サービスの選び方 / 2026年8月29日

磐田で選ぶ訪問介護と訪問看護の違い

在宅サービスを表したAI生成イラスト。自宅の和室で、訪ねてきた担当者が椅子に座る高齢の方のそばに膝をついて向き合っている場面
記事の内容をもとに作成したAI生成イラストです。実在する人物・施設ではありません。

「家に来てもらうのは、ヘルパーさんと看護師さんのどちらがいいのでしょうか」

いちばん大きな違いは始め方です。訪問介護はケアプランに位置づければ始められますが、訪問看護は主治医が文書で出す指示がないと始められません。中身も、訪問介護は生活と身体の介助、訪問看護は療養上の世話と診療の補助です。両方を同じ週に使う在宅療養も珍しくありません。

訪問介護と訪問看護を、根拠法・始め方・担い手・2024年度改定の方向で並べた比較図 訪問介護と訪問看護の比較図。訪問介護は介護保険法第8条第2項が根拠で、居宅サービス計画(ケアプラン)に位置づけて始める。担い手は介護福祉士や介護職員初任者研修修了者などの訪問介護員。中身は身体介護と生活援助。2024年度(令和6年度)介護報酬改定では基本報酬が全区分で引き下げられ、身体介護中心型20分以上30分未満は250単位から244単位、30分以上1時間未満は396単位から387単位、生活援助中心型20分以上45分未満は183単位から179単位になった。訪問看護は介護保険法第8条第4項が根拠で、主治の医師が治療の必要の程度について基準に適合すると認めた場合に限られ、指定居宅サービス等基準第69条第2項により提供開始に際して主治の医師の指示を文書で受けなければならない。担い手は保健師・看護師・准看護師で、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問もある。中身は療養上の世話と必要な診療の補助。2024年度改定では訪問看護ステーションの基本報酬が全区分で引き上げられ、30分未満は470単位から471単位、30分以上1時間未満は821単位から823単位になり、専門管理加算250単位(月)が新設された。改定率は全体でプラス1.59パーセント。 訪問介護と訪問看護は、根拠法も始め方も別(2024年度改定を含む) 単位数は厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」による ※改定率は全体+1.59% 訪問介護(ホームヘルプ) 訪問看護 根拠 介護保険法 第8条第2項 入浴・排せつ・食事等の介護、 その他の日常生活上の世話 根拠 介護保険法 第8条第4項 療養上の世話または 必要な診療の補助 始め方 居宅サービス計画に位置づける (医師の指示書は要件ではない) 始め方 主治の医師の指示を文書で受ける (基準省令 第69条第2項) 担い手 訪問介護員(介護福祉士ほか) 担い手 保健師・看護師・准看護師ほか 2024年度改定の基本報酬 全区分で引き下げ 身体 20分以上30分未満 250→244 身体 30分以上1時間未満 396→387 生活援助 20分以上45分未満 183→179 2024年度改定の基本報酬 全区分で引き上げ 30分未満 470→471 30分以上1時間未満 821→823 専門管理加算 250単位(月)を新設 ※単位数は訪問看護ステーションからの訪問の場合。1単位あたりの金額は地域区分で異なる。
介護保険法、指定居宅サービス等基準、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」の記載内容をもとに作成した図です(2026年8月29日確認)。

訪問看護は、主治医の文書がないと始まらない

訪問介護と訪問看護の一番の違いは、始め方です。介護保険法第8条第4項は訪問看護をこう定義しています。「この法律において「訪問看護」とは、居宅要介護者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)について、その者の居宅において看護師その他厚生労働省令で定める者により行われる療養上の世話又は必要な診療の補助をいう。」定義そのものに主治医の関与が組み込まれています。

手続きの側でも同じことが書かれています。指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第69条第2項は「指定訪問看護事業者は、指定訪問看護の提供の開始に際し、主治の医師による指示を文書で受けなければならない」と定めています。これが訪問看護指示書です。口頭では足りません。

訪問介護の定義は同法第8条第2項で、入浴・排せつ・食事等の介護その他の日常生活上の世話です。医師の指示は要件になっていません。居宅サービス計画(ケアプラン)に位置づけて契約すれば始められます。だから、退院直後に「明日から誰かに来てほしい」となったとき、動き出しの速さは訪問介護のほうが上です。訪問看護は主治医に指示書を書いてもらう時間が要ります。

2024年度の改定で、片方は下がり、片方は上がった

令和6年度(2024年度)の介護報酬改定は、全体で+1.59%でした。うち介護職員の処遇改善分が+0.98%、介護職員以外の処遇改善分が+0.61%です(厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」)。全体はプラスですが、サービスごとの動きは同じではありません。

ここが意外なところです。訪問介護の基本報酬は、全区分で下がりました。身体介護中心型は20分未満が167単位から163単位、20分以上30分未満が250単位から244単位、30分以上1時間未満が396単位から387単位。生活援助中心型は20分以上45分未満が183単位から179単位、45分以上が225単位から220単位。通院等乗降介助も99単位から97単位です。

同じ改定で、訪問看護ステーションの基本報酬は全区分で上がりました。20分未満が313単位から314単位、30分未満が470単位から471単位、30分以上1時間未満が821単位から823単位、1時間以上1時間30分未満が1,125単位から1,128単位。加算も増え、緩和ケアや褥瘡ケアなどの専門研修を修了した看護師などを評価する専門管理加算250単位(月)が新設されました。

金額の動きは小さく見えますが、方向が逆であることに意味があります。同じ「家に行くサービス」なのに、国は一方の基本報酬を下げ、もう一方を上げました。訪問介護については、処遇改善加算の加算率を14.5%から最大24.5%と高く設定したことが理由として説明されています。ただし加算は要件を満たした事業所が取るもので、基本報酬のように全事業所に自動で乗るものではありません。

私が結論を持てないでいる部分も書いておきます。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問看護は、基本報酬が293単位から294単位へ1単位上がった一方で、一定の施設基準に該当する事業所には1回につき8単位の減算が新設されました。上がったのか下がったのかは事業所によって変わります。私はこれをどう評価すべきか、まだ決めかねています。

頼めることの線は、通知で引かれている

訪問介護で頼めない家事は、事業所の方針ではなく国の通知で決まっています。「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」(老振第76号)は、介護保険の家事援助に含まれないと考えられる事例を挙げています。利用者以外の方のための洗濯・調理・買い物、来客の応接、自家用車の洗車、草むしり、花木の水やり、ペットの世話、大掃除、窓ガラス磨き、床のワックスがけ、植木の剪定、正月や節句のために特別な手間をかけて行う調理などです。

身体介護と生活援助の線引きは別の通知(老計第10号)で決まっていて、この区分自体は2024年度の改定でも変わっていません(訪問介護の身体介護と生活援助の違いは?磐田で頼めること)。

医療的なことも、線はあります。厚生労働省の通知(医政発第0726005号)は、腋下や外耳道での体温計測、自動血圧測定器による血圧測定、パルスオキシメータの装着、軽微な切り傷などの処置、一包化された内用薬の内服の介助、坐薬の挿入、湿布の貼付、点眼などを、条件のもとで原則として医行為でないと整理しています。さらに喀痰吸引と経管栄養の5行為(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の喀痰吸引、胃ろうまたは腸ろうによる経管栄養、経鼻経管栄養)は、社会福祉士及び介護福祉士法第2条第2項により介護福祉士の業務範囲に入り、それ以外の介護職員は研修を修了して認定特定行為業務従事者認定証を受けた場合に限られます。事業所側も都道府県知事の登録が必要です。

裏を返すと、この線の外側にある処置や判断は訪問看護の仕事です。褥瘡の処置、点滴の管理、カテーテルの管理、状態の観察と主治医への報告。ここを訪問介護に頼むことはできません。

良い点は2つ、注文したい点も2つ

今回の制度の作りで、良いと思う点を先に数えます。1つ目は、訪問看護に医師の文書を必須にしていることです。手間には見えますが、医療的なケアを誰の責任で行うかが書面で残ります。家族にとっては、何かあったときに相談する先がはっきりします。2つ目は、訪問介護でできる医療的な行為の範囲を、国が通知で列挙していることです。事業所ごとの裁量に任されていたら、頼めることが会社によって変わってしまいます。

その上で、注文したい点が2つあります。1つ目は、訪問介護の基本報酬が全区分で下がったことです。処遇改善加算で補う設計だと説明されていますが、加算は取れる事業所と取れない事業所があります。訪問介護は小さな事業所が多く、磐田のような地方では、事業所が1つなくなると代わりがすぐには見つかりません。一事業者としては、基本報酬という土台を下げる形は不安が残ります。

2つ目は、家族に向けた説明が薄いことです。訪問介護と訪問看護の違いは、法律の条文と基準省令を読めば明確に分かれています。しかし在宅を始める家族が最初に受け取る説明は「ヘルパーさんと看護師さん、どちらも来てもらえます」で終わりがちです。始め方が違うこと、頼めることの線が国の通知で引かれていることは、最初に伝えたほうが後の行き違いが減ります。

運営する側から言うと、先に決めるのは「誰が何を見るか」

ここからは私の意見です。当てはまる現場の一場面が手元の記録にないため、体験談ではなく考えとして書きます。

私は磐田市見付で、ふじがおか訪問介護センター(月曜日から日曜日、8:30〜17:30)を運営しています。訪問看護は運営していません。だから「うちで全部できます」とは言えません。医療的なケアが要る在宅療養では、訪問看護のある事業者に相談していただくほうが確実です。これは私にとって不利な話ですが、先に書いておきます。

そのうえで、ご家族に最初に整理してほしいのは、どちらを頼むかではなく「誰が何を見るか」です。血圧や傷の状態を見て主治医に伝える役が要るのか、それとも食事と入浴と掃除の手が要るのか。前者なら訪問看護、後者なら訪問介護です。両方要るなら両方入れます。デイサービスとの組み合わせを含めた考え方は、デイサービスと訪問介護の違いは?磐田での選び方にも書きました。

今日、どちらかに決める必要はありません。ただ、主治医に「訪問看護の指示書を出せる状態か」を一度聞いておくと、半年後にどちらを選ぶにしても必ず効いてきます。指示書が出る状態かどうかで、選べる幅が変わるからです。

今日できる確認は3つ

次の3つを確かめておくと、担当のケアマネジャーと話すときに話が早くなります。

1. 主治医に指示書のことを聞く訪問看護指示書を出せる状態かどうか。出せるなら、どの病名で出るか
2. 頼みたいことを紙に書き出す「傷の処置」「服薬の管理」は訪問看護、「食事の支度」「入浴の介助」は訪問介護。分けて書くと相談が早い
3. 対応できる時間帯を聞く事業所ごとに営業日と時間が違う。夜間や日曜に来てもらえるかは、契約前に確認する(訪問介護のページ)

ケアマネジャーとの相性が合わないと感じている場合は、事業所を変えることもできます(ケアマネジャーの変更方法と選び方|磐田市の届出書)。

よくあるご質問

訪問介護と訪問看護は、両方を同時に使えますか。

使えます。生活の手伝いは訪問介護、医療的なケアは訪問看護と役割が分かれるため、同じ週に両方が入る在宅療養は珍しくありません。ただし訪問看護には主治医の指示書が要り、訪問介護はケアプランへの位置づけが要ります。組み合わせと回数は区分支給限度基準額の範囲で決まるので、担当のケアマネジャーに相談してください。

訪問介護のヘルパーに、薬や痰の吸引を頼めますか。

範囲が決まっています。一包化された内用薬の内服の介助、坐薬の挿入、湿布の貼付、点眼などは、条件を満たせば原則として医行為でないとされています(医政発第0726005号)。喀痰吸引と経管栄養の5行為は、介護福祉士か研修を修了して認定証を受けた職員に限られ、事業所も都道府県知事の登録が必要です。頼む前に事業所へ確認してください。

訪問看護は介護保険と医療保険のどちらで使いますか。

要介護・要支援の認定を受けている方は、原則として介護保険が優先します。ただし厚生労働大臣が定める疾病等に当たる場合や、急性増悪などで主治医が特別訪問看護指示書を出した場合は、医療保険からの給付になります。どちらになるかは病名と主治医の判断で決まるので、主治医と訪問看護ステーションに確認してください。

著者・大石浩之(富士ヶ丘サービス代表取締役・宅地建物取引士)の顔写真

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール

参考にした公式情報

制度・自己負担・利用条件は個別の状況と時期で変わります。ここに書いたのは一般的な整理です。単位数は全国共通の点数で、1単位あたりの金額は地域区分によって違います。医療保険と介護保険のどちらから給付されるかは、病名と主治医の判断で変わります。ご本人の状況にあてはまるかどうかは、主治医、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、市の窓口でご確認ください。

夜間対応を含めて訪問介護と定期巡回を比べるときの確認順は、訪問介護と定期巡回の違い|24時間対応を比べるにも整理しました。

見学・介護相談はこちら 電話でも相談できます(0538-33-7070/9:00〜17:30)

電話で相談相談する