
「介護認定調査では、家族は何を話せばいいですか」
家族が準備するのは、親が調査の場で上手にできるようにすることではありません。①普段どの動作に介助が要るか、②どのくらいの頻度と手間があるか、③本人がその場で話しにくい補足は何か、の3項目をメモします。厚生労働省の令和6年4月改訂テキストは、認定調査を原則1回で行い、介護の手間を特記事項に分かりやすく記載するとしています。
認定調査は「できる・できない」だけを聞く時間ではない
介護認定調査は、申請者の状態と介護の手間を把握するための聞き取りです。厚生労働省「認定調査員テキスト2009改訂版(令和6年4月改訂)」は、認定調査の基本調査を74項目とし、能力、介助の方法、障害や現象の有無という3つの評価軸を示しています(2026年9月4日確認)。
認定調査員は、全国一律の方法で公平、公正、客観的かつ正確に調査する立場です。家族が点数を予想して答えを作るものではありません。本人が一度できた動作と、日常生活で家族がどれだけ見守りや介助をしているかは、分けて伝えます。
意外なのは、状態の説明だけでは足りないことです。テキストは、認知症による行動があるという情報だけでなく、排泄の理解が難しく家族が常に付き添う、といった具体的な介護の手間が必要だと説明しています。
準備1は、動作ごとに「普段の介助」を書く
家族が最初に準備するのは、食事、排泄、入浴、着替え、移動など、日常の動作ごとの介助です。「一人でできます」だけで終わらせず、声かけ、見守り、手を添える、後片付けまで分けて書きます。
- 本人が自分で始められるか
- 途中で声かけや見守りが必要か
- 家族が身体を支える場面があるか
- 終わった後の確認や片付けが必要か
たとえば、歩けるかどうかだけでなく、夜間にトイレへ行くときに誰かが起きて確認しているか、外出の準備を家族がどこまで整えているかを書きます。本人の尊厳に関わる内容も、調査員に伝わらなければ介護の手間として残りません。
準備2は、回数・時間・できない日の幅を残す
家族が2番目に準備するのは、介助の頻度と時間です。毎日、週に数回、夜間だけ、体調が崩れた日に増えるなど、調査日の一場面では見えない幅をメモします。
記録は、立派な表にしなくて構いません。日付、起きたこと、家族がしたこと、かかったおおよその時間を、調査前の数日から書きます。公的な判定基準を家族が計算するためではなく、「いつも」と「たまたま」を区別するためのメモです。
介護認定の審査では、一次判定だけでなく、特記事項や主治医意見書に申請者固有の介護の手間が書かれているかが扱われます。家族のメモをそのまま提出できるかは自治体の案内に従い、聞かれたときに具体例として伝えます。
準備3は、本人が話しにくい変化を先に整理する
家族が3番目に準備するのは、本人の前では話しにくい内容です。もの忘れ、夜間の対応、失敗の後始末、拒否があって時間が延びる場面など、本人が「できている」と答えやすい事柄を、責める言葉ではなく事実で整理します。
本人の体調が急に変わっているときは、無理に調査を受けるとは限りません。テキストには、急病などで状態が一時的に変化し適切な調査ができない場合は、その場で行わず状態が安定してから再設定する考え方が示されています。日程変更の要否は調査担当者へ確認します。
調査員が迷う状況を特記事項として記録し、介護認定審査会の判断を仰ぐことも、テキストにある対処方法です。家族がその場で結論を出せなくても、「この場面は説明しきれない」と伝えて構いません。
良い点は、家族の観察を判定資料につなげる仕組み
私が良いと思うのは、認定調査員だけに全ての判断を背負わせず、特記事項や主治医意見書を含めて審査する仕組みが明記されていることです。基本調査の選択だけで説明しにくい介護の手間を、補足情報として残せます。
調査員も、申請者を実際に見て情報を提供する役割です。家族が観察した場面を具体的に伝えることで、認定審査会へ情報が届く経路が一つ増えます。本人の前で話す方法や、別に伝える方法は、調査員に相談してください。
一方で、厚生労働省のテキストは調査の考え方を示す資料で、磐田市の調査日程や当日の細かな運用まで決めるものではありません。調査員の所属、連絡方法、メモの扱いは、申請先の市へ確認する必要があります。
運営する側から言うと、調査のために家族が頑張りすぎない
私は大石浩之(磐田市/不動産業)です。サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営しています。住まい・通所・訪問は別のサービスで、契約も別です。私は介護サービスを売る側なので、利害を明らかにします。
体験ストックにある特定のご家族の実話ではなく、これは運営者としての私の意見です。認定調査の日だけ家族が介助を減らしたり、親に答えを覚えてもらったりする必要はありません。調査員に良く見せるより、普段の介護で誰が何をしているかを伝えるほうが、後の支援を組みやすくなります。
私にも迷いがあります。家族が正確に話そうとするほど、本人の前で言いにくい内容が出てきます。全部をその場で話すことが難しいなら、事前に調査担当者へ「家族から補足したい」と連絡する。その段取りまで含めて準備だと、私は考えています。
今日できる確認は、3列のメモを作ること
紙を1枚用意し、左から「場面」「家族の介助」「頻度・時間」の3列を作ります。朝の着替え、食事、トイレ、入浴、外出、夜間など、思い出せる場面を一つずつ書きます。空欄があっても構いません。
申請から認定までの期間が気になる方は、要介護認定は何日で出る?磐田市は平均30.1日を参照してください。更新時期は、要介護認定の更新はいつから?磐田市は60日前に整理しています。認定結果を待つ間の相談手順は、要介護認定前のサービス利用も役立ちます。
認定調査の質問に正解を作るのではなく、普段の暮らしを伝える材料を一つ増やす。それが今日の準備です。
よくあるご質問
介護認定調査では何を聞かれますか。
認定調査では、心身の状態や日常生活の介助について聞かれます。令和6年4月改訂の認定調査員テキストは、能力、介助の方法、障害や現象の有無という評価軸を示し、基本調査は74項目です。家族は普段の様子と介護の手間を具体的に伝えます。
家族が認定調査で話してもよいですか。
家族が把握している普段の様子や介助の内容は、調査員に伝えて構いません。本人がその場でできても、日常に見守りや声かけが必要なら、頻度と場面を説明します。本人の前で話しにくい内容は、事前に調査担当者へ相談してください。
認定調査でよく見せようと練習してもよいですか。
調査のために普段と違う状態を作る必要はありません。認定調査は全国一律の方法で客観的に行うものです。できる日とできない日がある、時間帯で違う、家族の介助が続いているなど、普段の状態をそのまま伝える準備をしてください。

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
磐田市見付でサービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。介護施設の運営から不動産事業を始め、実家じまい・相続の相談も一件ずつ受けています。プロフィール
参考にした公式情報
この記事は2026年9月4日に確認できた厚生労働省の資料をもとにした一般的な整理です。認定調査の連絡方法、日程、制度、自己負担、利用可否は個別の状況と時期で変わります。申請先の市の窓口、担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターに確認してください。