
「父がまた飲みに行きたいと言います。でも、転んだらと思うと連れていけません」
その心配は当然です。ただ、「危ないから行かない」で終える前に、危険を分けて確認してください。飲酒が難しくてもノンアルコールで店に行く、長時間が難しくても1時間だけ出かけるなど、本人の楽しみを残す方法はあります。
介護が始まると、「用事ではない外出」から減っていく
通院には行く。必要なら買い物にも出る。デイサービスにも通う。けれど、外食、カラオケ、友人との会食のような「楽しむための外出」は、介護が必要になると先に減りがちです。
2026年8月25日のYahoo!ニュースは、群馬県高崎市の介護付きスナック「Go To Heaven」を紹介しました。介護職や看護職の支援を受けながら、高齢者がお酒やカラオケ、会話を楽しむ場です。私が注目したのはスナックという業態ではなく、介護が必要になった後にも「街へ出かける」選択肢を残している点でした。
厚生労働省の資料でも、地域での余暇活動として、旅行、映画鑑賞、友人との会食、習い事など、楽しみを目的にした外出を挙げています。介護予防は運動機能だけを見るものではなく、社会への参加を通じた生きがいや生活の質も対象です。本人の希望と安全は、どちらか一方を選ぶ話ではありません。希望と危険を具体的にして、その間に支援を置く話です。
磐田の身近な健康企画から外出を考える場合は、開催期間と本人の希望を分けて確認する健幸いわたWEEK|磐田の親と参加前に確認も確認できます。
外出前に家族が確認したい5つのこと
1.「何をしたいか」を本人の言葉で聞く
最初に決めるのは店ではありません。本人が何を楽しみにしているかです。お酒を飲みたいのか、歌いたいのか、昔の仲間に会いたいのか、夜の街へ出る気分を味わいたいのか。目的が分かれば代わりの方法を考えられます。
飲酒が難しくても、ノンアルコールで同じ店に行けるかもしれません。夜が難しければ昼の会食に置き換えられます。「飲みに行くのは無理」とまとめて断る前に、希望を一つの行動に分けます。
2.主治医か薬剤師に、飲酒と服薬を確認する
お酒を伴う外出では、本人や家族だけで飲める量を決めないほうが安全です。厚生労働省は、高齢者の過度の飲酒が脳血管障害や骨折などの危険に関わると説明しています。薬にはアルコールを含む飲食物との組み合わせに注意が必要なものもあります。
- 今の薬で飲酒を避ける必要があるか
- 飲める場合、量の目安はあるか
- 当日に中止すべき体調の目安は何か
薬を自己判断で抜かないでください。お薬手帳を持って薬剤師に相談すれば、複数の医療機関から出ている薬もまとめて確認できます。
3.「移動」と「店内の介助」を分けて手配する
送迎できれば外出できるとは限りません。自宅から車まで、車への乗り降り、店内の歩行・排泄・食事、帰宅してベッドに入るまでを分けて、誰が担当するか決めます。
親御さん本人の運転に不安がある場合も、免許返納だけを先に決めません。通院・買物・楽しみの往復をどう残すかは、磐田市で運転免許返納|先に確かめる移動手段で整理しています。
厚生労働省の通知には、利用者本人の希望による外出を、介護保険とは分けた保険外サービスとして個別に同行支援する例が示されています。実施の有無、時間、料金は事業所ごとに違うため、担当のケアマネジャーへ相談してください。訪問介護で頼める範囲は訪問介護の身体介護と生活援助の違いにも整理しています。
磐田市には、要支援・要介護の方などを対象にした高齢者等タクシー利用料金助成があります。所得制限などの条件はありますが、1枚600円の助成券を年48枚まで、1乗車につき2枚まで使えます。これは移動費の助成で、店内の介助が付く制度ではありません。詳しい条件は磐田市の高齢者等在宅福祉サービス、使える11事業をご覧ください。
4.店へ電話し、入口・席・トイレを確認する
「バリアフリーですか」だけでは、店と家族で想像する状態が違うことがあります。入口の段差、車いすのまま入れるか、トイレまでの通路幅と手すり、食事を小さく切れるか、ノンアルコール飲料があるかを具体的に聞きます。
最初から夜の混雑時に長く滞在する必要はありません。空いている時間に、家から近い店で60分だけ試す。小さく始めれば、本人も家族も次に直す場所が分かります。
磐田で候補を探す入口として、市の認証先は磐田市の認知症にやさしいお店|認証29か所にまとめました。候補が決まったら、この段落の項目を場所ごとに確認してください。
5.帰宅後まで予定に入れる
外出中に元気でも、帰宅後に疲れやふらつきが出ることがあります。玄関と廊下を明るくし、床の物を片づけます。水分、服薬、排泄、就寝まで誰が見守るかも先に決めます。
翌朝の食欲、歩き方、顔色、受け答えまで見て、次回の滞在時間や介助方法を調整します。「行けたか、行けなかったか」ではなく、「次はどうすれば、もう少し楽に行けるか」を残すための確認です。
運営する側から言うと、「危ない」は支援を考える入口
私は磐田市見付で、サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターの3つを運営しています。住まい・通所・訪問は別のサービスで、契約も別です。この記事を読む方に自社のサービスをご案内する側でもあるので、そこは隠しません。
以下は特定の利用者の体験談ではなく、運営する側としての私の考えです。転倒、誤嚥、飲みすぎ、体調急変。介護の現場が安全を優先するのは当然です。一方で、安全だけを目標にすると、生活から楽しみが一つずつ消えていきます。何も起きない一日を重ねることと、本人が納得して暮らすことは同じではありません。
本人の「行きたい」を無条件にかなえるべきだとは思いません。主治医から止められている飲酒や、支援者を用意できない外出を押し通す話でもありません。ただ、危険があることと最初から諦めることの間には、確認と工夫を置けます。
お酒は飲まずに店へ行く。家族ではなく専門職へ一部を頼む。昼間に変える。1時間だけにする。その一つでも実現できれば、介護を受ける生活の中に、本人が自分で選んだ時間が戻ります。
今日、本人に一つだけ聞いてみる
今日すぐ店を予約する必要はありません。まず本人に、「体がもう少し楽だったら、どこへ行きたい?」と聞いてみてください。
答えが出たら、できない理由を並べる前に担当のケアマネジャーへそのまま伝えます。担当者がいない方や相談先が分からない方は、磐田市内7か所の地域包括支援センターが窓口です。担当は中学校区で決まります。連絡先は磐田市の介護相談窓口にまとめました。
行きたい場所が一つ分かるだけでも、介護の計画は「困りごとを減らす計画」から「暮らしを取り戻す計画」へ少し変わります。
夕方の外出を続ける条件は、帰宅時間と車からの見え方も確かめます。 高齢者の夕方の交通事故|磐田の親と知る危険で整理しています。
地域行事への参加準備は、磐田のウォーキングフットボール|親の参加準備で本人の希望と必要な配慮を確認できます。
よくあるご質問
要介護の人が飲酒しても大丈夫ですか。
要介護度だけでは判断できません。病気、服薬、嚥下の状態、転倒の危険によって異なるため、主治医か薬剤師に確認してください。本人や家族の判断で薬を抜くことは避けます。飲酒できなくても、ノンアルコールで店の雰囲気や会話を楽しむ方法はあります。
趣味の外出に介護保険は使えますか。
外出の目的やサービスの位置づけによって異なります。保険外サービスとして同行支援する例は国の通知にありますが、すべての事業所が対応するわけではありません。担当のケアマネジャーと事業所へ確認してください。
磐田市のタクシー助成は誰でも使えますか。
要支援・要介護の方または同程度の方が対象ですが、所得制限があり、障害者タクシー利用料金助成との重複もできません。施設や病院への入所・入院中は利用できないなどの条件があります。最新情報は磐田市高齢者支援課へ確認してください。

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール
参考にした情報
- Yahoo!ニュース「要介護でも『飲みに行きたい』。異色のスナックが提案する老後の生き方」(2026年8月28日確認)
- 厚生労働省「11.地域での余暇活動」(2026年8月28日確認)
- 厚生労働省「介護予防とは?社会参加の重要性って?」(2026年8月28日確認)
- 厚生労働省「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」(2026年8月28日確認)
- 厚生労働省「高齢者の飲酒と健康」(2026年8月28日確認)
- 磐田市「高齢者等在宅福祉サービス」(2026年8月28日確認)
- 磐田市「地域包括支援センター」(2026年8月28日確認)
医療上の判断、飲酒の可否、服薬方法は一人ひとり異なります。この記事は2026年8月28日時点の一般的な整理で、個別の飲酒や外出を勧めるものではありません。主治医、薬剤師、担当のケアマネジャーへ相談してください。磐田市の助成内容、対象条件、取扱事業者は変わることがあります。ご本人に当てはまるかどうかは、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、市の窓口でご確認ください。