在宅を続ける段取り / 2026年8月31日

磐田でショートステイを予約するコツ|3割の壁

壁にひと月分のカレンダーが掛かり、連続する日がまとめて塗られて1マスだけオレンジ色で囲まれている。手前の床には泊まりの荷物を詰めたボストンバッグ、杖、たたんだタオルの重ねが置かれている
記事の内容をもとに作成したAI生成イラストです。実在する人物・施設ではありません。

「急な用事のときに使いたいのに、ショートステイの予約が取れません」

コツは3つです。担当のケアマネジャーに「予約の受付は何か月前から始まるか」を先に聞くこと。緊急時に受け入れる体制がある事業所かを、平時に確かめておくこと。食費と滞在費の負担限度額認定を先に取っておくこと。電話を早くかけるより、先に決めておける項目を潰すほうが効きます。

予約が取りにくい理由は、国の統計にはっきり出ている

厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会の資料「短期入所生活介護」(第258回、2026年6月15日)は、長期利用の割合をこう書いています。「31日以上連続で利用する利用者の割合は令和2年度まで増加傾向にあったが、それ以降は概ね横ばいであり、令和6年度においては全体の約3割である。」さらに「61日以上連続で利用している利用者は、31日以上連続で利用している利用者の約8割を占めている。」とも書かれています。

この「約3割」は、レセプトの算定回数を母数にした割合です。令和6年度の基本報酬の総算定回数43,347.3千回に対し、長期利用にあたる算定回数が33.1%を占めます。同じ資料でも、1か月の延べ利用者数を母数にした調査(n=30,694)では、31日以上の連続利用は10.6%です。数字が3倍違って見えるのは、片方が日数の積み上げで、もう片方が人の数だからです。

家族の側から見ると、効いてくるのは前者の割合のほうです。ベッドは日数で埋まるからです。31日以上連続で利用している方(n=2,244)の内訳を見ると、121日以上が54.5%を占めます。要介護度も、要介護3が38.1%、要介護4が28.0%と重い方に寄っています。「数日だけ借りたい」という予約が、月単位で滞在している方と同じ枠を取り合う構造になっています。

私は磐田市見付で、サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターの3つを運営しています。ショートステイは持っていません。ですから、この記事を読んで「では大石のところへ」とはなりません。以下は運営する側から見た段取りの話で、特定の利用者の事例ではありません。

連続利用が延びると、1日あたりの単位数が下がる仕組みになっている

短期入所生活介護の報酬は、連続利用日数で3つに区切られています。1日から30日は基本報酬、31日から60日は長期利用者減算、61日以降は長期利用の適正化。同じ資料の言葉では、こう説明されています。「短期入所生活介護、介護予防短期入所生活介護における長期利用について、長期利用の適正化を図り、サービスの目的に応じた利用を促す観点から、施設入所と同等の利用形態となる場合、施設入所の報酬単位との均衡を図ることとする。」

短期入所生活介護の連続利用日数と1日あたり単位数を要介護3の場合で比べた表 短期入所生活介護の連続利用日数別の1日あたり単位数(要介護3の場合)。単独型は1日から30日が787単位、31日から60日が757単位、61日以降が732単位。併設型は745単位、715単位、715単位。単独型ユニット型は891単位、861単位、815単位。併設型ユニット型は847単位、817単位、815単位。参考として介護老人福祉施設の単位数は732単位および815単位で、61日以降の短期入所生活介護は施設入所と同じ水準に揃えられている。区分の名称は1日から30日が基本報酬、31日から60日が長期利用者減算、61日以降が長期利用の適正化。なお介護保険で連続して算定できるのは30日までで、厚生労働省告示第19号の別表 短期入所生活介護費 注21が、30日を超える日以降は短期入所生活介護費を算定しないと定めている。出典は厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第258回 資料4「短期入所生活介護」(2026年6月15日)。 連続利用日数と1日あたり単位数(要介護3の場合) 厚生労働省 介護給付費分科会 第258回 資料4より ※2026年8月31日確認 事業所の型 1〜30日 基本報酬 31〜60日 長期利用者減算 61日以降 長期利用の適正化 単独型 787単位 757単位 732単位 併設型 745単位 715単位 715単位 単独型ユニット型 891単位 861単位 815単位 併設型ユニット型 847単位 817単位 815単位 参考:介護老人福祉施設の単位数は732単位・815単位。61日以降は施設入所と同じ水準にそろえられている。 令和6年度、31日以上の長期利用は算定回数ベースで全体の33.1%。うち61日以降が約8割(11,332.7千回)。 延べ利用者ベース(n=30,694)では31日以上は10.6%。母数が違うと、同じ話が3倍違って見える。 保険で連続して算定できるのは30日まで(告示第19号 別表 注21)。出典:介護給付費分科会 第258回 資料4(2026年6月15日)
厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第258回 資料4「短期入所生活介護」の数値をもとに作成した図です(2026年8月31日確認)。

ここで多くのご家族が引っかかる点を1つ。介護保険で連続して算定できるのは30日までです。厚生労働省告示第19号「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」の別表、短期入所生活介護費の注21がこう定めています。「利用者が連続して30日を超えて指定短期入所生活介護を受けている場合においては、30日を超える日以降に受けた指定短期入所生活介護については、短期入所生活介護費は、算定しない。」

では、31日以上という統計は何を数えているのか。厚生労働省の解釈通知(老企第40号)が、その実際を書いています。「居宅に戻ることなく、自費利用を挟み同一事業所を連続30日を超えて利用している者に対して短期入所生活介護を提供する場合には、連続30日を超えた日から減算を行う。」1日だけ自費で泊まって日数を切り、また保険で使う。この形が現に行われていて、そこに1日30単位の減算がかかる構造です。

2024年度の改定で、その先にもう1段が足されました。連続して60日を超えて同じ事業所に入所している方について、61日以降を介護老人福祉施設と同じ単位数にそろえる「長期利用の適正化」です。上の図のいちばん右の列がそれにあたります。31日以上が算定回数の約3割、そのうち61日以上が約8割という数字は、この2つの段差の奥に人が滞留していることを示しています。

もう1つ、全国の事業所の型も見ておきます。同じ資料によると、事業所数の割合は併設型47.8%と併設型ユニット型36.7%で、合わせて約84%。単独型は9.7%です。ショートステイの多くは特別養護老人ホームなどに併設されています。ここからは私の読みですが、本体施設の事情が空きに影響しやすい構造だと考えています。

緊急のときに受けてくれる事業所は、全体の11.5%にとどまる

急な用事や体調不良に備えたい、という動機でショートステイを調べる方は多いはずです。制度の側にも、その枠は用意されています。緊急短期入所受入加算は1日につき90単位、7日(やむを得ない事情がある場合は14日)が限度です。

ところが、この加算を実際に算定した事業所は1,223か所で、事業所全体の11.5%でした(令和7年11月審査分)。算定率は回数・日数ベースで0.3%です。認知症行動・心理症状緊急対応加算にいたっては、算定事業所が2か所で0.0%。制度として枠はあるのに、動いているのは1割ほど、というのが数字の実際です。

もう1つ、同じ資料で目についたのは、自治体がショートステイに期待する役割の調査結果です(n=741)。最も多かったのは「家族介護者等の負担軽減」で84.5%。次が「体調や認知症の状態悪化が生じた在宅療養者に対する対応」48.4%、「虐待等対応の一時的な避難場所」46.4%でした。家族が休むために使うことは、後ろめたい使い方ではなく、行政が第一に想定している使い方だということです。

言い切ります。予約を取るコツは、電話を早くかけることではありません。緊急に受けてくれる事業所が1割ほどしかない以上、急いでから探しても間に合わない。平時のうちに、担当のケアマネジャーに「緊急のときに受けてくれる事業所はどこか」を1回聞いておく。それが最も効きます。

磐田市には、介護保険とは別の「短期入所」がもう1つある

磐田市の「高齢者等在宅福祉サービス」のページ(2026年7月9日更新)には、11の事業が並んでいます。その8番目が「短期入所」です。市の説明はこうです。「介護をしている家族などの理由により家庭において介護が受けられない場合に、養護老人ホームなどへ一時的に入所できるサービスです」。対象は「65歳以上の高齢者で、一時的に入所が必要な方」、利用者負担は「1日 1,275円」と書かれています。

これは介護保険の短期入所生活介護とは別の仕組みです。対象の欄に要介護認定が書かれていません。入る先も養護老人ホームなどで、介護保険のショートステイとは違います。11事業の全体像は磐田市の在宅福祉サービス11事業に整理しました。認定の結果を待っている間に動かせるものがある、というのはこの記事に書いたとおりです。

磐田市内でショートステイ(短期入所生活介護)を提供している事業所は15か所です。磐田市の「介護保険事業者一覧」(2026年8月24日更新)に載っている「磐田市所在の介護サービス提供事業所一覧(2026年8月1日現在)」の4ページ目に、連番1から15まで並んでいます。市の説明は「特別養護老人ホームなどで、介護の必要なお年寄りを一時的にお預かりします。」です。

使っている人の数も出ています。磐田市の計画によると、短期入所生活介護の利用者は令和4年度実績で年458人、令和8年度の見込みが年554人です。市内15か所で単純に割ると1か所あたり年31人ですが、市外の事業所も使えるので、あくまで規模感の数字として見てください。

費用の規模も見ておきます。磐田市の「健幸いわた いきいき長寿プラン」(第10次高齢者保健福祉計画・第9期介護保険事業計画、2024年4月発行)は、短期入所生活介護の給付費を令和6年度595,115千円と見込んでいます。介護(介護予防)給付費の合計12,711,185千円に対して4.7%です。65歳以上の人口49,033人(同計画の令和6年の数値)で割ると、1人あたり年12,138円という計算になります。分母は私が置いたものなので、ざっくりの数字として見てください。

良い点は2つ、注文したい点も2つ

長期利用の見直しについて、良い点から数えます。1つ目は、61日以降の単位数を介護老人福祉施設と同じ水準にそろえたことです。実質的に施設入所と変わらない使い方に、施設と同じ値段をつける。筋は通っています。2つ目は、緊急短期入所受入加算という枠が制度として用意されていることです。値段が付いていなければ、事業所は受けようがありません。

そのうえで、注文が2つあります。1つ目は、その緊急の枠を算定した事業所が11.5%にとどまっていることです。仕組みがあっても、1割の事業所しか動かないなら、家族の側からは無いのと同じに見えます。2つ目は、「何か月前から予約を受けるか」という情報が、公的にはどこにも整理されていないことです。家族は事業所ごとに電話で聞くしかありません。値段や設備より、この1点のほうが予約の成否を分けます。どちらも仕組みの話であって、現場の職員の努力の問題ではありません。

今日できる確認は3つ

今日、予約を入れる必要はありません。次の3つを潰しておくと、いざというときの電話が短くなります。

泊まりが必要か、日中の通所で足りるか迷う段階では、ショートステイとデイサービスの違い|2つの軸で先に切り分けられます。

1. 予約の受付開始時期を聞く担当のケアマネジャーに「あの事業所は何か月前から受けているか」を確認する。使う月ではなく、受付が始まる月のほうを押さえる
2. 緊急時に受けてくれる事業所を1つ決めておく緊急短期入所受入加算を算定している事業所は全体の11.5%。急いでから探すのでは間に合わない
3. 負担限度額認定証の有無を確認する食費と滞在費は保険の給付とは別枠。認定は申請した月の1日からで、さかのぼらない

1つ、私が確認できなかったことを書いておきます。磐田市内の15事業所それぞれが何か月前から予約を受けているかは、市の一覧にも各事業所の公開情報にも書かれていませんでした(2026年8月31日確認)。ここだけは、担当のケアマネジャーか事業所に直接聞くしかありません。

ケアマネジャーとの関係がうまくいっていない場合は、担当を替える手続きもあります。手順はケアマネジャーの変更方法と選び方|磐田市の届出書に書きました。食費・滞在費の軽減については介護保険負担限度額認定証の申請|2026年8月改定を先に読んでおくと、金額の見当が付きます。使う事業所を実際に見に行くときの確認点は介護施設見学のチェックポイントにまとめてあります。

仕事を休んで介護体制を整える場合は、介護休業の申出方法と2025年4月からの個別周知も確認し、休業後に短期入所をどう組み込むかまで予定表に置いてください。

医療面の支援が必要な方は、予約先の種類も先に確かめます。短期入所生活介護と短期入所療養介護の違いも確認してください。

よくあるご質問

ショートステイの予約はどこに申し込みますか。

担当の居宅介護支援事業所のケアマネジャーです。ショートステイは居宅サービス計画に位置づけて使うサービスなので、事業所へ直接電話しても、結局ケアマネジャーを通す形になります。要介護認定をまだ受けていない場合は、担当の地域包括支援センターが窓口です。磐田市には中学校区ごとに7か所あります。

連続で何日まで使えますか。

介護保険で連続して算定できるのは30日までです(厚生労働省告示第19号 別表 短期入所生活介護費 注21)。実務では自費の宿泊を挟んで続ける形があり、居宅に戻らず自費を挟んで同一事業所を連続30日を超えて使う場合は、30日を超えた日から1日30単位の減算がかかります(老企第40号)。連続60日を超えると、61日以降は介護老人福祉施設と同じ単位数になります。

急に必要になったとき、当日でも受けてもらえますか。

緊急時に受け入れた場合の緊急短期入所受入加算は、1日につき90単位、7日(やむを得ない事情がある場合は14日)が限度です。ただしこの加算を算定した事業所は1,223か所で、全体の11.5%にとどまります(令和7年11月審査分)。受けてくれる事業所かどうかは、平時に聞いておくのが確実です。

著者・大石浩之(富士ヶ丘サービス代表取締役・宅地建物取引士)の顔写真

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール

参考にした公式情報

制度・自己負担・利用条件は個別の状況と時期で変わります。ここに書いたのは2026年8月31日時点の一般的な整理です。単位数は事業所の体制や加算によって変わり、実際の請求額とは一致しません。予約の受付方法は事業所ごとに違います。ご本人の状況にあてはまるかどうかは、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、市の窓口でご確認ください。

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