「デイと訪問を組み合わせるか、小規模多機能にするか、決められません」
違いは、1つの事業所がまとめて受けるか、1つのサービスだけかです。小規模多機能を選ぶと、担当のケアマネジャーがその事業所の職員に替わり、訪問介護やデイサービスは併用できなくなります。磐田市内は小規模多機能6か所、通いの事業所56か所。まず数を知ってから考えてください。
違いは、法律の定義にそのまま書いてある
介護保険法第8条第19項は、小規模多機能型居宅介護をこう定義しています。「居宅要介護者について、その心身の状況、その置かれている環境等に応じて、その者の選択に基づき、その者の居宅において、又は厚生労働省令で定めるサービスの拠点に通わせ、若しくは短期間宿泊させ、当該拠点において、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を行うことをいう。」通い、泊まり、訪問が1つの文の中に並んでいます。
一方、同じ法律の第8条第7項の通所介護には、「通わせ」しかありません。「老人デイサービスセンターに通わせ、当該施設において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を行うこと」。泊まりも訪問も入っていません。デイサービスは1つの機能に特化したサービスで、小規模多機能は3つを1つの事業所が持つサービスです。
磐田市の事業者一覧も、同じことを平たい言葉で書いています。「なじみの関係を大切にして、1つの事業所で通いを中心に、泊まり、訪問のサービスを組み合わせて利用することで、居宅において生活を送ることができるように援助を行ないます。」ここでいう「なじみの関係」は、法律で人数を小さく抑えることで守られています。指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準の第66条は、登録定員を29人以下、通いの定員を登録定員の2分の1から15人まで、宿泊の定員を通いの定員の3分の1から9人までと定めています。
私は磐田市見付で、サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターの3つを運営しています。デイサービスと訪問介護を持っている側で、小規模多機能は持っていません。つまり、この比較で自分に有利な結論を書きにくい題材です。以下は特定の利用者の事例ではなく、運営する側としての私の整理です。
いちばん驚かれるのは、担当ケアマネジャーが替わること
小規模多機能型居宅介護を使うと、ケアプランを作る人が替わります。同じ基準省令の第63条第10項が、事業所にこう義務づけているためです。「指定小規模多機能型居宅介護事業者は、登録者に係る居宅サービス計画及び小規模多機能型居宅介護計画の作成に専ら従事する介護支援専門員を置かなければならない。」第74条にも「指定小規模多機能型居宅介護事業所の管理者は、介護支援専門員に、登録者の居宅サービス計画の作成に関する業務を担当させるものとする。」とあります。
これまで居宅介護支援事業所の担当者にケアプランを作ってもらっていたご家庭では、その関係が切り替わります。長く付き合ってきた担当者がいる場合、ここが最大の判断材料になることがあります。担当を替える手続きそのものはケアマネジャーの変更方法と選び方|磐田市の届出書に書きましたが、小規模多機能の場合は選んで替えるのではなく、事業所に付いてくる形になります。
併用にも制限があります。厚生労働省の資料「小規模多機能型居宅介護」(社会保障審議会介護給付費分科会 第257回、2026年5月25日)は、報酬の注記でこう書いています。「訪問看護費、訪問リハビリテーション費、居宅療養管理指導費、福祉用具貸与費に限って併用が可能。」限定して並べているということは、裏を返せばそれ以外は併用できないという読み方になります。今使っている訪問介護もデイサービスもショートステイも、小規模多機能に移った時点で別に使うことはできません。ここは私の読み替えなので、実際の可否は担当のケアマネジャーに確かめてください。訪問看護は併用できる側なので、その違いは訪問介護と訪問看護の違いを先に読むと分かりやすくなります。
料金の形が違う。月額の定額か、1回ごとか
小規模多機能型居宅介護費は「1月につき」の定額です。厚生労働省の「指定地域密着型サービス介護給付費単位数の算定構造」に、要介護度ごとの月額単位数が並んでいます。同一建物に居住する者以外の場合、要介護1が10,458単位、要介護2が15,370単位、要介護3が22,359単位、要介護4が24,677単位、要介護5が27,209単位です。通った回数でも、泊まった日数でも、金額は変わりません。
通所介護のほうは、使った分だけの積み上げです。要介護3で7時間以上8時間未満、通常規模型なら1回900単位。地域密着型通所介護だと1,032単位になります。ここを商売の目で割り戻すと、22,359単位は900単位のおよそ25回分。月25回はほぼ毎日です。週2回のデイで回っているご家庭が小規模多機能に移すと、単位数の上では高くなります。逆に、通いを週4回以上に増やしたうえ、月に何度か泊まりも使い、間に訪問も入れる。この形になったところが分かれ目です。
1単位を10円として計算すると、要介護3の月22,359単位は約223,590円、1割負担なら約22,359円という桁になります。ただし単位あたりの単価は地域区分で変わり、磐田市の区分は今回確認していません。加算も乗ります。実際の請求額は担当のケアマネジャーに出してもらってください。高額介護サービス費の上限額にかかる世帯なら、月の上限で頭打ちになる場合もあります。
磐田市内の数を見ると、選べる状態ではない
磐田市の「介護保険事業者一覧」(2026年8月24日更新)に載っている「磐田市所在の介護サービス提供事業者一覧」(2026年8月1日現在)を数えると、小規模多機能型居宅介護は6か所です。ケアセンター旬彩(今之浦)、小規模多機能型居宅介護 ゆやの里(加茂)、小規模多機能ホームぬくもりの家(二之宮東)、セントケア南天満(見付)、小規模多機能型居宅介護施設あいの街大久保(大久保)、小規模多機能ひとこと(一言)。看護小規模多機能型居宅介護はセントケア看護小規模三本松(見付)の1か所だけです。
通いのほうは桁が違います。通所介護41か所、地域密着型通所介護14か所、認知症対応型通所介護1か所で、合わせて56か所。小規模多機能6か所の9倍以上あります。使っている人数も同じ傾向です。磐田市の計画では、通所介護の利用者が令和4年度実績で年1,869人、小規模多機能型居宅介護は年77人でした。令和8年度の見込みは、通所介護2,111人に対し小規模多機能98人です。
正直に言えば、私はこの6という数字を見て、選択肢として勧めにくいと感じました。市内6か所のうち、親御さんの家から通える距離にあるのは、たいてい1か所か2か所です。制度としてどれだけ優れていても、そこに空きがなければ選択肢になりません。比べる前に、まず地図で場所を見てください。
退院後に看護も必要な場合は、看護小規模多機能と小規模多機能の違いで、一体で頼む方法と別に組み合わせる方法を比べられます。
全国では小規模多機能が減り、看護小規模多機能が増えている
厚生労働省の「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」(2025年12月19日公表、令和6年10月1日現在)によると、小規模多機能型居宅介護の事業所数は5,478か所で、前年から45か所、0.8%の減少でした。同じ表で、看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)は1,074か所、前年から80か所、8.0%の増加です。
5年で見ると、向きの違いがはっきりします。小規模多機能は令和3年の5,614か所をピークに3年続けて減りました。看護小規模多機能は令和2年の711か所から5年続けて増え、1,074か所になっています。通所介護は24,585か所でほぼ横ばい(前年比8か所増、0.0%)、地域密着型通所介護は18,921か所で235か所減(1.2%減)でした。
私の読みを書きます。増えているのは「看護が付いた形」のほうです。医療の必要な方を在宅で見るには、介護だけでは足りない。磐田市内に看護小規模多機能が1か所しかないという現状は、全国の伸びとは逆を向いています。ここは推測ですが、今後増える余地があるとすれば、小規模多機能そのものより看護が付いた側だと考えています。
良い点は2つ、注文したい点も2つ
小規模多機能という仕組みについて、良い点から数えます。1つ目は、予定の組み替えが早いことです。通い・泊まり・訪問が同じ事業所にあるので、家族の都合が急に変わったときに、事業所をまたいだ調整が要りません。2つ目は、法律で人数を小さく抑えていることです。登録29人以下、通い15人まで、泊まり9人まで。顔ぶれが変わらないという条件が、制度の側で担保されています。
そのうえで、注文が2つあります。1つ目は、磐田市内6か所という数です。仕組みが良くても、通える範囲に1か所もなければ、家族にとっては存在しないのと同じです。2つ目は、月額定額であることが家族に伝わりにくい点です。入院した月も、体調が悪くて通えなかった月も、基本の単位数は同じかかり方をします。使わなかった分が戻る仕組みではないことを、契約の前に必ず確認してください。どちらも仕組みの話であって、現場の職員の努力の問題ではありません。
今日できる確認は3つ
今日どちらかに決める必要はありません。次の3つを埋めるところまでで足ります。
| 1. 1週間の予定を紙に書く | 通いが何回、泊まりが何回、訪問が何回要るか。週4回以上の通いと月何度かの泊まりが並ぶなら、小規模多機能を検討する意味が出る |
|---|---|
| 2. 今の担当ケアマネジャーに聞く | 「小規模多機能に移ると担当はどうなるか」。事業所の職員に替わることを、本人にも先に伝えておく |
| 3. 6か所の場所を地図で見る | 磐田市の事業者一覧で、今之浦・加茂・二之宮東・見付・大久保・一言の6か所。通える距離にあるかを先に見る |
デイサービスと訪問介護をどう組み合わせるかはデイサービスと訪問介護の違いは?磐田での選び方に、泊まりだけを単発で使うショートステイの話は磐田でショートステイを予約するコツ|3割の壁に分けて書きました。3つを見比べてから決めても遅くありません。
1つ、私が確認できなかったことを書いておきます。磐田市の第9期介護保険事業計画には、施設・居住系サービスのベッド数の整備計画は載っていますが、小規模多機能を今後何か所増やすかという計画値は載っていませんでした(2026年8月31日確認)。6か所のまま推移するのかどうかは、この資料からは読み取れません。
よくあるご質問
小規模多機能を使うと、今のケアマネジャーはどうなりますか。
担当が事業所の中の職員に替わります。指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準の第63条第10項は、事業所に「登録者に係る居宅サービス計画及び小規模多機能型居宅介護計画の作成に専ら従事する介護支援専門員を置かなければならない」と定めています。今の担当者との関係をどうするかは、双方に先に伝えてください。
デイサービスと小規模多機能、どちらが安いですか。
使う回数で逆転します。要介護3の場合、小規模多機能型居宅介護費は1月22,359単位の定額(同一建物居住者以外)。通所介護は7時間以上8時間未満の通常規模型で1回900単位です。単純に割ると約25回分にあたります。週2回のデイで足りているなら、単位数の上では小規模多機能のほうが高くつきます。
磐田市に小規模多機能は何か所ありますか。
6か所です(磐田市「磐田市所在の介護サービス提供事業者一覧」2026年8月1日現在)。看護小規模多機能型居宅介護は1か所。一方、通所介護は41か所、地域密着型通所介護は14か所、認知症対応型通所介護は1か所あります。通いの事業所56か所に対して、小規模多機能は6か所という差です。
この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール
参考にした公式情報
- e-Gov法令検索「介護保険法(平成9年法律第123号)」第8条第7項・第19項(2026年8月確認)
- e-Gov法令検索「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)」第63条・第66条・第74条(2026年8月確認)
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第257回 資料1「小規模多機能型居宅介護」2026年5月25日(2026年8月確認)
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第258回 資料1「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」2026年6月15日(2026年8月確認)
- 厚生労働省「指定地域密着型サービス介護給付費単位数の算定構造」(2026年8月確認)
- 厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」2025年12月19日公表(2026年8月確認)
- 磐田市公式ウェブサイト「介護保険事業者一覧」2026年8月24日更新/磐田市所在の介護サービス提供事業者一覧(2026年8月1日現在)(2026年8月確認)
- 磐田市「健幸いわた いきいき長寿プラン(磐田市第10次高齢者保健福祉計画・第9期介護保険事業計画)」2024年4月発行(2026年8月確認)
制度・自己負担・利用条件は個別の状況と時期で変わります。ここに書いたのは2026年8月31日時点の一般的な整理です。単位数は事業所の体制・加算・地域区分で変わり、実際の請求額とは一致しません。事業所の数と名称も変わることがあります。ご本人の状況にあてはまるかどうかは、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、市の窓口でご確認ください。