介護の制度 / 2026年8月30日

介護保険負担割合証とは|1〜3割の見分け方

介護保険負担割合証を家族が確かめる場面のイラスト。食卓に届いた封筒のそばに、1割・2割・3割にあたる三色の帯が付いた証が三枚重ねて置かれ、虫めがねで見比べている。壁のカレンダーには8月の更新日に印が付いている
記事の内容をもとに作成したAI生成イラストです。実在する人物・施設ではありません。

「親あてに『負担割合証』という見慣れない紙が届いたのですが、これは何ですか」

介護サービスを使うとき、自己負担が1割・2割・3割のどれになるかだけを書いた証です。要介護・要支援の認定を受けた方に市町村が交付します。有効期間は8月1日から翌年7月31日で、毎年8月に切り替わります。割合は本人の前年の合計所得金額と、同じ世帯の65歳以上の年金収入等の合計で決まります。

負担割合証は、1割か2割か3割かだけを書いた紙

介護保険負担割合証は、介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第28条の2第1項に基づいて市町村が交付する証です。条文にはこう書かれています。「市町村は、要介護被保険者(略)又は居宅要支援被保険者(略)に対し、様式第一号の二による利用者負担の割合を記載した証(以下「負担割合証」という。)を、有効期限を定めて交付しなければならない。」

書いてあるのは、割合と有効期限だけです。要介護度も、1か月に使えるサービスの上限額も、この紙には載っていません。介護保険被保険者証(三つ折りの証)と同じ封筒で届くこともありますが、役割はまったく別です。被保険者証は「認定を受けている」ことを示す紙、負担割合証は「いくらの割合で払うか」を示す紙です。

私は磐田市見付で、サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターの3つを運営しています。利用料をいただく側です。その立場で先に書いておくと、この割合は事業所が決めるものではありません。市町村が保有する税情報に基づいて職権で判定します。事業所は、証に書かれた割合をそのまま請求に使うだけで、交渉の余地はありません。

介護保険の自己負担割合が2段階で判定される仕組みを、本人の合計所得金額と世帯の65歳以上の収入合計で示した図 介護保険の利用者負担割合の判定図。1段階目は本人の前年の合計所得金額で分かれる。160万円未満ならその時点で1割に確定する。160万円以上220万円未満は2割の候補、220万円以上は3割の候補になる。2段階目は、同じ世帯にいる65歳以上の第1号被保険者全員の年金収入とその他の合計所得金額を足した額で判定する。本人だけが65歳以上の世帯では、280万円未満なら1割、280万円以上340万円未満なら2割、340万円以上なら3割。65歳以上が2人以上いる世帯では、346万円未満なら1割、346万円以上463万円未満なら2割、463万円以上なら3割。ただし市町村民税非課税の方、生活保護法第6条第1項の被保護者、40歳から64歳までの第2号被保険者は、この計算にかかわらず1割となる。 介護保険の自己負担割合は、2段階で決まる 介護保険法第49条の2と介護保険法施行令第22条の2による ※判定するのは市町村 1段階目:本人の前年の合計所得金額 160万円未満 ここで1割に確定 160万円以上220万円未満 2割の候補 220万円以上 3割の候補 候補になった方だけ、2段階目へ 2段階目:同じ世帯の65歳以上(第1号被保険者)全員の「年金収入+その他の合計所得金額」の合計 世帯の状況 1割 2割 3割 65歳以上が本人のみ 280万円未満 280万円以上340万円未満 340万円以上 65歳以上が2人以上 346万円未満 346万円以上463万円未満 463万円以上 上の計算にかかわらず1割になる方 ・市町村民税が非課税の方(条例による免除を含む) ・生活保護法第6条第1項の被保護者 ・40歳から64歳までの第2号被保険者(認定を受けていれば証は交付される)
介護保険法施行令第22条の2と、厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1532」(2026年7月31日)の記載内容をもとに作成した図です(2026年8月30日確認)。実際の判定は市町村が行います。

見分け方は2段階。まず本人の所得、次に世帯の65歳以上の合計

自己負担割合の判定は、介護保険法第49条の2と介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第22条の2で決まっています。手順は2段階です。

1段階目は、本人の前年の合計所得金額です。160万円未満なら、そこで1割に確定します。160万円という数字は施行令第22条の2第3項に「法第四十九条の二第一項の政令で定める額は、百六十万円とする。」と書かれています。160万円以上220万円未満なら2割の候補、220万円以上なら3割の候補です(同条第6項)。

2段階目は、同じ世帯にいる65歳以上(第1号被保険者)全員の「年金収入+その他の合計所得金額」を足した額で判定します。厚生労働省老健局介護保険計画課長通知(介護保険最新情報Vol.1532、2026年7月31日)は、「346万円未満(同一世帯の第一号被保険者が本人のみである場合には、280万円未満)である場合、1割負担」と整理しています。ここでいう世帯は、住民基本台帳上の世帯が基本です。

数字が4つも5つも出てきて分かりにくいところですが、実務で見るべき順番はひとつです。まず本人の合計所得金額が160万円に届いているかどうか。届いていなければ、世帯の話は関係ありません。届いていて初めて、同居している親御さんのもう一方や兄弟姉妹の年金額が効いてきます。磐田市の介護保険料はいくら?基準額は月5,600円で書いた保険料の段階とは、使う所得の種類も判定の時期も別の仕組みです。混ぜないでください。

有効期間は8月1日から翌年7月31日。毎年8月に切り替わる

負担割合証の有効期限は、始期が8月1日、終期が翌年7月31日と決まっています。介護保険最新情報Vol.1532の別添にはこう書かれています。「有効期限の始期は8月1日、終期は翌年7月31日となる。8月1日からのサービス利用に支障が生じないよう、交付は同日までに確実に完了しておく必要がある。」

なぜ8月始まりなのか。同じ通知が理由も書いています。市町村民税が前年中の所得に基づいて毎年度算定されるため、判定の基準日を毎年8月1日に置いている、という説明です。年度替わりの4月ではなく8月なのは、税額が確定してから割合を決める順番になっているからです。

8月区切りの仕組みは負担割合証だけではありません。高額介護サービス費とは|上限額と2026年8月改定で書いた月ごとの上限額も、施設の食費・居住費の負担限度額も、同じ8月1日で切り替わります。8月は、介護の費用に関する紙が家に何通も届く月です。届いた順に置いていくと、どれが何の紙か分からなくなります。

磐田市のサイトには、負担割合証を説明したページが見当たらない

良い点から先に数えます。磐田市は負担割合証の再交付を電子申請で受け付けています。「介護保険被保険者証の交付」ページ(2026年3月2日更新)に「介護保険被保険者証・負担割合証再交付申請(電子申請)」という外部リンクが置かれていて、紛失したときに窓口へ出向かずに手続きできます。高齢の親御さんに代わって子どもが手続きする場面では、これは効きます。

被保険者証を紛失した場合の6窓口、代理申請、受取条件は、介護保険証を紛失|磐田市の再交付6窓口で別に整理しました。

その上で、注文したいことが1つあります。磐田市の介護保険と高齢者福祉のページを一通り確認した範囲では、負担割合証そのものを説明したページが見当たりませんでした(2026年8月30日確認)。「負担割合証」という語が出てくるのは、先ほどの再交付の電子申請リンク1か所だけです。有効期間も、判定に使う所得の基準額も、市のサイトには書かれていません。

届いた紙の名前をそのまま検索する方がいるはずだ、と私は思っています。その方が磐田市のサイトにたどり着いても、答えは載っていません。一事業者としては、1ページでよいので「これは何の紙で、いつからいつまで有効か」を書いたページを置いてほしいと思っています。判定基準は国が決めているので、市が独自に書くことはほとんどないはずですが、それでも「うちの市の話」として読めるページがあるかどうかで、受け止め方は変わります。市の窓口の場所と担当グループの分かれ方は磐田市の介護相談窓口、敬老の日(9月21日)前に確認にまとめてあります。

2027年度に向けた2割の対象拡大は、まだ決まっていない

言い切っておきます。2027年度(令和9年度)から2割負担の対象が広がることは、2026年8月30日の時点で決まっていません。決まっているのは、結論を出す期限だけです。

社会保障審議会介護保険部会は2025年12月25日に「介護保険制度の見直しに関する意見」をとりまとめました。給付と負担の章にはこう書かれています。「本部会で継続検討し、第10 期介護保険事業計画期間の開始(令和9年度~)の前までに、結論を得ることが適当である。」つまり、2027年度が始まる前までに答えを出す、という期限の確認で終わっています。

議論の材料そのものは公表されています。同じ意見書には、2割の入口である「年金収入+その他合計所得金額280万円以上(単身世帯の場合。夫婦世帯の場合346万円以上)」の範囲を広げる機械的な選択肢として、被保険者の上位約25%から約30%に相当する260万円から230万円まで(夫婦世帯は326万円から296万円まで)の案が示され、議論が行われたと書かれています。配慮措置として、新たに2割になる方の負担増を当分の間は月7,000円までに抑える案と、預貯金等が一定額以下なら申請により1割に戻す案の2つも並んでいます。

ただ、どの線を採るのかは書かれていません。私は、この先どこに線が引かれるのかを予想できません。予想を書いて家族に構えさせるより、決まっていないことを決まっていないと書くほうが誠実だと考えています。現状の数字だけ添えておくと、2025年3月現在で介護サービスを使っている5,406,760人のうち、2割負担は約4.3%(234,062人)、3割負担は約3.9%(206,341人)です。9割近くの方は今も1割です。詳しくは介護保険2割負担の拡大は?磐田の家族が今できる確認に書きました。

運営する側から言うと、この紙は請求書より先に見る

ここからは私の意見です。介護現場の一場面として書ける記録が手元にないので、体験談ではなく考えとして書きます。

私の実感では、ご家族が費用の相談で最初に見せてくださるのは請求書です。けれども、請求書に書かれた金額の理由の半分は、負担割合証のほうに載っています。1割か2割かで、同じ回数を使っても支払いは変わります。8月に割合が切り替わったのに気づかず、9月の請求書を見て驚く、という順番になりがちです。8月に届いた紙を最初に見ておけば、驚く場面は先に来ます。心の準備の時間が1か月増える、というだけの話ですが、その1か月は小さくありません。

もうひとつ、住まいと介護サービスの切り分けを書いておきます。サービス付き高齢者向け住宅の家賃・共益費・食事代は、介護保険の給付ではありません。賃貸住宅の契約に基づく費用なので、負担割合証の1割・2割・3割は関係しません。割合がかかるのは、その住まいで使っているデイサービスや訪問介護など、介護保険から給付されるサービスの分だけです。住まいの契約と介護サービスの契約は別だ、という話はサ高住と特養の費用差、2026年8月の改定でどう変わるにも書きました。

今日できる確認は3つ

今日、何かを決める必要はありません。届いた紙について、次の3つだけ手元で確かめておくと、次にケアマネジャーと話すときに話が早くなります。

1. 有効期限の年を見る「令和9年7月31日まで」のように書かれているか。2026年8月に届いた証なら、終期は2027年7月31日になる
2. 去年の証と見比べる割合が1割から2割に変わっていないか。変わっていれば、8月分からの請求が変わる
3. 事業所とケアマネジャーに写しが渡っているか確認する新しい証の写しが届いていないと、事業所は古い割合のまま請求してしまう。8月は特に確認する

1つだけ、私が確認できなかったことを書いておきます。介護保険の総合事業だけを使っている「事業対象者」の方に負担割合証が交付されるかどうかは、法令の条文からは読み取れませんでした。施行規則第28条の2第1項が挙げているのは要介護被保険者と居宅要支援被保険者だけで、事業対象者は入っていません。運用は市町村ごとに違う可能性があります。該当する方は、磐田市の窓口で確認してください。

平均の数字と請求額を混同しないために、介護費用の平均と家計を分ける3項目も確認してください。

利用内容の照合には、介護保険給付費通知書とは|磐田市の申請も確認できます。

よくあるご質問

負担割合証はいつ届きますか。

有効期限の始期は8月1日、終期は翌年7月31日です。厚生労働省の通知は、8月1日からのサービス利用に支障が生じないよう、交付を同日までに確実に完了しておく必要があると保険者に求めています。磐田市は発送時期を市のウェブサイトに載せていないため、8月に入っても届かない場合は高齢者支援課 介護保険グループ(0538-37-4769)に確認してください。

まだ要介護認定を受けていない親にも届きますか。

届きません。介護保険法施行規則第28条の2第1項が交付の対象としているのは、要介護被保険者と居宅要支援被保険者です。認定を受けていない65歳以上の方については定期的な判定は行われず、要介護・要支援の認定を申請したときに随時判定されると通知に書かれています。認定と負担割合は別の手続きです。

2割になったら、支払いは今の倍になりますか。

1回あたりの自己負担は2倍になりますが、月の支払いが必ず2倍になるとは限りません。高額介護サービス費に月ごとの上限額があるためです。またサービス付き高齢者向け住宅の家賃・共益費・食事代は介護保険の給付ではないので、負担割合の対象外です。増える金額は使っているサービスの中身で変わります。

著者・大石浩之(富士ヶ丘サービス代表取締役・宅地建物取引士)の顔写真

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール

参考にした公式情報

制度・自己負担・利用条件は個別の状況と時期で変わります。ここに書いたのは一般的な整理です。負担割合の判定は市町村が行い、世帯の構成や課税状況によって結果が変わります。ご本人の状況にあてはまるかどうかは、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、市の窓口でご確認ください。

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