介護の相談 / 2026年9月21日

認知症の意思決定支援|親の希望を聞く3つの工夫

慣れた部屋で高齢の母が絵カードを選び、隣に座る娘が落ち着いて話を聞くイラスト
記事の内容をもとに作成したAI生成イラストです。実在する人物・施設ではありません。

昨日と今日で親の返事が違います。どちらが本当の希望ですか。

認知症の人の希望は、言葉・場所・時間を整え、必要に応じて改めて確かめます。返答が変わっただけで、本人には決められないと扱わないでください。短く具体的に説明し、慣れた場所と集中できる時間帯を選びます。決定は強制せず、家族だけで迷う場合は担当ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談します。制度・利用可否・費用は個別条件で異なります。

第2版が示すのは、本人が選ぶための支援

厚生労働省の「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)」は2025年3月の資料です。本文13・15・17頁を2026年9月21日に確認しました。家族も支援する側に含まれ、本人が決めない自由にも配慮する内容です。

私は、決めないことまで支援の対象になる点を大切に読みます。希望を聞くというと、最後に「はい」をもらう仕事に見えがちです。しかし、答えが出ない時間を失敗にしない。それが、家族の聞き方を見直す出発点になります。

本人の意思を中心に据える良さは、家族が用意した答え以外も残せることです。認知症と診断されたことを、暮らしの全部を家族が決める理由にはしません。考え方の土台は認知症基本法と本人の暮らしでも整理しています。

工夫1 言葉を短くし、本人の答えを先に聞く

認知症の意思決定支援では、本人に分かる言葉で説明し、望んでいることを尋ねます。厚生労働省の第2版・本文15頁は、説明の理解を確かめることや、選択肢を分かりやすく示す方法を扱っています。

ここからは、家庭で試すための私の提案です。最初の一問を「どうしたい?」だけにせず、何について聞くかを添えます。例えば「午後はどこで過ごしたい?」です。これは会話の例であり、実在の利用者の発言ではありません。

答えにくそうなら、写真や実物など、本人が見て考えられる材料を使います。「家で過ごす」「庭へ出る」と候補を示しても、その二つから必ず選ばせる必要はありません。「ほかにしたいことはある?」と、候補の外へ戻れる余地も置きます。

避けたいのは「こっちの方が安心だよね」と結論を質問に埋めることです。家族が望む返事は得られても、本人の希望を聞けたとは限りません。私なら、説明する文と、希望を尋ねる文を分けます。答えを待つ間に、家族が代わりに言い終えないようにします。

うなずきがあっても、そのまま契約への同意にはつなげません。「どんなところがよさそう?」と本人の受け止め方を聞く案があります。答えられるかを試験するためではありません。説明が伝わらなければ、聞く側が言葉や材料を変えるためです。

工夫2 慣れた場所で、話す相手を整える

認知症の親の希望を聞く場所は、家族の集まりやすさだけで決めないでください。第2版・本文13頁は、慣れた場所と安心できる環境への配慮を示しています。

私は、磐田の実家で話すなら、まず本人が普段落ち着いて座れる場所を候補にします。テレビの音を下げてよいか、隣に誰がいると話しやすいかを本人に尋ねます。家だから必ず安心とは決めず、その日の様子を見て選びます。

親族がそろった機会でも、全員が順番に質問する形は避けたいところです。私の提案は、最初に話す役を一人にし、ほかの家族は口を挟まず待つこと。人数の正解を決めるのではなく、本人が誰の声を聞けばよいか分かる場にします。

家族の前では言いにくい希望もあるかもしれません。親が遠慮しているかどうかを家族だけで断定せず、信頼する支援者と話せる機会を相談してください。親子だから全部分かるという前提を、一度脇へ置くということです。

工夫3 集中できる時間を選び、聞き直しを責めない

認知症の人へ希望を尋ねる時間は、本人が集中しやすい時間帯を選びます。第2版・本文13頁は疲れているときを避ける配慮、本文15頁は必要に応じた意思の再確認を示しています。

私なら「午前中なら正しい」と時刻を固定しません。本人が話しやすかった時間を手掛かりにし、眠そうなら別の機会にします。子どもが帰る時刻は、親が答えを出す締切にはできません。

返答が変わったら「昨日と言っていることが違う」と正しさを争わず、話題を短く説明し直します。以前の返事を示すときも、撤回を封じる証拠にしない。「前はこう聞いたけれど、今日はどう思う?」という聞き方が私の提案です。

同じ問いを続けて、家族の望む答えが出るまで繰り返すのは避けます。聞き直しは説得の回数を増やすことではありません。話す条件を変える、間を置く、支援者と相談するという別の手があります。

運営する側から言うと、返事を取ることを成果にしない

親の希望を聞く日の成果は、契約の可否まで決めることではありません。私は、本人が選ぶための材料が一つ増えた状態を成果と考えます。まだ決めない自由を、家族にも本人にも残したいのです。

私は大石浩之(磐田市/不動産業)です。富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役として、住まいのサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、通所のふじがおか見付デイサービス、訪問のふじがおか訪問介護センターを運営しています。3サービスは別物で、住まいと介護サービスの契約も別です。

これは実話ではなく、利害のある運営者としての私の意見です。支援を早く用意したい気持ちと、本人を急かしたくない気持ちの間で、私も迷います。それでも、事業所の説明が済んだことと、本人が選べたことは同じにしません。本人の「今日は話したくない」を、利用を妨げる返事として片づけないと決めています。

その上で注文したいのは、家族だけに丁寧な対応を背負わせないことです。第2版・本文17頁には家族への支援もあります。本人と家族の希望が違うときは、家族の疲れや限界も相談材料にしてください。相談相手の役割は地域包括支援センターとケアマネジャーの違いで確認できます。

今日の確認は、話しやすい条件を一つ探すこと

今日できる確認は、親御さんに「どこで話そうか」と尋ねることです。話すのを嫌がる日なら、結論を求めず、別の機会を考えます。場所を本人と選べたことも、意思決定の一つです。

家族用のメモには、聞いた言葉、場所、時間、本人の返答を分けて残すことを私は勧めます。「嫌そうだった」は家族の受け止め、「今日はやめる」は本人の言葉、と区別します。返答の矛盾を探す表ではなく、次にどう聞くかを考える材料です。

聞けた希望を支援の相談へ渡す段階は、ケアプランへ本人と家族の意向を分けて伝える方法を参照してください。安全に関わる切迫した問題や期限がある場合は、家族だけで先送りせず、担当者と必要な対応を相談します。

家族として接し方の基礎を学びたい場合は、磐田市の認知症サポーター養成講座と家族の受講条件も確認できます。

説明の受け取り方を相談するときは、介護の合理的配慮|磐田で希望を伝える手順で確認事項を整理できます。

よくあるご質問

ご家族が判断に迷う場面について、確認方法を整理します。

親の答えが日によって変わるときは、家族が決めてよいですか。

返答が変わることだけを理由に、家族が代わりに決める扱いにはしません。説明した言葉、話した場所、時間帯を振り返り、必要に応じて改めて確かめます。本人の意思をどう受け止めるか迷う場合は、担当ケアマネジャーなどと相談してください。家族が望む答えが出るまで問い続ける方法は避けます。

親が「分からない」と言ったら、どう聞けばよいですか。

何について選ぶのかを短く説明し、本人が分かる言葉や写真などで材料を示します。選択肢を出しても、その中から必ず選ばせる必要はありません。疲れや緊張があるなら話す条件を変え、別の機会も考えます。分からないという返答を責めず、家族だけで難しいときは支援者へ聞き方を相談してください。

本人を尊重するには、家族の希望を言わない方がよいですか。

家族の希望や支えられる範囲も、本人の希望と区別して伝えて構いません。家族が無理を引き受け続けることが意思決定支援ではありません。厚生労働省の第2版は家族への支援も扱っています。本人の言葉を家族の意見で置き換えず、違いがあるまま担当者へ相談し、実現できる方法を一緒に考えます。

著者・大石浩之(富士ヶ丘サービス代表取締役・宅地建物取引士)の顔写真

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール

参考にした公式情報

以下の一次情報を2026年9月21日に確認しました。

制度・数値・利用可否・自己負担は、個別の状況と時期で変わります。この記事は一般的な整理です。

当社への相談は入居や契約を決める前でも構いません。電話と相談フォームから選べます。

介護相談フォーム 電話で相談(0538-33-7070/9:00~17:30)

担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターに確認してください。

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