磐田の数字を読む / 2026年8月31日

磐田市の高齢化率29.1%|認定率は全国より低い

壁に右肩上がりの棒グラフと、約3割ぶんをオレンジ色で示した円グラフが掛かり、その下に切妻屋根の家が横一列に並んでいるイラスト
記事の内容をもとに作成したAI生成イラストです。実在する人物・施設ではありません。

「磐田市の高齢化率って、実際どのくらいなんでしょうか」

29.1%は2022年度末の数字で、磐田市介護保険運営協議会に出た計画の案に載っています。2024年4月に確定した計画本編に載るのは28.9%(2022年3月末)。要介護認定率は磐田市15.3%で、静岡県16.6%、全国18.9%より低い水準です。時点と出典で数字が変わります。

29.1%がどこに載っているかを、先に確かめておく

「磐田市 高齢化率」で出てくる29.1%という数字には、はっきりした出どころがあります。磐田市介護保険運営協議会の2024年1月17日の会議に出された資料2、「(案)健幸いわた いきいき長寿プラン(磐田市第10次高齢者保健福祉計画・第9期介護保険事業計画)概要版」です。そこにこう書かれています。「本市の高齢者人口及び高齢化率は増加し続けており、2022年度(令和4年度)末時点で高齢者人口:約49,000人 高齢化率:29.1%となっています。」

ところが、2024年4月に発行された計画本編に29.1%は出てきません。本編で市全体の高齢化率として示されているのは28.9%で、こちらは2022年3月末時点、出典は「データで見る磐田市の健康(令和4年度)」です。同じ2022年の数字でも、年度末と年度当初で約1年ずれています。案の段階で使った数字が、確定版では別の統計に差し替わった形です。

要介護・要支援の認定者数も同じことが起きています。案には7,731人・認定率15.9%(2022年度)とありますが、確定版の推移表では2022年が7,735人・15.5%です。4人の差と0.4ポイントの差。誤差のように見えますが、統計の取り方が違うので、混ぜて引用すると数字が合わなくなります。この記事では、確定版の数字を軸に整理します。

計画値ではなく、直近の月次報告で被保険者数や認定者数を確認する場合は、磐田市の介護保険事業状況報告|2026年8月に分けて整理しました。月報の数値は暫定値なので、確定した計画統計とは同じ表に混ぜません。

私は磐田市見付で、サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターの3つを運営しています。介護サービスを売っている側なので、「磐田は高齢化が進んでいる」と書けば商売に都合がよくなります。だからこそ、数字は出どころごと並べておきます。以下は特定の利用者の事例ではなく、運営する側としての私の読み方です。

認定率は全国より3.6ポイント低い。人数にすると約1,750人分

計画本編には、要介護(要支援)認定率を全国・静岡県・磐田市の3つで並べたグラフが載っています。2022年の値は、磐田市15.3%、静岡県16.6%、全国18.9%。第1号被保険者のみを対象にした数値です。磐田市は7年連続で県と全国のどちらより低い位置にあります。

この3.6ポイントという差を、人数に置き換えます。磐田市の65歳以上は2022年で48,609人。3.6ポイントは約1,750人にあたります。うちのふじがおか見付デイサービスの定員が25人ですから、その70倍。分母は私が置いた概算なので、ざっくりの数字として見てください。

ここから何を読むかは、立場で分かれます。「元気な高齢者が多い」と読むこともできますし、「認定を受けずに家族が抱えている世帯が多い」と読むこともできます。計画本編には、この高低について評価した文章はありませんでした。数字だけが置かれています。私は、後者の可能性を無視しないほうがいいと考えています。認定申請そのものにかかる日数は、磐田市で平均30.1日でした(要介護認定は何日で出る?磐田市は平均30.1日)。1か月待つと分かっていて、それでも申請しない理由が家族の側にあるはずです。

中学校区で高齢化率は7.4ポイント開いている

磐田市は日常生活圏域を中学校区の10圏域に分けています。計画本編は圏域の考え方をこう説明しています。「本市の日常生活圏域は、中学校区の10 圏域としており、それぞれの地域の特性に合わせた取り組みを実施することが求められます。」この10圏域ごとに、高齢化率と認定率が出ています(2022年3月末時点、出典は「データで見る磐田市の健康」)。

磐田市の中学校区10圏域ごとの人口・高齢化率・要介護認定率を並べた表 磐田市の中学校区別の人口・高齢化率・要介護(要支援)認定率(2022年3月末時点)。磐田市全体は人口167,663人、高齢化率28.9パーセント、認定率16.0パーセント。第一は19,761人、28.3パーセント、17.9パーセント。神明は13,773人、26.0パーセント、15.8パーセント。城山は29,379人、25.5パーセント、15.0パーセント。向陽は10,162人、32.6パーセント、15.0パーセント。南部は18,271人、28.8パーセント、15.3パーセント。福田は17,114人、32.3パーセント、15.9パーセント。竜洋は18,262人、32.3パーセント、17.7パーセント。豊田は13,383人、27.4パーセント、15.5パーセント。豊田南は16,797人、27.6パーセント、14.1パーセント。豊岡は10,761人、32.9パーセント、17.0パーセント。高齢化率が最も高いのは豊岡の32.9パーセント、最も低いのは城山の25.5パーセントで差は7.4ポイント。認定率が最も高いのは第一の17.9パーセント、最も低いのは豊田南の14.1パーセントで差は3.8ポイント。高齢化率が2番目に高い向陽の認定率は15.0パーセントで市内で最も低い水準にあり、高齢化率の高さと認定率の高さは一致していない。出典は磐田市「健幸いわた いきいき長寿プラン」本編に掲載された「データで見る磐田市の健康(令和4年度)」のグラフ。 中学校区別の高齢化率と要介護(要支援)認定率 2022年3月末時点 出典:データで見る磐田市の健康(令和4年度) ※2026年8月31日確認 中学校区 人口 高齢化率 認定率 磐田市 全体 167,663人 28.9% 16.0% 第一 19,761人 28.3% 17.9%(最高) 神明 13,773人 26.0% 15.8% 城山 29,379人 25.5%(最低) 15.0% 向陽 10,162人 32.6% 15.0% 南部 18,271人 28.8% 15.3% 福田 17,114人 32.3% 15.9% 竜洋 18,262人 32.3% 17.7% 豊田 13,383人 27.4% 15.5% 豊田南 16,797人 27.6% 14.1%(最低) 豊岡 10,761人 32.9%(最高) 17.0% 高齢化率は豊岡32.9%と城山25.5%で7.4ポイントの開き。認定率は第一17.9%と豊田南14.1%で3.8ポイント。 高齢化率が2番目に高い向陽(32.6%)の認定率は15.0%。高齢化率の高さと認定率の高さは一致していない。 地域包括支援センターの担当も中学校区で決まる(市内7か所)。表の10圏域と担当区域は対応が異なる。
磐田市「健幸いわた いきいき長寿プラン(磐田市第10次高齢者保健福祉計画・第9期介護保険事業計画)」掲載の中学校区別グラフの数値をもとに作成した図です(2026年8月31日確認)。

言い切ります。高齢化率が高い地区ほど介護が必要な人が多い、とは言えません。磐田の数字はそう出ていません。高齢化率が2番目に高い向陽(32.6%)の認定率は15.0%で、市内でも低いほうです。逆に、高齢化率が28.3%と平均並みの第一が、認定率17.9%で市内最高になっています。豊岡は32.9%と17.0%で、高いほうと高いほうが揃っています。3つの地区で、組み合わせが全部違います。

正直に言えば、私はこの理由を説明できません。年齢構成の中身なのか、世帯の形なのか、事業所の分布なのか。計画本編にも解説はありませんでした。ここは分からないまま書いておきます。

1つだけ、自分の位置は書いておきます。うちの3つの事業所がある見付は城山中学校区で、高齢化率25.5%。市内10圏域でいちばん低い地区です。ここで毎日仕事をしていると、磐田全体の平均より若い風景を見ていることになります。数字を見ないと、自分の実感がどこにずれているかも分かりません。担当の地域包括支援センターも中学校区で決まりますが、7か所の担当区域はこの10圏域とそのまま対応しているわけではありません(地域包括支援センターとケアマネの違いに一覧があります)。

増えるのは人数より、認定率のほう

磐田市の総人口は減り続けます。計画本編の推計では、2021年の165,905人から2045年には141,533人へ。24,372人の減少です。一方、65歳以上の人口は48,399人から51,693人へ増えます。総人口のピークは2008年の176,192人でした。

注目したいのは、高齢者の人数より認定者の増え方です。2022年に7,735人・認定率15.5%だったものが、2040年には10,368人・19.9%と見込まれています。計画本編の言葉では「要介護(要支援)認定者数は増加傾向にあり、令和22(2040) 年にピークの10,368 人となる見込みです。」となっています。

この2つを、市民の人数に割り戻します。2022年は総人口165,138人に対して認定者7,735人ですから、21人に1人。2040年は総人口147,363人に対して10,368人で、14人に1人になります。分母が減って分子が増えるので、体感は数字以上に変わります。町内会や自治会の役、当番、見守り。同じ人数で回している行事が、18年後には成り立たなくなる場所が出るということです。

計画本編は、その裏側にある人の問題も書いています。「高齢者人口の増加に伴い介護サービスの需要が高まる一方、現役世代人口は減少し、サービスを支える人材の確保が重要になります。」介護保険料の基準額が何から決まるのかは、磐田市の介護保険料はいくら?基準額は月5,600円に整理しました。この認定者の見込みが、そのまま保険料の計算の材料になります。

ひとり暮らしの高齢者世帯は、15年で2.8倍になった

数字の中で、私がいちばん重く見ているのはここです。磐田市の高齢者のひとり暮らし世帯は、2008年の3,395世帯から2023年の9,489世帯へ増えました。2.8倍です。夫婦のみの世帯も3,780から8,096へ増えています。総世帯数に占める割合で見ると、ひとり暮らしが5.4%から13.4%へ。

計画本編はこう書いています。「高齢者のみで暮らす世帯(ひとり暮らし世帯・夫婦のみ世帯・その他高齢者のみ世帯)は増加傾向にあり総世帯に占める割合はこの15 年で2倍となっています。また、令和5年時点で高齢者がいる世帯のうち半数以上が高齢者のみで暮らす世帯となっています。」

同じ期間に、子らとの同居世帯は15,708から14,070へ減りました。高齢者がいる世帯に占める割合では67.6%から43.3%へ。15年前は3世帯に2世帯が同居だったものが、いまは半分を切っています。不動産の仕事をしていると、この変化は空き家の増え方と同じ形で見えます。親が施設に入るか亡くなるかしたとき、家に残る人がいない世帯が、15年前の倍以上あるということです。

良い点は2つ、注文したい点も2つ

磐田市の計画資料について、良い点から数えます。1つ目は、中学校区10圏域ごとの高齢化率と認定率を出していることです。市全体の数字だけを出す自治体は珍しくありません。圏域別まで公開してあるので、家族が自分の地区で読めます。2つ目は、全国・静岡県との認定率の比較を、自分より高い数字も含めて載せていることです。自分の市が低いことを見せる形になっていて、素直だと思いました。

そのうえで、注文が2つあります。1つ目は、案の29.1%と確定版の28.9%が別々に検索に出てくることです。市のサイトには両方のPDFが並んでいて、どちらが最新かは日付を突き合わせないと分かりません。検索から来た市民は、たいてい上に出たほうを読みます。2つ目は、認定率が全国より3.6ポイント低い理由が、どこにも書かれていないことです。数字を出したなら、市としてどう読んでいるかを1行でも添えてほしい。どちらも仕組みの話であって、担当者の努力の問題ではありません。

今日できる確認は3つ

今日、何かを申請する必要はありません。数字を自分の家に引き寄せるところまでで足ります。

1. 親御さんの家の中学校区を調べる10圏域のどこか。上の表で高齢化率と認定率を見る。同じ磐田でも7.4ポイント違う
2. 2040年に自分と親が何歳かを数える認定者のピークは2040年の10,368人。市民14人に1人。その年に自分がいくつかを、紙に書いてみる
3. 実家が高齢者のみの世帯かどうかを確かめるひとり暮らしと夫婦のみを合わせると、高齢者がいる世帯の半分以上。ここが空き家の入口になる

1つ、私が確認できなかったことを書いておきます。計画本編の認定者数の推移グラフは要支援1から要介護5までの積み上げになっていますが、介護度別の数値は載っていません(2026年8月31日確認)。磐田市で要介護3以上が何人いるのかは、この資料からは読み取れませんでした。市内の事業所数のほうは市の一覧で分かります(小規模多機能とデイサービスの違い|磐田は6か所に整理しました)。

よくあるご質問

磐田市の高齢化率は何パーセントですか。

どの資料を見るかで変わります。磐田市介護保険運営協議会に出た計画の案(2024年1月17日 資料2)は「2022年度(令和4年度)末時点で高齢者人口:約49,000人 高齢化率:29.1%」と書いています。2024年4月発行の計画本編に載るのは28.9%で、こちらは2022年3月末時点です。時点が約1年ずれています。

磐田市の要介護認定率は高いのですか。

低いほうです。計画本編の比較グラフによると、2022年の要介護(要支援)認定率は磐田市15.3%、静岡県16.6%、全国18.9%でした。第1号被保険者のみを対象にした数値です。全国との差は3.6ポイントで、磐田市の65歳以上48,609人に当てはめると約1,750人分にあたります。

これから認定を受ける人はどのくらい増えますか。

計画本編は「要介護(要支援)認定者数は増加傾向にあり、令和22(2040)年にピークの10,368人となる見込みです。」と書いています。2022年の7,735人から2,633人増える計算です。認定率も15.5%から19.9%へ上がる見込みで、2035年には10,000人・19.8%と見込まれています。

著者・大石浩之(富士ヶ丘サービス代表取締役・宅地建物取引士)の顔写真

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール

参考にした公式情報

制度・自己負担・利用条件は個別の状況と時期で変わります。ここに書いたのは2026年8月31日時点の一般的な整理です。統計は出典と基準日で数値が変わり、推計値はそのとおりになるとは限りません。ご本人の状況にあてはまるかどうかは、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、市の窓口でご確認ください。

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