「介護保険のほかに、市から出るものはありますか」
磐田市には高齢者等在宅福祉サービスという別枠の事業が11あります。紙おむつ購入費助成は年60,000円まで、在宅介護手当は2万円または4万円、補聴器購入費助成は購入費の2分の1以内で上限3万円。11のうち6事業は、対象の欄に要介護・要支援の認定が書かれていません。
磐田市の在宅福祉は11事業。介護保険の限度額とは別枠
磐田市は「高齢者等在宅福祉サービス」というページで、高齢者向けの11の事業を1ページにまとめて公開しています(2026年7月9日更新/2026年8月28日確認)。はりきゅうマッサージ治療費助成、食の自立支援、タクシー利用料金助成、紙おむつ購入費助成、訪問理美容サービス、寝具洗濯乾燥等サービス、緊急通報システム、短期入所、在宅介護手当、外国人高齢者福祉手当、補聴器購入費助成の11です。
この11は介護保険の給付ではありません。介護保険の区分支給限度基準額とは別の枠で動いています。訪問介護やデイサービスの量を限度額の中で削って、おむつ代を捻出する、という計算をする前に、この一覧を見たほうが早いことがあります。介護保険料の話(磐田市の介護保険料はいくら?基準額は月5,600円)とも、住宅改修の20万円の話(介護保険の住宅改修20万円、磐田市の申請は工事の前)とも、財布が別です。
申請は利用者本人または3親等以内の親族ができます。市の案内には「ケアマネジャーなどが申請を代行することもできます」とも書かれています。それ以外の方が申請する場合は委任状などが必要です。本人確認書類は、マイナンバーカードや運転免許証など顔写真付きの公的なものなら1点、それ以外は2点。タクシー助成を楽しみの外出へどう組み合わせるかは、要介護でも外出の楽しみを諦めないに書きました。
金額の大きい3つを、1日あたりに割り戻す
11事業のうち、まとまった金額が動くのは紙おむつ購入費助成、在宅介護手当、補聴器購入費助成の3つです。数字を、月あたり・日あたりに割り戻しておきます。分母は私が置いたものです。
| 紙おむつ購入費助成 | 年60,000円を限度に購入費を助成。12か月で割ると月5,000円。対象は要介護4・5の方と、要支援1から要介護3の方(同程度を含む)のうち紙おむつの必要性が認められる方。所得制限あり。 |
|---|---|
| 在宅介護手当 | 支給額は2万円または4万円。180日以上の在宅介護が条件なので、4万円を365日で割ると1日あたり約110円、180日で割っても約222円。 |
| 補聴器購入費助成 | 購入費の2分の1以内で上限3万円。1人1回限り。故障・修理・メンテナンスは対象外。市民税所得割額が46万円以上の方が同一世帯にいる場合は対象外。購入後の申請は対象外。 |
在宅介護手当の1日110円という数字を見て、少ないと感じる方が多いと思います。私もそう感じます。ただ、この事業の目的は市の案内にはっきり書かれていて、「在宅の要介護者を介護している介護者の慰労を行い、要介護者の在宅での生活を増進すること」です。介護にかかった費用の補填ではなく、慰労。名目が違うものを費用として数えると、期待とずれます。
逆に、補聴器の上限3万円は効く場面があります。聞こえが落ちると、家族との会話も、事業所の職員との会話も減ります。1人1回限りで、しかも購入前に申請する必要があるので、買ってしまってからでは間に合いません。令和7年4月1日から対象年齢が満70歳以上から満65歳以上に引き下げられています。
要介護認定がなくても対象になりうる事業が6つある
磐田市の11事業のうち6つは、対象の欄に要介護・要支援の認定が書かれていません。はりきゅうマッサージ治療費助成(70歳以上)、食の自立支援、寝具洗濯乾燥等サービス、緊急通報システム、短期入所、補聴器購入費助成の6つで、いずれも65歳以上または70歳以上という年齢が起点です(食の自立支援は「65歳以上の高齢者のみで生活している世帯などで、食事の支度・買い物が容易でない方」といった世帯の条件が付きます)。
ここは、多くのご家族が思っているのと逆だと思います。「認定を受けないと市の支援は何も使えない」と考えて、認定申請の結果を待っている間、何も動かさない。実際には、認定を待つ30日ほどの間にも動かせるものがあります。磐田市の要介護認定は平均30.1日(要介護認定は何日で出る?磐田市は平均30.1日)。その1か月をまるごと止めておく必要はありません。
ただし、年齢だけで自動的に対象になるわけではありません。所得の条件や世帯の状況が別に付くものがあります。要介護認定が要らない、という言い方は正確ではなく、対象の欄に認定が書かれていない、が正確です。
良い点は2つ、注文したい点も2つ
磐田市のこのページについて、私が良いと思う点を先に数えます。1つは、11事業が1ページにまとまっていて、金額と回数がその場に書いてあることです。事業ごとに別ページへ飛ばされる自治体もある中で、上から下まで読めば一覧が頭に入る作りになっています。2つ目は、はりきゅう、タクシー、紙おむつ、訪問理美容、補聴器の5事業に電子申請の案内が置かれていること。窓口の受付時間に間に合わない世代が申請の主体になっているので、この導線は現実的です。
その上で、一事業者として注文したい点も2つあります。1つは、所得制限の中身が書かれていないことです。タクシー利用料金助成にも紙おむつ購入費助成にも「所得制限あり」とだけ書かれていて、いくらが線なのかが分かりません。私が探した範囲では見つけられませんでした。補聴器購入費助成だけは市民税所得割額46万円という具体的な数字が出ています。同じページの中で、書いてあるものと書いていないものが混ざっています。
もう1つは、緊急通報システムが固定電話回線にしか対応していないことです。市の案内にも「携帯電話回線には対応していません」と明記されています。制度の設計としては理由があるのだと思いますが、一人暮らしの親の家から固定電話を解約した、というご家庭は増えています。安否確認の仕組みを市が用意しているのに、回線が理由で使えない世帯が出る。これは市の担当課だけで決められる話ではないので、注文というより、現場からの報告として書いておきます。
運営する側から言うと、月々効いてくるのは消耗品のほう
私は磐田市見付で、サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターの3つを運営しています。住まい・通所・訪問で、契約はそれぞれ別です。この記事を読む方に自社のサービスを売る立場でもあるので、そこは隠しません。
以下は特定のご家族の事例ではなく、私の考えです。介護の費用の話になると、まず月額の大きいところ、つまりサービスの利用料に目が行きます。ところが家計を圧迫しはじめる順番は、必ずしもそこからではない。おむつ、寝具、移動、髪を切ること。1回あたりは小さく、毎月必ず出ていくものが積み上がります。磐田市の11事業が拾っているのは、まさにこの帯です。制度としては地味で、ニュースにもなりません。しかし年60,000円の紙おむつ助成は、月5,000円の固定費が消えるのと同じ意味を持ちます。
迷っていることも書きます。この11事業を、私はご家族に一覧で渡すべきかどうか迷っています。全部を並べると、条件を読むだけで疲れてしまう方がいる。かといって、こちらで「これは使えないでしょう」と間引くのは、事業者が勝手に線を引くことになります。今のところ私は、一覧を渡したうえで、担当のケアマネジャーと一緒に見てくださいと言うのが精一杯です。
今日できる確認は3つ
今日、申請まで進める必要はありません。手元と電話で終わることが3つあります。
- 介護保険被保険者証を出して、要介護度を確かめる。要介護4・5なら紙おむつ購入費助成の対象の1つ目に、要介護2以上なら在宅介護手当の条件に関係します。認定がまだでも、6事業は年齢が起点です。
- 親の家に固定電話があるかを確かめる。緊急通報システムは固定電話に機器を設置する仕組みで、携帯電話回線には対応していません。解約済みなら、別の見守りの手を考える必要があります。
- 補聴器を検討中なら、買う前に磐田市 高齢者支援課(0538-37-4869)へ電話する。購入後の申請は対象外で、1人1回限りです。順番を間違えると上限3万円が使えません。
申請はケアマネジャーが代行できます。担当を替えたい、あるいはまだ決まっていないという段階なら、そちらの手順を先に(ケアマネジャーの変更方法と選び方|磐田市の届出書)。担当がいない場合の入口は地区の地域包括支援センターです(磐田市の介護相談窓口)。在宅で続ける組み立てそのものは訪問介護のページに置いています。うちに相談していただかなくても構いません。今日、使える枠が1つ見つかれば十分です。
補聴器の購入を考えているご家族は、医師の証明と見積書の準備を扱う磐田市の補聴器助成|購入前に揃える申請書類も参照してください。
布団の洗濯や運搬で困っている場合は、磐田市の寝具洗濯サービスと秋の布団替えで、対象条件と申請前に市へ尋ねる項目を確認してください。
紙おむつの対象条件と代理申請を具体的に進める場合は、磐田市の紙おむつ助成の申請前確認で、受領先や未確認事項を分けて準備してください。
散髪のための外出が難しい場合は、磐田市の訪問理美容の申請と本人負担を分けた案内も確認できます。
よくあるご質問
磐田市の在宅福祉サービスは、要介護認定がないと使えませんか。
11事業のうち6事業は、対象の欄に要介護・要支援の認定が条件として書かれていません。はりきゅうマッサージ治療費助成(70歳以上)、食の自立支援、寝具洗濯乾燥等サービス、緊急通報システム、短期入所、補聴器購入費助成(いずれも65歳以上が起点)です。ただし世帯の状況や所得の条件が別に付くものがあります。
紙おむつの助成はいくらまで出ますか。
磐田市の紙おむつ購入費助成は年60,000円を限度に購入費を助成します。対象は要介護4または要介護5の方と、要支援1から要介護3の方(同程度を含む)のうち紙おむつの必要性が認められる方で、所得制限があります。要支援1から要介護3の方は、直近の認定調査票または主治医意見書で必要性が認められることが条件です(2026年7月9日更新)。
在宅介護手当はいくらもらえますか。誰が申請しますか。
支給額は2万円または4万円です。当該年度4月1日より前1年間に、要介護2で重度の認知機能の低下があると判定された方または要介護3から5の方を、継続して180日以上在宅で介護した方が対象。要介護3から5でかつ重度の認知機能の低下があると判定された方を介護した場合が4万円です。申請は本人または3親等以内の親族で、ケアマネジャーによる代行もできます。
この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール
参考にした公式情報
- 磐田市「高齢者等在宅福祉サービス」(2026年7月9日更新/2026年8月確認)
- 磐田市「高齢者に関する支援」(2026年8月確認)
- 磐田市「高齢者支援課」(所在地・電話・受付時間/2026年8月確認)
制度・自己負担・利用条件は個別の状況と時期で変わります。ここに書いたのは2026年8月28日時点の一般的な整理です。所得制限の具体的な基準額は、私が確認した範囲では磐田市の案内に記載がありませんでした。月5,000円・1日約110円といった割り戻しは、私が分母を置いた概算で、公表された数値ではありません。事業の内容・金額・対象は変更されることがあります。ご本人の状況にあてはまるかどうかは、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、磐田市 高齢者支援課でご確認ください。
食の自立支援の配食を週2回の上限や世帯条件から確認する記事は、磐田市の配食サービス|週2回の利用条件にも整理しました。