親を移すリフトは、つり具も含めて一式借りられるの?
介護保険では、移動用リフトの本体側(つり具部分を除く)は貸与、つり具部分は販売に区分されます。2024年4月に始まった貸与・販売の選択制の対象に移動用リフトは含まれません。身体状態、要介護度、製品の組合せ、給付条件を購入・契約前に個別確認してください。
本体は貸与、つり具は販売という区分を先に知る
移動用リフトを介護保険で検討するときは、本体側とつり具部分を分けて確認します。厚生労働省「福祉用具・住宅改修」の給付対象種目では、つり具部分を除く移動用リフトは福祉用具貸与、つり具部分は福祉用具販売です。2026年10月4日に確認しました。
「親をベッドから移すときに抱えるのが難しい」と用具を調べ始めると、リフトという一つの名前で考えがちです。しかし、同じ移乗のために使う本体と部品でも、介護保険の扱いが同じとは限りません。利用可否と自己負担は個別の条件で変わります。
| 比較する点 | 移動用リフト本体側 | つり具部分 |
|---|---|---|
| 介護保険の種目 | つり具部分を除く移動用リフト | 移動用リフトのつり具部分 |
| 給付の区分 | 福祉用具貸与 | 福祉用具販売 |
| 相談の入口 | ケアマネジャーと貸与事業者 | 販売事業者。ケアプランがある場合はケアマネジャーにも事前相談 |
| 家族が確認すること | 身体・住まいへの適合、貸与の給付条件 | 本人と本体への適合、購入方法、支給申請 |
表は介護保険の区分を比べたものです。民間の契約で一式をどう扱うかを、すべて禁止・許可する説明ではありません。「一式レンタル」という表示を見ても、つり具まで介護保険の貸与対象になると読み替えないでください。
2024年の選択制は、すべての用具が対象ではない
2024年4月1日に始まった福祉用具貸与と特定福祉用具販売の選択制は、対象の種目が限られます。厚生労働省は、固定用スロープ、歩行器のうち歩行車を除くもの、単点杖のうち松葉づえを除くもの、多点杖を挙げています。
移動用リフトは、その対象種目として列挙されていません。したがって、選択制が始まったから本体もつり具も自由に介護保険で借りる・買うを選べる、とはなりません。2026年に新しくリフトへ選択制が広がったという記事でもありません。
対象品目の考え方は、福祉用具のレンタルと購入の選択制で確認できます。本記事ではリフトの本体とつり具に絞り、選択制の一般論をそのまま当てはめないことを整理しています。
私は、選べる制度があること自体は、家族が使い方を考える材料になると評価しています。そのうえで、対象の品目を省いた「買うか借りるか選べる」という説明には注文があります。選択肢を広げる説明が、別の用具の誤解につながっては困るからです。
要支援・要介護1は原則対象外だが、確認を止めない
移動用リフトの貸与は、要支援及び要介護1では原則として介護保険の給付対象外となる種目に含まれます。ただし、厚生労働省は身体状態等によって給付対象となる場合もあると説明しています。原則だけで利用不可と断定しないでください。
例外については、要介護認定の基本調査結果に基づく判断や、市町村への申請などが示されています。どの確認が必要かを、担当のケアマネジャーと磐田市の介護保険担当窓口へ相談します。家族が困っていると言えば自動的に認められる、という制度ではありません。
逆に、要介護度だけを見て、製品の適合まで確認できたと思わないことも必要です。給付の条件に合うかと、親の身体や自宅で安全に使えるかは別の問いです。相談では両方について説明を求めます。
つり具部分の販売についても、選んだ製品や購入方法が給付の条件を満たすか確認してください。本体側の貸与に関する原則を、そのままつり具部分の販売へ当てはめて結論を出すことは避けます。
商品名より、どこからどこへ移るかを伝える
移動用リフトの相談では、親がどこからどこへ移るときに困るかを伝えます。ベッドと車いすの間なのか、別の場所への移乗なのかで、専門職に見てもらう場面が変わります。この記事は操作方法やつり具の装着方法を説明するものではありません。
- どの場所から、どの場所へ移る際に困っているか。
- 本人はどんな姿勢や動きに不安を感じているか。
- 誰が介助し、どの時間帯に手助けが必要になるか。
- 用具を置く場所と、介助する人が動く空間はどうなっているか。
- 本人は用具を使うことをどう受け止めているか。
家族が状態を証明するために、無理な抱き上げを再現する必要はありません。普段困っている場面を言葉で伝え、写真や寸法が必要なら相談先へ聞いて用意します。本人の了承なく身体や生活空間の写真を広く送ることも避けます。
本体とつり具は、組み合わせれば何でも使えるというものとして扱わず、選定時に専門相談員へ適合を確認してください。家族が別々に購入して、届いてから使い方を考える順番にはしたくありません。使用前の説明を誰が受けるかも相談します。
ベッド周りも確認するなら、介護ベッドの隙間と安全確認が関連します。ただし、ベッドの隙間を確かめたことだけで、リフトを使える空間や組合せの確認が済むわけではありません。
購入前に、見積りと申請の担当を分けて聞く
厚生労働省は、貸与についてケアマネジャーと貸与事業者への相談を案内しています。販売は販売事業者へ相談し、購入後に自治体へ支給申請する流れです。すでにケアプランがある場合は、ケアマネジャーへも事前に相談するよう示しています。
磐田の自宅で使う場合も、購入前に市の窓口へ必要書類や対象条件を確かめます。「購入後に申請する」と「購入前の確認は不要」は同じ意味ではありません。注文する前に、販売事業者の条件や申請方法を聞いておきます。
家族が見積りで確認したいのは、本体側とつり具部分の内訳、保険で扱う範囲、自己負担、保険外の費用の有無です。金額は製品や個別条件を確認して判断するため、本記事に一律の料金は載せていません。
使い始めた後の連絡先も、契約前に控えてください。貸与中の相談は福祉用具のモニタリングと家族の準備に整理しています。購入するつり具については、状態の確認や使いにくさの相談を誰が受けるか別に聞きます。
運営する側から言うと、一式という言葉で決めない
移乗の用具を検討する家族には、身体の負担と手続きの両方があります。私は、制度の分類を伝えるだけで終わらず、誰に何を確認するかまで分けて渡したいと考えます。今日できることは、困る移乗の場面を一つ書いて担当者へ伝えることです。
私は大石浩之(磐田市/不動産業)です。住まいのサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、通所介護のふじがおか見付デイサービス、訪問介護のふじがおか訪問介護センターを運営しています。住まいと介護サービスは契約が別です。
一式という見積りでも、給付まで一式とは限らない。これは運営者として、家族に先に伝えたい私の判断です。商品のまとまりと、制度の区分と、家で使えるかを分けます。用具の相談を、住まいの契約へ急いで結び付ける必要もありません。
私にも、家族の負担を早く減らしたい思いと、確認を飛ばしたくない思いの間で迷いがあります。それでも、届いた用具が使えない状態は避けたい。だから最初の相談では、購入の決断より、本人・家族・専門職で確認する順番をそろえることを勧めます。
よくあるご質問
つり具も含めて介護保険で一式借りられますか。
厚生労働省の給付対象種目では、移動用リフトのつり具部分を除くものが貸与、つり具部分が販売です。一式という商品や見積りの名称だけで、全体が介護保険の貸与対象になるとは判断できません。本体とつり具それぞれの給付条件、契約内容、自己負担をケアマネジャーと事業者へ確認してください。
要介護1ではリフトを使えませんか。
要介護1などでは移動用リフトの貸与は原則給付対象外ですが、身体状態等により対象となる場合があります。基本調査結果や市町村への申請など、必要な確認を担当のケアマネジャーと市の介護保険担当窓口へ相談してください。給付の可否と、身体・住まいへの用具の適合は別々に確認する必要があります。
つり具をネットで先に購入してもよいですか。
購入を決める前に、本人とリフト本体への適合、販売事業者や製品の給付条件、市への申請方法を確認してください。ネットで見つけた品物というだけでは判断できません。ケアプランがある場合はケアマネジャーにも事前相談します。購入後に申請する制度でも、どの購入も給付されるとは限りません。
この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール
参考にした公式情報
以下の一次情報を2026年10月4日に確認しました。
制度・利用可否・自己負担は、個別の状況や時期で変わります。本記事は一般的な整理で、個別の判断を確定するものではありません。各分野の担当窓口へ確認してください。
暮らしや介護の相談は、電話または相談フォームを選べます。入居や見学を決めてからでなくて構いません。
相談フォーム 電話で相談(0538-33-7070/9:00〜17:30)
介護の支援をどう組み合わせるかは、担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターに確認してください。