
「父は60歳を超えています。サ高住には入れますか」
年齢だけで入居は決まりません。国の登録基準では、原則として60歳以上か、要介護・要支援認定を受けた方が対象です。ただし、申込みや契約の可否は住宅ごとの条件確認が必要です。本人と同居予定者の年齢・認定状況を伝え、独自条件を先に書面で聞いてください。
国の入口は「60歳以上」か「要介護・要支援」
サービス付き高齢者向け住宅の入居者資格は、年齢だけの一本線ではありません。高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則第3条は、原則として60歳以上の方、または60歳未満でも要介護認定・要支援認定を受けた方を対象にしています。
つまり「60歳未満だから対象外」とは限りません。反対に、60歳を超えたら自動的に入居できるわけでもありません。国の基準は、登録住宅に入る人の資格の外枠です。個々の住宅が申込みを受け、契約できるかという判断とは分けます。
現行規則には、認定市町村が生涯活躍のまち形成事業計画で別要件を定める例外もあります。磐田市の住宅にこの例外が適用されるかは、今回の一次資料では確認できませんでした。一般のご家族は、まず年齢と要介護・要支援認定の有無から確認すると整理しやすくなります。
私たちが運営するサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」は、最低年齢を60歳として案内しています。この一つの数字だけで、個別の利用可否までは決まりません。
同居者は「家族なら誰でも」ではない
サービス付き高齢者向け住宅で一緒に住める人の範囲も、国の規則に書かれています。資格を満たす本人が単身で住むか、定められた同居者と住む世帯が基本です。
同居者には、配偶者、60歳以上の親族、要介護・要支援認定を受けた60歳未満の親族が含まれます。配偶者には、婚姻届を出していない事実上の配偶者も含まれます。病気など特別な事情があり、都道府県知事が必要と認める人という区分もあります。
サービス付き高齢者向け住宅情報提供システムの公式FAQは、特別な事情の例に、入居者を介護する人や、入居者が扶養する児童・障害者などを挙げています。親族という一語で丸めず、誰が同居するのかを申込前に伝える必要があります。
住まいと契約の形を先に比べたい方は、サ高住と有料老人ホームの違いを磐田の目で見るもご覧ください。認知症対応型共同生活介護との対象者の違いは、サ高住とグループホームの違いで整理しています。
平均要介護度2.1は、個人の入居判定ではない
厚生労働省が2026年8月5日の会議で示した資料では、2024年の非特定サ高住の平均要介護度は2.1でした。意外なのは、この数字が入居条件を示すものではなく、自立の方を含むホーム・施設単位の平均だという点です。
「非特定」は、特定施設入居者生活介護の指定を受けていないサ高住という資料上の区分です。介護サービスが一切ないという意味ではありません。サ高住の住まいの契約と、訪問介護や通所介護などの介護保険サービスの契約は別です。
平均2.1を見て、「要介護2なら入れる」「要介護3なら断られる」とは読めません。2026年8月時点の全入居者を通算した個人平均でもありません。資料は2024年の実態を施設ごとに平均したものです。
数字は住宅の全体像を考える材料にはなります。ただし、目の前の親御さんの申込みに当てはめる物差しではない。ここは言い切ってよいと私は考えます。
良い点は、国の資格内で住宅が対象を明示できること
国の入居者資格は、60歳以上だけでなく、認定を受けた60歳未満の方にも入口を残しています。年齢だけで線を引かない点は、ご家族が住み替えを探すうえで良いところです。
国の公式FAQは、資格の範囲内なら、住宅が「入居時自立」や「要介護者のみ」といった要件を設けられると説明しています。住宅が提供するサービス内容を、入居希望者へ分かりやすく説明することも求めています。
住宅ごとに対象を絞れること自体は、直ちに悪いことではありません。提供できる支援と、入居する方の状態が合わないまま契約するほうが困ります。入口を見える形にすることには意味があります。
注文したいのは、独自条件を口頭だけで終えないこと
住宅独自の条件は、国の入居者資格とは別の欄で確認します。公式FAQで確認できた例は「入居時自立」「要介護者のみ」です。保証人、医療対応、認知症、支払能力などを共通条件のように並べる根拠は、今回の資料からは取れませんでした。
見学や問合せでは、本人の年齢と認定状況、同居予定者の続柄・年齢・認定状況を先に伝えます。そのうえで「この条件で申込みの対象になるか」「住宅独自の条件はどの書面にあるか」を聞きます。
口頭で「大丈夫そうです」と言われても、契約書や説明書面のどこに書かれているかを確かめます。見学時の聞き方は、介護施設の見学で確認したい5つのことにもまとめています。
60歳を超えたら自動的に入れる、ではない。私はこの一行を曖昧にしません。国の入口と住宅独自の条件を一枚に分けてから選ぶ。今日契約を決めず、まだ決めない自由を残すための段取りです。
運営する側でも、2.1を先に出すか迷う
平均要介護度2.1は目を引きますが、数字だけが独り歩きしやすい情報です。私は、住宅選びの最初に出すべきか迷います。個人の合否と結び付けると、判断材料を増やすどころか減らしてしまうからです。
私は大石浩之(磐田市/不動産業)です。富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役として、住まいのサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、通所のふじがおか見付デイサービス、訪問のふじがおか訪問介護センターを運営しています。三つは別のサービスで、契約も別です。私にはサービスを提供する利害があります。
以下は体験ストックにある特定のご家族の実話ではなく、運営する側としての私の意見です。入居条件は、住宅が家族を選別するためだけの言葉ではありません。住宅ができることと、ご本人が必要とすることを契約前に突き合わせるための言葉です。
だから自社の案内でも、年齢が合うことだけで話を進めません。申込みの対象と、暮らしが合うかを分けて確認する。それでも、どこまで細かく聞けば負担を増やさずに済むかは、私も毎回迷うところです。
今日できる確認は、本人と同居者を一行ずつ書くこと
サ高住の入居条件を確かめる最初の作業は、本人と同居予定者を一行ずつ書くことです。氏名ではなく、年齢、続柄、要介護・要支援認定の有無だけで構いません。
そのメモを候補の住宅へ伝え、国の入居者資格を満たすか、住宅独自の条件は何か、根拠となる書面はどれかを聞きます。ふじがおか見付連理枝の住まいの情報はサービス付き高齢者向け住宅の案内で確認できます。空室状況は日々変わるため、この記事では固定掲載しません。
私たちへの相談は、電話と相談フォームから選べます。見学や入居を前提にしません。制度、申込み、契約、利用可否、自己負担は個別条件で変わります。最後は、担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターに確認してください。
市外からの住み替えでは、介護保険の住所地特例を転居前に確認する手順も合わせて整理できます。
よくあるご質問
60歳未満でもサ高住へ入居できますか。
60歳未満でも、要介護認定または要支援認定を受けている方は、国の入居者資格に含まれます。現行規則には区域ごとの別要件が置かれる例外もあります。ただし、国の資格を満たすことと個々の住宅が申込みを受けることは別です。認定状況を伝え、住宅へ確認してください。
60歳未満の配偶者は一緒に入居できますか。
国の規則では、資格を満たす本人の同居者として配偶者が挙げられ、婚姻の届出をしていない事実上の配偶者も含まれます。配偶者本人が60歳未満でも、この同居者区分には年齢の条件が書かれていません。実際の申込み可否は住宅ごとに確認が必要です。
平均要介護度2.1なら、要介護2の親は入居できますか。
平均要介護度2.1だけでは判断できません。厚生労働省資料の2.1は、2024年の非特定サ高住をホーム・施設単位で集計した値で、自立の方も含みます。個人の合否基準ではありません。親御さんの認定状況と住宅独自の条件を分けて確認してください。

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール
参考にした公式情報
- 厚生労働省「高齢者住まいに対するサービス提供の在り方」(2026年9月確認)
- e-Gov法令検索「高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則」第3条(2026年9月確認)
- サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム「入居者資格を限定してもよいか」(2026年9月確認)
- サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム「特別な理由がある同居者」(2026年9月確認)
この記事は2026年9月8日に確認した公式資料をもとにした一般的な整理です。区域ごとの別要件が磐田市内の住宅に適用されるか、各住宅の独自条件、個別の申込み・契約可否は確認が必要です。制度、利用可否、自己負担は個別の状況と時期で変わります。ご本人の状況に当てはまるかは、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、市の窓口でご確認ください。