
寒くなって親が水を飲みません。冬でも脱水に気を付けるべき?
冬にも水分不足は起こります。飲食と普段との体調の違いを記録し、医療者や介護先へ伝えてください。必要な水分量は持病や治療で異なり、一律には決められません。既に医師の指示がある場合はそれを優先し、飲めない状態や体調の変化は医療機関へ相談します。
冬は、汗を意識しなくても水分を失う
千葉市医師会は、冬にも脱水が起こることを説明しています。2018年2月21日の健康コラムで、喉が渇きにくく水分摂取が少なくなることや、乾燥した室内環境を挙げています。新しい発表ではなく、2026年の暖房期を迎える前に読み直した資料です。
同医師会は、皮膚や粘膜、呼気から自覚しないまま水分を失う『不感蒸泄』にも触れています。汗をかいた感じがないことと、水分が足りていることは同じではありません。水を飲むように言う前に、実際に何をどれほど口にしたかを確かめたいところです。
私は、夏の対策をそのまま冬へ移すより、生活の記録から相談する方法を勧めます。猛暑日の通所・訪問介護の記事とは季節が違います。気温の低い日に汗を目安にするだけでは、家族が気付きにくい空白が残ります。
飲食の記録は、出した量と飲めた量を分ける
家庭で水分を記録するときは、用意した飲み物と、実際に飲めた分を分けて書きます。私は、カップを置いたことを『飲んだ』に数えない記録を勧めます。家族が見ていない時間は、不明のままで構いません。
記録する欄は、時刻、飲み物や食事、飲めた様子、普段との違いで足ります。量が分かる容器なら分かる範囲で記します。正確に量れなければ『いつものカップで半分ほど』でも、空欄を推測で埋めるより役立ちます。これは診断表ではなく、相談のためのメモです。
汁物などの食事も記録しておくと、飲み物だけでは分からない情報を伝えられます。水分の合計に何を含めるかは、医療者から指示を受けている場合にはその方法に合わせてください。低栄養と体重を確認する記事と一緒に、食べられたかも別の欄に残せます。
一日分がそろわなくても、相談を先延ばしにしないでください。朝食後までは家族が確認し、その後は分からない。それも伝えるべき情報です。記録を完成させることより、誰がどの時間帯を見ていたかを明らかにするほうが、私は実用的だと考えます。
水分を増やす前に、医師の指示を確かめる
日本心臓リハビリテーション学会は、水分制限の必要性や量は状態によって異なると説明しています。重症の心不全や腎機能の問題などに触れ、全員を同じ量に制限すればよいものではないとしています。冬の脱水が心配でも、家族だけで治療上の指示を変えることは避けてください。
私は、家族が最初に確かめるのは『一日に何杯飲ませるか』より『今の指示は何か』だと考えます。指示を受けた日、内容、確認先をメモし、通所先や訪問する職員にも共有します。古い説明と新しい説明が食い違うなら、都合のよいほうを選ばず医療機関に確認します。
薬を使っている場合は、薬の情報も相談時に示せるようにしておきます。電子お薬手帳の使い方の記事を参考に、紙でも画面でも確認できる形を選んでください。薬を減らす、飲む時刻を変えるという判断を、この記録から家族だけで行うものではありません。
住まい・通所・訪問で、見ている時間をつなぐ
介護先へ飲食の様子を伝える際は、どのサービスがどの時間を見ているかを分けて確認します。住まいのサービス、デイサービス、訪問介護は別物です。同じ運営会社でも、記録や対応範囲が自動で一つになると考えないでください。
私は、朝に家で飲めた分を通所先へ伝え、帰宅時に通所中の様子を聞く、といった受け渡しを相談する方法を勧めます。事業所に既存の連絡方法があれば、まずその様式に合わせます。家族が新しい用紙を増やす前に、何をどこへ書けば届くかを聞くほうが続けやすいからです。
記録をつなぐ良さは、家族も職員も見ていない時間を区別できることです。その一方で、『こまめに飲ませてください』という依頼だけでは、量の指示や担当が曖昧です。運営側には、できる記録と引き受けられる支援を具体的に説明してほしいと私は考えます。
訪問のない時間まで職員が確認したように記録してはいけません。自宅で過ごす時間の支援が足りないと感じたら、担当ケアマネジャーへその時間帯を伝えます。記録の不足を、家族の努力だけで埋める前提にはしないでください。
私は、飲めなかった理由も残したい
私はこう考えます。飲み物を勧めたのに口にしなかったとき、『飲まない人』とだけ記すのは惜しい。冷たさが嫌だったのか、手が届かなかったのか、本人が何と言ったのか。分かったことだけ残し、理由が分からなければそう書きたい。家族を責める記録ではなく、次の相談を助ける記録にしたいと思います。これは実際の利用者の場面ではなく、運営者としての意見です。
大石浩之(磐田市/不動産業)として、富士ヶ丘サービスの代表取締役を務めています。『ふじがおか見付連理枝』という住まい、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営しています。サービスを提供する側だからこそ、記録を口実に契約を急がせたくありません。
私は、記録を細かくすれば役立つと思う一方で、家族の負担が増えることにも迷います。だから最初から完璧な一日表を求めません。本人が嫌がる方法を押し通さず、書ける時間帯と相談先を決める。その家庭に続けられる形を残したいと考えます。
今日、いつもの飲食を一度だけ記録する
今日の確認は、いつもの食事や飲み物について、時刻と口にした様子を一度書くことです。医師の水分に関する指示があるかも合わせて確かめます。量を変える相談は、その記録と指示を持って医療者へつなぎます。
千葉市医師会は、口内の粘り、だるさ、めまいなども挙げています。ただし、症状だけで脱水と決めつけることはできません。飲めない状態や普段と違う体調があれば医療機関へ相談し、意識の異常など緊急の状態では記録を続けるより救急要請を優先してください。
よくあるご質問
個別の条件を確認する前に、ご家族の疑問を整理します。
喉が渇いたと言わなければ心配しなくてよいですか?
喉の渇きの訴えだけで、水分が足りているとは判断できません。千葉市医師会は、冬は喉が渇きにくく、水分摂取が減ることも原因になると説明しています。飲食と普段の様子の違いを分かる範囲で記録し、医療者に相談してください。家族が症状だけで脱水と診断したり、記録がそろうまで受診を待ったりするものではありません。
家族全員で同じ飲水量を目標にしてよいですか?
一律の量をこの記事では示しません。持病や治療によって確認が必要で、既に医師の指示がある場合はそれを優先します。日本心臓リハビリテーション学会も、水分制限の必要性や量は状態に応じて異なると説明しています。飲み物以外の食事をどう数えるかも、記録方法を含めて医療者へ確認してください。
日中にどれだけ飲んだか分からない場合は?
見ていない時間を推測で埋めず、『不明』と書いて構いません。通所中の様子は事業所が確認できる範囲を聞き、家庭で分かる分とつなぎます。訪問介護のない時間まで確認できるとは限りません。誰がいつ見ていたかを担当ケアマネジャーへ伝え、必要な支援を相談してください。新しい契約を先に決める必要はありません。

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営しています。住まい・通所・訪問は別のサービスです。プロフィール
参考にした公式情報
以下の一次情報を2026年10月22日に確認しました。公表日・更新日と開催日は区別しています。
制度・数値・予定は変わることがあります。利用可否・自己負担・必要な支援は個別条件で異なります。医療上の判断は医師等に、サービス内容は各事業所に確認してください。
相談フォーム 電話で相談:0538-33-7070(9:00〜17:30)
運営する側からの実務の案内です。担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターに確認を。