「担当のケアマネジャーを変えたいのですが、できるんでしょうか」
できます。手順は、新しい居宅介護支援事業所を自分で選んで契約し、磐田市へ「居宅サービス計画作成依頼(変更)届出書」を出す。この順番です。提出は利用開始日まで。届出書はケアマネジャーに代行してもらえます。前の事業所には、直近のケアプランを渡す義務があります。
ケアマネジャーは変えられる。ただし「いつでも変更可」とは書かれていない
居宅介護支援事業所を選ぶのは、利用者本人か家族です。磐田市は「介護サービスを利用するには(ケアプランの作成~サービスの利用)」のページで、要介護1から5の認定を受けた方について「居宅介護支援事業所は利用者本人または家族で選んで契約することになりますので、事業所に直接電話等でお問い合わせください」と書いています(2025年5月29日更新/2026年8月28日確認)。選ぶ主体が利用者側にあると明記されているので、選び直すこともできます。
ただ、正直に書いておきます。「利用者はいつでも自由に変更できる」という一文を、私は厚生労働省と磐田市の公式ページの中に見つけられませんでした。書かれているのは、変更を前提にした事業者側の義務のほうです。指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第15条は、こう定めています。
「指定居宅介護支援事業者は、利用者が他の居宅介護支援事業者の利用を希望する場合、要介護認定を受けている利用者が要支援認定を受けた場合その他利用者からの申出があった場合には、当該利用者に対し、直近の居宅サービス計画及びその実施状況に関する書類を交付しなければならない。」
変更を申し出たら書類を渡さなければならない、と省令に書いてある。これは、変更を申し出てよいという前提がなければ成り立たない条文です。同じ省令の第4条第2項は、契約の開始時に「利用者は複数の指定居宅サービス事業者等を紹介するよう求めることができること」を説明して理解を得なければならないとも定めています。理由の説明を条件にする文言は、どちらの条文にもありません。
磐田市で出す書類の名前は「居宅サービス計画作成依頼(変更)届出書」
ケアマネジャーを変えるときに市へ出す書類は、磐田市の場合「居宅サービス計画作成依頼(変更)届出書」です。要支援の方と事業対象者は「介護予防サービス計画作成・介護予防ケアマネジメント依頼(変更)届出書」になります。市は「ケアプランを作成する担当のケアマネジャーが決まったら、介護サービスの利用を開始する当日までに届出の手引きをご確認のうえ、あらかじめ市に以下の届出書を提出してください。ケアマネジャーに届出書の提出の代行をしてもらうこともできます」と案内しています。
| 書類の名前 | 居宅サービス計画作成依頼(変更)届出書(要介護1〜5)/介護予防サービス計画作成・介護予防ケアマネジメント依頼(変更)届出書(要支援・事業対象者) |
|---|---|
| 「変更」に当たる人 | すでに契約している事業所から他の事業所へ変える方(介護保険被保険者証に事業所名が印字されている方) |
| 提出先 | 磐田市 高齢者支援課(磐田市国府台57-7 iプラザ3階)、または各支所 市民生活課 |
| 受付時間 | 午前8時30分〜午後5時15分(休日・年末年始を除く) |
| 提出の期限 | 原則として、利用者と事業所との契約後、サービス開始日まで(休日の場合は直前の営業日) |
| 提出する人 | 本人・家族のほか、ケアマネジャーによる代行提出も可 |
順番を間違えやすいのは、市へ先に相談してしまう場合です。市の案内は「担当のケアマネジャーが決まったら」提出、と書いています。つまり相手を決めるのが先で、届出は後。新しい事業所の心当たりがないときは、地区の地域包括支援センターに聞くのが近道です。磐田市の地域包括支援センターは7か所あり、担当は中学校区で決まります(磐田市の介護相談窓口)。包括とケアマネジャーで役割がどう分かれているのかは、地域包括支援センターとケアマネの違い|磐田市に整理しました。
2024年度改定で、1人が担当する件数の区切りは39件から44件になった
ケアマネジャー1人が抱える利用者の数には、報酬上の区切りがあります。2024年度(令和6年度)介護報酬改定で、この区切りが緩みました。厚生労働省の留意事項通知は、改定前は「1件目から39件目」までが居宅介護支援費(ⅰ)、40件目以降は単位数の下がる区分としていました。改定後は「1件目から44件目」までが(ⅰ)、45件目以降が下がる区分です。ケアプランデータ連携システムを活用し、かつ事務職員を配置している事業所は49件目までになります。施行は令和6年4月1日(居宅介護支援は4月1日施行の対象)。
あわせて、数え方も変わりました。介護予防支援の利用者数は、改定前は2分の1を乗じて加えていたものが、改定後は3分の1を乗じて加える形になっています。人員基準の側も、要介護者の数に要支援者の数の3分の1を加えた数が44、または49を超えるごとに介護支援専門員を1人増やす、という組み立てです。
この数字を、家族の側の感覚に置き換えます。1人のケアマネジャーが44件を担当しているとして、月に1回ずつ全員の自宅を訪ねると、20日勤務なら1日2件強。移動と記録と、サービス事業者との調整がその間に入ります。担当を5件増やせるようになったということは、1件あたりに使える時間はその分だけ減りうる、ということでもあります。制度が悪いという話ではありません。ただ、家族の側が「連絡が遅い」と感じたとき、その裏にこの数字があることは知っておいていい。
良い点は2つ、注文したい点は2つ
この改定について、私が良いと思う点を先に数えます。1つは、担当件数の区切りが上がったことで、事業所が新しい相談を受けられる幅が広がったことです。ケアマネジャーが見つからずに認定だけ出て止まっている、という状態は、家族にとって最も困ります。2つ目は、介護予防支援の換算が2分の1から3分の1へ下がったこと。要支援の方を受けても件数に響きにくくなり、軽いうちからの相談を断りにくくなりました。
その上で、一事業者として注文したい点も2つあります。1つは、「44件まで単位数が下がらない」ことと「44件が適正な担当数だ」ということは、まったく別だという点です。報酬の区切りは経営の話であって、1人の家族にかけられる時間の保証ではありません。数字が独り歩きしやすい設計だと私は感じています。
もう1つは、変更の手続きの入口が家族から見えにくいことです。磐田市の案内は、様式も期限も提出先もきちんと書いてあります。ただ、その情報は「介護サービスを利用するには」という、これから始める人向けのページの中にあります。すでに使っていて担当を替えたい家族が、そこにたどり着けるかどうか。窓口へ電話をすれば分かる話ですが、電話をかけるのに勇気がいるから調べている、という順番のご家族もいます。
運営する側から言うと、選ぶときに見るのは相性より「連絡の速さ」
私は磐田市見付で、サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターの3つを運営しています。住まい・通所・訪問で契約はそれぞれ別です。つまり私は、ケアマネジャーからサービスの依頼を受ける側であり、この記事を読む方に自社のサービスを売る立場でもあります。利害は隠しません。
以下は特定のご家族の事例ではなく、私の考えです。事業者の側から見ていると、うまく回るケアマネジャーとそうでないケアマネジャーの差は、知識より連絡の速さに出ます。退院日が3日前倒しになった、家族が入院した、といった予定の崩れは頻繁に起きます。そのとき、その日のうちに関係する事業所へ一斉に連絡が回るかどうかで、翌週の暮らしが変わる。人柄が合うかどうかは家族にしか判断できませんが、連絡の速さは、最初のひと月で家族の側からも見えます。
迷っていることも書きます。担当を替えたほうがいいかどうかを、私は判断できません。合わないと感じる理由が、担当者の姿勢なのか、伝え方の行き違いなのか、制度上できないことを「やってくれない」と受け取っているのか。この3つは外から見分けがつきません。替えることが目的になると、次の担当でも同じ違和感が出ることがあります。替える前に一度、地域包括支援センターに「こういうことは頼めるものなのか」と聞いてみる手はあります。
担当者や利用中のサービスへの不満を事業所に直接伝えにくいときは、磐田市の介護サービス苦情相談と事業所外の窓口で、外部への相談先と残しておく記録を確認できます。
今日できる確認は3つ
今日、変更を決める必要はありません。手元と電話で終わることが3つあります。
- 介護保険被保険者証を出して、事業所名の印字を見る。ここに事業所名が入っている方が、磐田市の言う「変更」に当たります。何も印字がなければ、変更ではなく最初の届出です。
- 不満の中身を、3つに仕分けて紙に書く。①連絡が遅い ②制度上できないことを断られている ③言い方が合わない。②なら担当を替えても結果は変わりません。仕分けができれば、誰に相談すべきかも決まります。
- 地区の地域包括支援センターに、居宅介護支援事業所の一覧があるか聞く。探す当てがないまま今の担当に「替えたい」と言うのは、家族の側の負担が大きい。先に候補を持ってから動くほうが、話が短く済みます。
認定がまだ出ていない段階なら、順番はそちらが先です(要介護認定は何日で出る?磐田市は平均30.1日)。住宅改修の必要理由書のように、ケアマネジャーに書いてもらう書類もあります(介護保険の住宅改修20万円)。担当が替わる時期と工事の時期が重なると、書類の引き継ぎで止まることがあるので、そこだけは順番を意識してください。介護の全体像から確かめたい方は介護を知るから読んでいただけます。うちに相談していただかなくても構いません。
よくあるご質問
ケアマネジャーを変更するとき、今の事業所に理由を説明しなければいけませんか。
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第15条は、利用者が他の居宅介護支援事業者の利用を希望する場合その他利用者からの申出があった場合には、直近の居宅サービス計画及びその実施状況に関する書類を交付しなければならないと定めています。理由を説明することを条件とする文言は、この条文にはありません。
磐田市でケアマネジャーを変えるとき、市への手続きは必要ですか。
必要です。磐田市は「ケアプランを作成する担当のケアマネジャーが決まったら、介護サービスの利用を開始する当日までに届出の手引きをご確認のうえ、あらかじめ市に届出書を提出してください」と案内しています。要介護1から5の方は「居宅サービス計画作成依頼(変更)届出書」。ケアマネジャーに提出を代行してもらうこともできます。
ケアマネジャー1人が担当できる利用者の数に上限はありますか。
2024年度(令和6年度)介護報酬改定で見直されました。居宅介護支援費(ⅰ)を算定できるのは1件目から44件目までで、45件目からは単位数の下がる区分になります。改定前は39件目まででした。ケアプランデータ連携システムの活用と事務職員の配置を両方行っている事業所は49件目までです。介護予防支援の利用者は3分の1を乗じて数えます。
この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール
参考にした公式情報
- 磐田市「介護サービスを利用するには(ケアプランの作成~サービスの利用)」(2025年5月29日更新/2026年8月確認)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(2026年8月確認)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告」(令和5年12月19日/2026年8月確認)
- e-Gov 法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第38号/2026年8月確認)
制度・自己負担・利用条件は個別の状況と時期で変わります。ここに書いたのは2026年8月28日時点の一般的な整理です。届出の様式名・提出先・受付時間は変更されることがあります。「1日2件強」という担当件数の置き換えは、44件を20日で割った私の概算で、公表された数値ではありません。ご本人の状況にあてはまるかどうかは、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、市の窓口でご確認ください。