
親が説明を聞き取りづらい。どこまで配慮を頼める?
介護サービスの合理的配慮は、障害による利用上の障壁を取り除くため、過重な負担にならない範囲で個別に対応するものです。手帳の有無だけでは対象は決まりません。本人が困る場面、望む伝え方、別の方法を事業者と話し合います。希望した方法が必ず実現するとは限りませんが、理解できないまま契約を急ぐ必要はありません。
制度の適用・利用可否・自己負担は個別条件で異なります。
合理的配慮は2024年4月から事業者の義務
介護サービスを利用する際の合理的配慮は、事業者の厚意だけに任されたものではありません。内閣府は、事業者に合理的配慮の提供を義務付ける改正障害者差別解消法が、2024年4月1日に施行されたと説明しています。
制度を案内する内閣府の記事の公表日は2024年5月20日です。本記事では2026年10月11日に確認しました。施行日と記事の公表日は別であり、2026年の新しい改正として扱うものではありません。
正式な法律名は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」です。内閣府は対象分野に医療・福祉を含めています。雇用・就業は別の法律によるため、ここでは介護サービスの説明や利用場面に絞って考えます。
私は大石浩之(磐田市/不動産業)です。富士ヶ丘サービスの代表取締役として、配慮を求められる側でもあります。事業者の都合を先に説明するのではなく、親が何を理解しづらいのかを聞く順番を考えたいと思います。
最初に聞くのは本人が困っている場面
合理的配慮の相談は、本人の困っている場面を確認するところから始められます。内閣府は、対象を障害者手帳の所持者に限っていません。心身の機能の障害により、日常生活や社会生活に継続して相当な制限を受ける人を含むと説明しています。
聞こえにくさがあるなら、どんな場面で説明を受け取りにくいかを本人に尋ねます。声が重なる場所なのか、相手の顔が見えないときなのか、口頭で内容が続くときなのか。診断名だけを伝えるより、困る場面も添えるのが私の提案です。
ただし、高齢であることだけで制度の対象が決まるという説明ではありません。家族だけで法的な対象を判定するより、実際に生じている障壁と希望を伝え、個別の対応を相談します。
機器の購入支援を調べたい場合は、磐田市の補聴器購入助成を別に確認できます。購入費の制度と、事業所で理解しやすく説明してもらう相談は分けて考えます。
希望する方法と代わりの方法を並べる
合理的配慮の具体的な内容は、障害の特性と場面、状況によって変わります。内閣府の説明では、障壁を取り除く対応を求められたとき、事業者は負担が重すぎない範囲で対応する扱いです。希望した方法が一律に保証される制度ではありません。
相談用の例として、「正面から話してほしい」「要点を紙にも書いてほしい」「静かな場所で説明を受けたい」があります。いずれも特定の利用者の発言ではなく、本人の希望を確かめるための候補です。全員に同じ方法が合うとは限りません。
紙なら読みやすいと思っても、文字を読むこと自体が負担になる人もいます。家族が方法を一つに決める前に、本人がどうなら理解しやすいかを聞きます。使い慣れた方法があれば、準備段階で事業所に伝えておくと話し合いやすくなります。
私なら、第一希望の方法と、その方法でできるようにしたいことを並べます。「筆談でなければだめ」と方法だけを示すより、「料金の説明を本人が確認したい」と目的も伝える形です。難しい方法があっても、目的を共有できれば代案を考える余地が残ります。
良い点は個別の対話、注文は断る理由の説明
合理的配慮について私が評価するのは、本人ごとの障壁を対話の出発点にできる点です。説明資料を配ったかどうかだけで終わらず、本人に届く形になっているかを確認するきっかけになります。
そのうえで運営者に注文したいのは、希望する方法が難しいときの説明です。「対応できません」の一言で止めず、何が難しいか、どの部分なら対応できるかを示してほしいと思います。家族に別の方法を考える材料を渡すことも、対話の一部です。
私は、どこまでを事前に用意し、どこから個別に調整するかに迷います。設備や人員をその場で変えられない場合もあるからです。それでも、準備がないことを理由に話を聞かずに終えるのは違う。私なら、本人に合う方法を確認する時間を説明の段取りに組み込みます。
厚生労働省のカスタマーハラスメント防止指針も、障壁の除去を求める意思表示自体はカスハラに当たらないと明記しています。配慮を相談することまで遠慮する必要はありません。一方、個別の法的な適否は、事情を確認せずに断定できません。
今日できる確認は説明方法の予約
介護の見学や契約説明を予定しているなら、日程と一緒に説明方法を相談することが今日できる確認です。申し込むサービス名、本人の困る場面、希望する対応、同席する人を短く伝えます。話がまとまらない部分は未確認のままで構いません。
例えば「本人が口頭説明を聞き取りづらいので、要点を紙で見ながら説明を受けられますか」と尋ねます。対応が可能か、準備が必要か、別の方法があるかを確認します。これは相談の例文であって、当社の提供方法を確約する案内ではありません。
説明当日は家族が全部答えるのではなく、本人が返答しやすい順番を相談します。本人の言葉を待つ方法は、認知症の人の意思決定を支える工夫でも整理しています。聞こえにくいことと、意思がないことを混同しないためです。
希望する対応が伝わったか、誰が引き継ぐかも確認してください。説明した相手と当日の担当者が違う場合は、本人が同じ困り事を一から説明しなくて済むようにする。その段取りを事業所と相談するのが私の提案です。
サービスの使い方そのものへの希望は、ケアプランへ家族の意向を伝える準備も参照できます。説明の受け取り方の相談と、利用する支援内容の調整を分けると、担当者が整理しやすくなります。
運営する側から、返事を取るより理解を確かめる
介護の説明を受けた本人には、内容を確かめてから判断する余地が必要です。理解できないままのうなずきを、契約への同意として急いではいけない。私はそう考えます。
私なら説明の最後に、契約するかではなく、分からない箇所が残っていないかを尋ねます。本人がその場で言葉にしづらければ、持ち帰って確かめる方法も相談します。本人の理解を待つ時間も、説明の一部だと私は考えます。運営する側からこそ、返事を急がせない姿勢を示したいと思います。
私は、住まいのサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、通所のふじがおか見付デイサービス、訪問のふじがおか訪問介護センターを運営しています。3つは別のサービスです。住まいと介護サービスの契約も別で、相談・説明の対象を分けて確認します。
事情を伝える道具を選ぶときは、介護マークとヘルプマークの違い|磐田の外出も確認できます。
よくあるご質問
介護の合理的配慮について、個別の判断と相談の準備を分けて確認します。
障害者手帳がないと配慮を頼めませんか。
内閣府の説明では、障害者差別解消法の対象は手帳を持つ人に限定されません。心身の機能の障害により、継続して日常生活や社会生活に相当な制限を受ける人を含みます。手帳がないという理由だけで相談を諦めず、困る場面と希望する対応を事業者へ伝えてください。具体的な配慮は個々の状況に応じて話し合います。
希望した方法を断られたら終わりですか。
希望した方法が難しい場合も、何が難しいかと、別の方法で目的を満たせないかを相談できます。合理的配慮は過重な負担にならない範囲での個別対応であり、すべての希望がそのまま実現するとは限りません。説明を理解したいという目的を共有し、話し合いが進まなければ担当者や地域の相談先に状況を伝えます。
家族が代わりに申し出てもよいですか。
本人が希望を伝えにくい場合は、家族が相談を手伝う方法があります。ただし、家族の便利さだけで対応を決めないよう、本人が困ることと望むことをできる範囲で確かめます。家族から事業者へ、聞き取りづらい場面や使い慣れた方法を伝え、説明の相手は本人であることも共有してください。本人の返答を待つ時間も相談できます。

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。磐田市で住まい・通所・訪問の3サービスを運営しています。不動産業では実家じまい・空き家・相続の相談も受けています。プロフィール
参考にした公式情報
本文の制度と日付は、次の一次情報で確認しました(2026年10月確認)。
- 内閣府:改正障害者差別解消法が施行されました(2026年10月11日確認)
- 厚生労働省:カスタマーハラスメント防止指針(2026年10月11日確認)
当社への相談は、見学や契約を決める前でも受け付けています。介護相談フォーム 電話で相談(0538-33-7070/9:00~17:30)
本記事は2026年10月11日確認の一般的な整理です。制度・数値は変わり得ます。制度の適用、利用可否、自己負担は個別条件で異なります。医療・法律などの個別判断は該当する専門家へ相談してください。介護の支援については、担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターに確認を。