
排泄の機器を買えば、親のトイレ介助を任せられる?
排泄予測支援機器は尿量を推定して排尿の機会を知らせ、自動排泄処理装置は尿や便を吸引します。予測機器は販売、処理装置本体は貸与、交換可能部は販売の区分です。給付は本人の状態と目的により個別判断します。通知後の誘導や手入れまで、専門職と確認してください。
「知らせる機器」と「吸引する装置」は役割が違う
排泄予測支援機器と自動排泄処理装置は、似た名前でも異なる用具です。家族の支援をすべて任せる用具ではありません。この記事は2026年10月2日に確認した一般的な制度整理です。
厚生労働省の2022年の通知・Q&Aは、排泄予測支援機器を、装着して膀胱内の状態から尿量を推定し、排尿の機会を本人や介助者に通知する機器と説明しています。
自動排泄処理装置は、厚生労働省の用具の取扱い通知で、尿または便を自動的に吸引する構造の用具とされています。排泄の機会を知らせる機能と、排泄物を処理する機能を入れ替えて理解しないでください。
私は、道具の役割を分ける説明を評価します。一方、「自動」の二文字で人の仕事がなくなると思う使い方には釘を刺したい。通知を受けた後と、装置を使った後に誰が動くかが残ります。
給付は、予測機器が販売、処理装置本体が貸与
介護保険の給付対象種目は、排泄予測支援機器が販売、自動排泄処理装置が貸与です。厚生労働省「福祉用具・住宅改修」の一覧では、自動排泄処理装置の交換可能部も販売に分類されています。本体と交換可能部を同じ扱いにしないでください。
| 用具 | 役割 | 給付の区分 |
|---|---|---|
| 排泄予測支援機器 | 尿量を推定し排尿の機会を通知 | 販売 |
| 自動排泄処理装置の本体 | 尿や便を吸引 | 貸与 |
| 自動排泄処理装置の交換可能部 | 尿や便の経路となる交換できる部分 | 販売 |
取扱い通知は、レシーバー、チューブ、タンク等の交換可能部品と、専用パッドや洗浄液等の消耗品を区別しています。関連品をすべて「本体と一緒に給付」と考えないでください。必要な物の内訳と保険の扱いを、販売・貸与事業者へ確認します。
貸与の自動排泄処理装置は、尿のみを吸引する物と、それ以外の物で要介護度による原則の扱いが異なります。尿のみを吸引する物を除き、要支援・要介護1〜3は原則給付対象外と示されています。身体の状態等による例外もあるため、機器名と要介護度だけで結論を出さず、市の窓口や専門職へ確認します。
貸与と購入の選択制の説明は、福祉用具のレンタル・購入の選択制に分けています。別の種目の選択制を、排泄予測支援機器も自由に貸与できるという意味には使いません。
排泄予測支援機器は、2022年4月1日の追加
排泄予測支援機器は、2022年4月1日から給付対象に追加されました。厚生労働省の資料のPDF17ページに2022年3月31日付通知があります。2026年に新設された制度として紹介するものではありません。
通知は、排尿の機会を予測できることで、トイレで排尿することが見込める居宅要介護者等について説明しています。医学的所見による膀胱機能の確認も示されています。家族が「漏れるから必要」と言うだけで、給付が決まる仕組みではありません。
事前の確認事項には、目的の理解、装着できるか、本人や介助者が通知を理解できるか、トイレまで移動・誘導できるかがあります。通知が鳴ることと、親がトイレで排尿できることは別の段階です。
Q&AのQ8は、排泄予測支援機器が失禁をなくすものではないと説明しています。
私は、購入前に家族が知るべき事実だと考えます。困りごとが残り得る点を、期待を膨らませる前に伝えたいからです。
併用は一律不可ではないが、目的を確かめる
自動排泄処理装置を借りていることだけで、排泄予測支援機器が給付対象外になるわけではありません。厚生労働省のPDF22ページ、Q6はその点を説明しています。ただし両者を必要とする状態や目的は異なり、十分な検討が必要としています。
親がトイレで排尿する支援を求めているのか、尿や便の処理を支える必要があるのかを分けます。
Q5では、常時失禁の状態でおむつの交換時期を把握するための給付は適切ではないとしています。排泄予測支援機器の給付の目的は、トイレでの自立に向けた排泄を促すことです。「おむつの交換を知らせる用具」として制度を説明しないでください。
私は、新しい機器を使う可能性には前向きです。ただ、親の状態と目的を聞かずに二つを並べても、選べる材料にはなりません。介助のどの部分が難しいのかを専門職へ伝え、必要な支援から考える順番を勧めます。
通知後の誘導と、装置の手入れは人の役割として残る
排泄予測支援機器の通知を受ける家庭は、誰が通知を確認し、どのように親をトイレへ案内するかを確認します。厚生労働省Q8は、通知を受信する機器の扱いに慣れているか、居室からトイレまでの介助方法や時間等を確認するよう説明しています。
私は、通知が届く画面より、通知を受けた人が動けるかを先に見たいと考えます。家族が不在の時間に鳴った場合、本人が分かるか。介助が必要な親を誰が誘導するか。機器への丸投げでは、この段取りは埋まりません。
自動排泄処理装置についても、装着や交換、手入れなどの使用方法を製品の説明で確認します。この記事の挿絵は機能を考えるための概念イラストです。実製品の形状、接続方法、仕様を示す図ではありません。図を見て組み立てたり代用品を選んだりしないでください。
介助の時間をどこまで家族に求めてよいかは、私も迷います。親の希望と家族が動ける時間を分けて相談したい。道具に合わせて家族が無理をする前提にはしません。
移動やベッド周りも含めて使う場合は、介護ベッドのすき間と安全確認も参照してください。
購入前に、親の状態と試用・費用を相談する
排泄の用具を選ぶ家族は、購入前にケアマネジャーと福祉用具専門相談員へ、本人の状態、利用目的、介助体制を伝えます。給付の可否、申請に必要な情報、自己負担は個別に確認します。店で買えば自動的に保険給付になるとは考えないでください。
排泄予測支援機器の通知は、一定期間の試用を推奨しています。Q8は試用を必須要件とはしていませんが、装着や通知後の対応を確かめる意味を示しています。試用できるか、確認する内容は何かを販売事業者に尋ねます。
使い始めた後の相談は、福祉用具のモニタリングと家族の準備が参考になります。使いにくさを記録し、専門職へ伝える材料です。今日の確認は機種の決定ではなく、困る場面と相談先を一つずつ書き出すことです。
私は大石浩之(磐田市/不動産業)です。富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役として、介護サービスを運営する側であり、利害があります。ここでの提案を自社の契約を急ぐ理由にしないでください。
サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」は住まい、ふじがおか見付デイサービスは通所、ふじがおか訪問介護センターは訪問介護です。3つは別のサービスで、住まいと介護サービスの契約も別です。
便座そのものやトイレまでの移動を見直す場合は、ポータブルトイレと補高便座の違い|磐田で確認できます。
よくあるご質問
家庭で判断する前に確かめたい疑問を整理します。
おむつの交換時期を知るために給付を受けられますか。
厚生労働省の2022年Q&AのQ5は、常時失禁の状態でおむつの交換時期等を把握する目的の給付は適切ではないと説明しています。排泄予測支援機器の給付は、トイレでの自立に向けた排泄を促す目的です。商品でできることと制度の対象目的を分け、本人の状態や介助方法を専門職に伝えて確認してください。
自動排泄処理装置を借りていると予測機器は対象外ですか。
厚生労働省Q6は、自動排泄処理装置の貸与だけを理由に排泄予測支援機器を給付対象外とはしないとしています。ただし両者を必要とする状態や目的は異なり、十分な検討が必要です。併用すれば必ず給付されるという意味ではありません。親の状態と目的、介助体制をケアマネジャーや専門相談員へ伝えます。
販売の対象なら、先に買ってから申請してよいですか。
給付対象の種目であっても、購入したすべての機器に自動的に給付されるわけではありません。排泄予測支援機器は医学的所見、装着、通知の理解、移動や誘導などの確認があります。購入前に特定福祉用具販売事業者とケアマネジャーへ相談し、市の申請方法や自己負担、試用について確認してください。

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール
参考にした公式情報
次の一次情報を2026年10月2日に確認しました。
- 厚生労働省・2022年3月31日付通知と排泄予測支援機器Q&A(2026年10月確認)
- 厚生労働省「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」(2026年10月確認)
- 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」給付対象種目(2026年10月確認)
この記事は2026年10月2日確認の一般的な整理です。制度・利用可否・費用は個別条件で異なり、案内は変更されることがあります。用具の個別判断は医師や福祉用具専門相談員へ確認してください。
介護の相談は入居・契約を決める前でも構いません。電話と相談フォームを選べます。診療等の専門窓口への申込みとは別です。
介護相談フォームはこちら 電話で相談(0538-33-7070/9:00~17:30)
介護の制度・利用可否・自己負担は、担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターに確認を。