
「親の退院日を告げられました。介護は何から準備しますか?」
退院後の介護は、①要介護認定が未申請か、今の区分が状態に合うか、②担当ケアマネジャー等と病院が連絡済みか、③必要なサービスと医療情報をどう引き継ぐか、の順で確認します。2026年度改定は病院側の連携を見直しましたが、利用開始を保証する制度ではありません。家か施設かは、この3点をそろえてから決めて構いません。
2026年6月改定は、病院側の退院支援を見直した
2026年6月1日施行の診療報酬改定は、病院側が退院の難しさを早く捉え、介護側と連携する仕組みを見直しました。厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 6.入院(共通事項)」の28〜30ページで、2026年9月9日に確認しました。
介護保険制度や介護報酬の改定ではありません。病院が要件を満たした支援を行った場合の評価です。全病院、全退院患者に同じ対応が行われるとは限りません。
退院困難要因には、65歳以上、または特定疾病がある40〜64歳で、要介護・要支援の疑いがあるのに認定未申請の場合と、現在とは別の区分に該当する疑いがあるのに変更申請がない場合が加わりました。意思決定支援や退院後生活の調整で家族・親族と連絡しにくい場合も追加されました。ここまで生活側を見た点は意外です。
病院の入退院支援・地域連携部門と介護支援専門員等が共同で説明する「介護支援等連携指導料2」も新設されました。患者の同意と対象病棟などの条件があります。これは相談と連携の評価で、希望サービスの利用を約束するものではありません。
確認1 認定は未申請か、今の区分が合うか
退院後の介護で最初に確かめるのは、要介護・要支援認定の申請状況と、現在の区分が入院後の状態に合っているかです。申請書を出したかだけで終わらせません。
未申請なら、病院へ伝えます。改定資料は、65歳以上、または特定疾病がある40〜64歳で要介護・要支援の疑いがある未申請者に、居宅介護支援事業所か地域包括支援センターへの相談を促す流れを示します。認定結果より退院日が先に来る場合は、要介護認定前のサービス利用と磐田市の相談手順も確認してください。
認定済みでも、入院前より手助けが増えたなら、現在の区分で足りるかを相談します。区分変更が必ず必要とは限りません。申請書の選び方は、要介護認定の区分変更|磐田市の2様式で整理しています。
認定期間は一律ではありません。磐田市の実績は、要介護認定は何日で出る?磐田市は平均30.1日で確認できます。平均を退院日の約束に使わないことです。
確認2 病院と担当ケアマネジャー等は連絡済みか
入院前から担当ケアマネジャー等がいる場合は、病院と担当者の双方に、互いの連絡先と退院見込み日を共有したか聞きます。家族が伝言役を続ける前に、担当者同士の連絡を確かめます。
改定資料の算定要件では、入院前から担当者がいる場合、原則として入院日から7日以内に入院情報を提供し、退院が見込まれる7日前までに連絡する流れが示されています。家族が7日前までに準備を終える期限ではなく、病院の届出や患者条件で扱いが変わります。
担当ケアマネジャーがいない、誰に電話すべきか分からない場合は、親御さんが住む地区の地域包括支援センターへ相談します。二者の役割は、地域包括支援センターとケアマネジャーの違いで確認できます。
病院へは「担当者名」「連絡日」「次に誰が電話するか」を聞きます。担当名が分からなければ、退院支援の部署につないでもらいます。次の連絡を誰が持つかまで決めます。
確認3 必要な支援と医療情報を分けて引き継ぐ
退院後に必要な支援は、サービス名ではなく、困る動作と時間帯から整理します。「朝の着替え」「昼の食事」「入浴」「夜の移動」のように書けば、病院と介護側が選択肢を検討しやすくなります。
地域連携診療計画加算の対象患者で、添付が必要と判断され、本人が同意した場合、退院後の治療計画、検査結果、画像情報等を提供する追加評価も新設されました。家族は、何を、どの提供先へ、いつ渡す予定かを確認します。
介護サービスの利用可否、開始日、自己負担は個別条件で変わります。病院から情報が届いても、受入れや契約は自動で決まりません。退院当日に支援が必要なら、間に合わない場合の連絡先も決めます。
良い点は二つの見落としを拾ったこと、注文は家族用の1枚
2026年度改定の良い点は、未申請だけでなく、現在の認定区分と状態のずれ、家族・親族との連絡の難しさも退院困難要因に加えたことです。書類の有無だけでなく、退院後の生活を止める事情へ範囲を広げました。
病院と介護支援専門員等が平時から連絡先や担当者を共有する考え方も、家族の伝言を減らす方向です。患者の同意を要件に置いた点も、情報を勝手に回さない線引きになります。
その上で、家族向けには「自分の病院では誰に、何を聞くか」を1枚で示してほしいと私は考えます。診療報酬の名前や算定回数が分かっても、退院日が迫る家族の電話は楽になりません。認定・担当者・引継ぎの三欄があれば、制度の変更を生活の段取りに翻訳できます。
運営する側から言うと、退院日に行き先まで決め切らなくていい
私は大石浩之(磐田市/不動産業)です。富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役として、サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、通所介護のふじがおか見付デイサービス、訪問介護のふじがおか訪問介護センターを運営しています。住まい、通所、訪問は別のサービスで、契約も別です。
以下は体験ストックにある特定のご家族の実話ではなく、利害のある運営者としての私の意見です。退院日が決まった日に、家か施設かまで決め切らなくていい。まず三つの確認をそろえ、その後で住まいと介護サービスを別々に比べます。うちの三サービスを一組の答えとして勧めることもしません。
私の迷いは、退院を急ぐご家族に確認項目を増やすと、負担を足すように見えることです。それでも、誰が連絡するか、何が未定かを曖昧にしたまま契約を急ぐほうが危ない。今日の成果は行き先の決定ではなく、未確認の欄を一つ減らすことです。
今日できるのは、病院へ三つの質問を渡すこと
退院後の介護を準備するご家族は、病院の退院支援担当者へ渡す紙に三つだけ書きます。口頭で聞く場合も、回答と担当者名を同じ紙に残します。
- 認定・区分。申請済みか。現在の区分でよいか。相談先は誰か。
- 連絡。担当ケアマネジャー等へ連絡済みか。次の連絡は誰がするか。
- 引継ぎ。退院後に困る動作は何か。医療情報をどこへ渡すか。本人の同意を確認したか。
答えがそろわない欄は空白で構いません。その欄を病院、担当ケアマネジャー、地域包括支援センターへ持ち回ります。電話または相談フォームも選べますが、ふじがおか見付連理枝への入居、ふじがおか見付デイサービスやふじがおか訪問介護センターの利用を前提にしません。担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターに確認してください。
よくあるご質問
退院後の介護は何から始めればよいですか。
退院前に、①要介護認定の申請状況と現在の区分、②病院と担当ケアマネジャー等の連絡状況、③退院後に必要な支援と引き継ぐ医療情報を確認します。家か施設かを先に決める必要はありません。病院の退院支援担当者へ、この3項目を一つずつ尋ねてください。
要介護認定を申請していなくても退院後の相談はできますか。
相談はできます。病院の退院支援担当者と、居宅介護支援事業所または地域包括支援センターへ状況を伝えてください。2026年度改定が示す未申請者支援には年齢・疾病などの条件があり、サービス開始を保証する制度でもありません。申請、利用条件、費用は個別に確認します。
入院前と状態が変わったら区分変更を申請すべきですか。
現在の要介護・要支援区分が状態に合わない疑いがある場合は、区分変更の要否を病院の退院支援担当者、担当ケアマネジャー、市の窓口へ相談してください。2026年度改定で追加された退院困難要因には年齢・疾病の条件があります。申請の必要性は個別判断です。

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール
参考にした公式情報
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 6.入院(共通事項)」(2026年9月確認)
- 厚生労働省「厚生労働省関係の主な制度変更」(2026年9月確認)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(2026年9月確認)
この記事は2026年9月9日に確認できた公式情報をもとにした一般的な整理です。指定PDFの公表日は確認できませんでしたが、診療報酬改定の施行日は厚生労働省資料で2026年6月1日と確認しました。病院の届出、本人の状態と同意、認定、利用条件、自己負担は個別に変わります。担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターに確認してください。