防災 / 2026年8月27日

台風の前に、磐田の介護施設に確認したい4つのこと

台風の前に、磐田の介護施設に確認したい4つのことの内容を表したAI生成イラスト
記事の内容をもとに作成したAI生成イラストです。実在する人物・施設ではありません。

「台風が来る前に、親が使っている事業所に何を聞いておけばいいですか」

聞くのは4つです。業務継続計画があるか、それに沿った訓練をいつやったか、停電と断水のときにどうするか、休止の連絡は誰からどの手段で来るか。介護サービス事業者には業務継続計画の策定が義務づけられ、2025年4月からは訪問系にも未策定減算が適用されています。答えられない事業所は、その時点で1つの情報です。

2025年4月から、訪問介護も「業務継続計画未策定減算」の対象になった

介護サービス事業者は、感染症や災害が起きてもサービスを続けられるように、業務継続計画(BCP)を作ることが運営基準で義務づけられています。令和6年度介護報酬改定でこれに減算が付きました。厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」には、「感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬を減算する。」と書かれています。名称は業務継続計画未策定減算です。

ただし、すべてのサービスで同時に始まったわけではありません。同じ資料に「訪問系サービス、福祉用具貸与、居宅介護支援については、令和7年3月31日までの間、減算を適用しない」とあります。つまり訪問介護やケアマネジャーの事業所に減算がかかるようになったのは2025年4月1日からです。通所介護など「その他のサービス」も、2025年3月31日までは感染症の指針の整備と非常災害に関する具体的計画の策定があれば減算されない扱いでした。

2025年4月1日から先は、どの種別の事業所も「計画がありません」では済まなくなっています。家族が計画の有無を聞くのは無理な要求ではなく、制度がすでにそれを前提にしています。

減算率は施設・居住系が3%、通所や訪問は1%。1回あたり7単位程度

業務継続計画未策定減算の率は、種別で2段階に分かれます。厚生労働省の改定資料によれば、施設・居住系サービスは所定単位数の100分の3、その他のサービスは100分の1。対象は全サービス(居宅療養管理指導と特定福祉用具販売を除く)です。

区分減算率適用の開始
施設・居住系サービス所定単位数の100分の3令和6年4月1日
その他のサービス(通所介護など)所定単位数の100分の1令和6年4月1日(経過措置あり/2025年4月から本格適用)
訪問系サービス・福祉用具貸与・居宅介護支援所定単位数の100分の12025年(令和7年)4月1日

同じ資料は、その他サービスについて「所定単位数から平均して7単位程度/(日・回)の減算となる」と注記しています。この7単位を支払う側の数字に翻訳します。1単位10円なら1日または1回あたり70円、自己負担1割の方で7円。週2回のデイサービスで月8回なら、月56円ほどの差です。

金額としては、ほとんど誤差です。だから私は、この減算を家計の問題として見ていません。家族にとって意味があるのは、金額ではなく「その事業所が計画を持っているかどうか」のほうです。

減算されるのは事業所の取り分ではなく、利用者全員の請求

この減算は、事業所への罰金ではありません。厚生労働省の留意事項通知によれば、基準を満たさない事実が生じた月の翌月(月の初日に生じた場合は当月)から解消された月まで、当該事業所の利用者全員について所定単位数から減算されます。

所定単位数が減るということは、保険から出る額も、利用者が払う1割・2割の自己負担も、その分だけ下がるということです。備えが足りない事業所を使っているほうが、請求書はわずかに安くなります。制度の設計としてはそうなっている、という事実をそのまま書いておきます。

減算の要件は、業務継続計画を策定すること、その計画に従って必要な措置を講ずること、この2つの基準に適合していないことです。訓練や研修の定期実施は運営基準上の別の義務であり、訓練をしていない一点だけでこの減算になるとは、私が確認した資料からは読み取れませんでした。ここは断定を避けます。家族が聞くべきなのは、訓練を実際にやったかどうかのほうです。

家族が聞ける4つのこと。答え方で備えの厚みが分かる

台風シーズンの前に、通っている事業所や来てもらっている事業所に聞けることを4つに絞りました。どれも専門用語なしで聞けます。

  • 「業務継続計画はありますか」。運営基準上の義務なので、ある前提の質問です。あるかないかではなく、誰が持っていて、どこに置いてあるかまで聞けると、実際に使える形かどうかが見えます。
  • 「その計画に沿った訓練は、直近でいつやりましたか」。日付が返ってくるかどうかがすべてです。「定期的にやっています」で止まる答えと、「今年の◯月にやりました」と言える答えは、中身が違います。
  • 「停電と断水のときは、どうなりますか」。台風で最初に来るのは、建物の損傷より停電です。エレベーター、電動ベッド、吸引器、冷蔵庫。どれが止まると何が困るかは、利用者ごとに違います。
  • 「休止を決めたとき、家族にはいつ、どの手段で連絡が来ますか」。前日の夕方なのか当日の朝なのか、電話なのかメールなのか。ここが決まっていないと、家族の側が仕事を休む判断をできません。

猛暑のときに事業所へ聞くことを磐田の猛暑日、デイサービスと訪問介護の熱中症対策にまとめました。質問の立て方は同じで、預けている時間と、家に一人でいる時間を分けて考えます。

介護サービス情報公表システムでも、事業所ごとの取組状況が見られる

厚生労働省の介護サービス情報公表システム(介護事業所・生活関連情報検索)では、事業所ごとの基本情報と運営情報が公表されています。運営情報には安全管理と衛生管理の取組状況が含まれます。静岡県内の事業所は静岡県版のページから検索できます。

令和6年度介護報酬改定の資料には、「介護サービス情報公表システムに登録すべき事項に業務継続計画に関する取組状況を追加する」と書かれています。制度としては、業務継続計画の取組状況が公表の対象に加えられる方向です。ただし、実際の画面でどういう項目名になっているかは、今回私が確認した公的資料からは特定できませんでした。分からないものを分かったように書くと、探しても見つからない家族が困ります。確実なのは、事業所に直接聞くことです。

良い点を2つ数えたうえで、一事業者として注文を2つ書く

この仕組みで良いと思う点が2つあります。1つ目は、計画を作る義務に減算という具体的な結果を付けたこと。義務だけを増やしても現場は動きません。2つ目は、施設・居住系を3%、その他を1%と分けたこと。夜間も人がいる建物と、日中だけ人が来るサービスでは、止まったときの影響が違います。

そのうえで注文が2つ。1つ目は、家族の側から見える形になっていないことです。減算されているかどうかは請求明細の単位数に紛れ、備えの厚みは事業所に聞かないと分かりません。制度としては動いていても、家族が事業所を選ぶ材料にはなりにくい。

2つ目は、計画があることと、当日に動けることが別だという点です。書類の有無は確認できても、当日の判断は人がします。減算は前者しか測れません。だからこそ、家族が聞く4つのうち2つ目と4つ目、訓練の日付と連絡の手段が効いてきます。

運営する側から言うと、台風で困る順番は3サービスで違う

私は磐田市見付で、サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターの3つを運営しています。事業所に業務継続計画の有無を聞かれる立場です。以下は特定の日の出来事ではなく、運営する側としての私の考えです。

台風のときに困る順番は、この3つで違います。サービス付き高齢者向け住宅は、入居者が建物の中にいます。移動の問題は起きにくく、代わりに停電と断水がそのまま生活の問題になります。46戸で電気が止まれば、影響は一斉に出ます。

デイサービスは、送迎という移動が真ん中にあります。定員は25名。建物が無事でも、道路が使えなければ人は集まれません。通所で最初に決めるのは、建物を開けるかどうかではなく、送迎車を出すかどうかです。

訪問介護は、行けなければ何もできません。受付は月曜日から日曜日の8時30分から17時30分ですが、その時間に道路が通れる保証はありません。しかも訪問は、家に一人でいる方のところへ行く仕事です。行けない日がいちばん怖いのは訪問だと、私は思っています。

この3つを「介護施設」とひとまとめにして質問すると、返ってくる答えもぼやけます。住まいには停電と断水を、通所には送迎の判断を、訪問には行けないときの代替を聞いてください。通所と訪問の違いそのものはデイサービスと訪問介護の違いは?磐田での選び方に整理しました。

9月に入る前に、今日できる確認は3つ

気象庁の平年値(1991年から2020年の30年平均)では、東海地方への台風の接近数は年間3.5個、うち9月が1.2個で最多です。9月に入る前に、3つだけ手元で終わらせてください。

  • 事業所の連絡先と、休止連絡が来る手段をメモに1行で書く。電話なのか、連絡帳なのか、家族の携帯へのメールなのか。台風の朝に確認する話ではありません。
  • 「訓練は直近でいつやりましたか」を1回だけ聞く。クレームではなく確認です。答えられる事業所は、たいてい他の質問にも答えられます。
  • 停電したときに困る機器を、家の側でも数える。電動ベッド、吸引器、冷蔵庫の薬。家にいる時間の備えは、事業所ではなく家族の担当です。

避難そのものは磐田市の福祉避難所、直接避難はできませんに書きました。事業所の指定・指導に関わることは、磐田市の高齢者支援課事業給付グループ(0538-37-4869)が窓口です。今日、事業所を変える必要はありません。聞いた答えを1つ持っておくだけで十分です。これから施設の見学に行く方は、夜間の人数とあわせて介護施設の見学で確認したい5つのこともご覧ください。

よくあるご質問

業務継続計画未策定減算があると、利用者の支払いは増えますか。

逆に減ります。この減算は当該事業所の利用者全員について所定単位数から差し引かれるためです。厚生労働省の改定資料によれば、施設・居住系以外のサービスでは平均して1日または1回あたり7単位程度の減算です。1単位10円・1割負担なら1回7円前後で、家計への影響はごくわずかです。金額ではなく、備えの有無を示すサインとして見てください。

事業所に業務継続計画があるかどうかは、家族が調べられますか。

厚生労働省の介護サービス情報公表システムには、事業所ごとの「運営情報」として安全管理・衛生管理の取組状況が載っています。令和6年度介護報酬改定の資料には、登録すべき事項に業務継続計画に関する取組状況を追加すると書かれています。ただし画面上の項目名は今回確認できていないため、確実なのは事業所に直接聞くことです。

台風でデイサービスが休みになったら、代わりに訪問介護を頼めますか。

通所介護と訪問介護は別の契約で、事業所も別です。自動で振り替わる仕組みはありません。区分支給限度基準額の枠内で組み替えられるかどうかも含め、担当のケアマネジャーの調整になります。台風の当日ではなく、シーズンの前に「休止の判断は誰が、いつ、どの手段で連絡するのか」を聞いておいてください。

著者・大石浩之(富士ヶ丘サービス代表取締役・宅地建物取引士)の顔写真

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール

参考にした公式情報

制度・自己負担・利用条件は個別の状況と時期で変わります。ここに書いたのは2026年8月27日時点の一般的な整理です。減算の適用や単位数の扱いは事業所とサービス種別で異なり、この記事は特定の事業所の状況を示すものではありません。ご本人の状況にあてはまるかどうかは、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、市の窓口でご確認ください。

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