、今後の政令・省令などを待つ部分があります。

2026年改正の1項目目は、事業者間の独立性確保

2026年法律第51号の概要は、登録制対象の住宅型ホームについて、相談支援事業者と介護サービス事業者の独立性を確保する措置を導入するとしています。

具体的には、特定の介護サービス事業者の利用を入居要件にすることの禁止、ケアマネジメントの独立性確保に関する方針の策定・公表、会計の区分経理などです。紹介された事業者を使うかどうかを、入居の条件と切り分けて考えやすくする方向です。

ただし、2026年の概要資料は法律の全条文や、個別ホームの登録時期まで示す資料ではありません。相談員に「外部のケアマネジャーや介護事業者を選べますか」と聞き、回答を口頭だけでなく契約書や重要事項説明書のどこに書くか確認してください。

2項目目は、ホームと対等に話せる新しい相談支援

登録制対象の住宅型ホームの入居者に対して、ホームと対等な立場でケアプラン作成と地域生活相談を行う「登録施設介護(予防)支援」を新設する方向です。

ここでいう地域生活相談は、地域活動への参加などを支援するものです。介護の手配だけでなく、本人が地域でどう暮らすかを相談する窓口を、ホームの都合だけで決まらない位置に置く考え方です。既存の居宅介護支援事業者は、当面、新たな指定申請を不要とする予定も資料に記されています。

これは入居者にとって、相談先が増えるという意味があります。一方で、誰が対象になり、利用者負担がどのように決まるかは、概要資料だけでは個別に確定できません。制度が始まった後も、担当のケアマネジャーに確認する段取りが要ります。

3項目目は、入居者紹介事業者の認定制度

3項目目は、有料老人ホーム協会による入居者紹介事業の優良事業者認定制度です。紹介会社の説明や紹介の仕方を、一定の基準で見分ける入口を設ける方向です。

紹介会社を通したから安心、認定があるからすべての条件が合う、とまでは言えません。紹介料の有無や金額、誰が誰に支払うのか、紹介先が一社に限られるのかは、制度とは別に確認が必要です。紹介を受けた家族が、候補を比較する材料を持ち帰れるかが実務上の分かれ目です。

改正の概要資料に書かれた認定制度は、2026年9月4日時点の方向です。認定基準、開始時期、認定事業者の一覧は、同資料だけでは裏取りできません。ここは「制度があるから大丈夫」と急いで決めないでください。

良い点は、選ぶ権利を制度の言葉にしたこと

私が良いと思うのは、これまで契約書の読み方や相談者の力量に任されがちだった問題を、事業者間の独立性という言葉で整理したことです。特定事業者の利用を入居条件にしない、という線を示しただけでも、家族が質問する根拠になります。

もう一つは、相談支援をホームと対等な立場に置こうとしている点です。住まいを決める相談と、介護サービスを組む相談が同じ場所で進むと、家族は断りにくくなります。第三者性を意識した相談先が制度に入ることは、選択を守る材料になります。

その上で、一事業者として注文したいのは、施行日までの説明を家族に分かる形で出してほしいことです。原則施行日は2027年4月1日ですが、登録対象や書面の様式が後から示されるなら、家族は今日の見学で何を見ればよいか分かりません。施行前でも、現在の契約条件と選択の範囲を説明する案内が必要です。

運営する側から言うと、選ばれない可能性を残す

私は大石浩之(磐田市/不動産業)です。富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役として、サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営しています。住まい・通所・訪問は別のサービスで、契約も別です。私はサービスを売る側なので、利害を隠さずに書きます。

以下は体験ストックにある特定のご家族の実話ではありません。運営者としての私の意見です。入居相談で「入ったら、介護はここを使うのですか」と聞かれたとき、曖昧な返事をしてはいけない。選ばれない可能性を残した説明を、最初にするべきです。

私にも迷いがあります。ホームの側には、入居後の生活を早く安定させたい気持ちがあります。しかし、その都合でケアマネジャーや介護事業者を選ぶ余地を狭めれば、本人の暮らしより事業者の段取りが前に出ます。うちのサービスを選ばない場合でも、家族が契約内容を理解して決めたなら、その判断を尊重するのが運営側の仕事です。

見学・契約前に確認する4つの質問

有料老人ホームを見学するときは、説明を聞いて終わりにせず、次の4つを紙に書いて聞きます。回答が曖昧なら、契約を保留して持ち帰って構いません。

  1. 介護サービスの事業者は、本人や家族が選べますか。候補を複数出せるか、外部事業者を選んだ場合に入居条件や費用が変わるかを聞きます。
  2. ケアマネジャーは誰が選び、誰と契約しますか。ホームの職員なのか、併設事業所なのか、居宅介護支援事業所なのかを分けて確認します。
  3. 住まいの契約と介護サービスの契約は別書面ですか。解約、退去、介護サービスの変更が、それぞれどの条件で動くかを見ます。
  4. 説明はどの書面の何ページにありますか。口頭説明だけでなく、重要事項説明書や契約書の該当箇所を示してもらいます。

見学時の書面確認は、介護施設の見学で確認したい5つのことにも整理しています。サ高住と有料老人ホームの契約の違いは、サ高住と有料老人ホームの違いを磐田の目で見るを参照してください。ケアマネジャーを替えたい場合の届出は、ケアマネジャーの変更方法と選び方で確認できます。

今日できる確認は、契約書の1行を探すこと

今日、入居先を決める必要はありません。資料を手元に置き、「介護サービス事業者の選択」「ケアマネジャーの選択」「入居条件」の3語を探してください。見つからなければ、ホームへ質問を送り、回答を紙やメールで残します。

回答が「入居後に決めます」だけなら、誰が、いつ、何を基準に決めるのかを追加で聞きます。候補を持ち帰れない、契約書を見せてもらえない、介護サービスの変更条件が分からない。そのどれかが残るなら、決めないことも選択肢です。

私たちの3サービスについて相談する場合も、サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、通所介護「ふじがおか見付デイサービス」、訪問介護「ふじがおか訪問介護センター」は別々に説明します。電話または相談フォームを選べますが、利用を前提にしない相談も受けています。

よくあるご質問

有料老人ホームの囲い込みとは何ですか。

住宅型有料老人ホームが、併設・隣接する特定の介護サービス事業者の利用へ限定・誘導し、入居者が介護サービスを選びにくくなる問題です。厚生労働省の2026年法律改正の概要は、過剰な介護サービスの提供も課題として示しています。

紹介された介護事業者を断れますか。

紹介された事業者を選ばないという希望は伝えられます。2026年法律第51号の概要では、登録制対象の住宅型ホームが特定事業者の利用を入居条件にすることを禁止する措置が示されています。施行前の個別契約は、入居条件と介護サービス契約を分けて確認してください。

2026年の改正はいつから始まりますか。

厚生労働省の概要資料では、改正の原則施行日は2027年4月1日です。ただし改正事項で異なるため、住宅型ホームの登録対象や具体的な手続きは、今後の政令・省令・自治体の案内を確認する必要があります。

著者・大石浩之(富士ヶ丘サービス代表取締役・宅地建物取引士)の顔写真

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール

参考にした公式情報

この記事は2026年9月4日に確認できた厚生労働省の改正概要資料をもとにした一般的な整理です。改正の施行日、登録対象、制度の詳細、契約条件、自己負担、利用可否は個別の状況と時期で変わります。入居や介護サービスの契約を決める前に、契約書の確認先を担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターにも相談してください。

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