
介護の日は、介護職員に感謝を伝えるための日なの?
11月11日の介護の日は、介護への理解を深め、利用者・家族・介護従事者を支えるための日です。職員への感謝だけが趣旨ではありません。家族自身の困りごとを言葉にし、相談するきっかけにもできます。記念日までに契約や住まいを決める必要はありません。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。富士ヶ丘サービスの代表取締役として、住まい・通所・訪問のサービスを運営しています。介護を売る側にいる私が、11月11日を利用の申し込みを急がせる日にしてはいけない。まず、その線を引いておきます。
2026年10月19日現在、介護の日まで一月を切りました。「ありがとう」を伝えるのもよいと思います。ただ、ご家族が疲れているときまで、感謝の言葉を用意する必要はありません。厚生労働省の制定時の資料を読むと、介護家族も支援の対象に含まれています。本稿は、その意味を家族の段取りに置き換える記事です。
介護の日は家族も支えるための日
介護の日は、厚生労働省が11月11日と定めた啓発の日です。2008年7月28日付の発表では、介護に関する理解と認識を深める趣旨が説明されています。支援の対象には介護従事者だけでなく、介護サービスの利用者と介護家族が入っています。地域社会の支え合いや交流を促すことも趣旨です。
日付には「いい日、いい日」という語呂合わせが使われています。覚えやすい言葉ですが、語呂の説明だけで終えると、家族が支援される側でもある点が抜けます。記念日の意味を知りたい方には、日付とともに、誰を支えるための日なのかを読んでほしいと思います。
私は、職員への感謝を伝えるきっかけとしての良さを認めます。言葉にしてもらうことで、仕事を続ける力になることもあると考えるからです。そのうえで、運営側には、家族が困りごとも言える場を用意してほしい。感謝の言葉が、苦しいという言葉を隠す幕になっては困ります。
制定の発表日と記念日を分けて読む
厚生労働省の制定資料は、2008年7月28日付の発表です。本文の注記には、同月27日の福祉人材フォーラムで発表したと記載されています。11月11日は記念日の日付であり、発表資料が出た日とは別です。2026年に新しく始まった仕組みでもありません。
厚生労働省の介護の日の案内ページには、過去の催しの情報も含まれています。過年度の掲載を見ただけで、同じ催しが2026年にも開かれるとは判断できません。本稿では、磐田市の今年のイベントや募集中の講座を案内するものとして扱いません。制定趣旨を読むことに絞っています。
私なら、催しを探す前に、家族が何を知りたいのかを一つ選びます。職員の仕事を知りたいのか、休む段取りを知りたいのか、親への声のかけ方で迷っているのか。答えを探す目的が決まると、参加しなくても調べられることと、直接相談したいことを分けられます。
感謝を伝える良さと、言えなくなる困りごと
介護の日の制定趣旨は、家族を支援の対象から外していません。厚生労働省の発表は、利用者、家族、介護従事者と地域社会の支え合いを一緒に扱っています。家族が「自分も手助けを受けたい」と相談することは、この趣旨と矛盾しません。
私はこう考えます。親の介護をする家族が、感謝できない日もある。それでも支援から外れてよい理由にはなりません。運営者である私には、自社の職員を大切にしたい思いがあります。同時に、利用者の家族が遠慮して困りごとを言わなくなるのも避けたい。お礼を言ってからでなければ相談できない窓口にはしたくありません。困っている内容から話を始めて構いません。
ただ、どんな声のかけ方なら家族が話しやすいのか、私も一律の答えを持っていません。「大丈夫ですか」だけでは答えにくい場合もあると思います。私は、困る時間帯や続けにくい作業を具体的に聞く提案をします。相談先の整理は磐田の介護ストレス相談でも扱っています。
家族の負担を相談の言葉に置き換える
家族の困りごとは、時間、作業、本人の希望に分けると相談の入り口を作れます。制度の利用が決まる前でも、何が起きているかを書き出すことはできます。以下は公的な判定基準ではなく、私が提案する相談用メモの作り方です。病状やサービスの利用可否を判断する表ではありません。
時間の欄には、朝の支度、日中の留守、夜の対応など、困る場面を書きます。作業の欄には、買い物、食事の用意、付き添いなど、続けにくいことを書きます。本人の欄には、親が望んでいることと、まだ聞けていないことを分けます。回数が分からなければ、思い出せる範囲からで十分です。
私なら、家族同士で「誰が悪いか」を書く前に、代わりの人が必要な場面を一つ選びます。全員の不満を一度に解決しようとすると、相談を始めにくくなるからです。経験を話せる場を探したい場合は、磐田市の介護者家族の交流会の参加条件を確認する方法もあります。
住まい・通所・訪問を一度に決めない
住まい、通所、訪問は、それぞれ役割も契約も異なります。サービス付き高齢者向け住宅のふじがおか見付連理枝は住まいです。ふじがおか見付デイサービスは通所介護、ふじがおか訪問介護センターは訪問介護です。住宅に住むことと、介護サービスを利用することは別の契約として考えます。
私の立場には、自社サービスを知ってもらいたいという利害があります。そのことを隠さずに言うと、相談した日に三つの利用をまとめて決める必要はありません。家族が困っている時間と本人の希望に照らし、どの役割の支援が候補になるかを確認するところから始めてほしいと思います。
例えば、日中の過ごし方の相談と、転居の相談は別々に置けます。自宅で必要な支援について聞くことも、入居の意思表示とは別です。利用条件や自己負担は個別に変わります。窓口の違いが分からなければ、地域包括支援センターとケアマネジャーの違いを先に確認できます。
今日、相談したい一文だけ残す
介護の日を前に家族が今日できることは、相談したい一文をメモすることです。11月11日まで待つ必要も、記念日に答えを出す必要もありません。私は、「夜の対応を続けるのが難しい」「親の希望をまだ聞けていない」など、自分たちの言葉で残すことを勧めます。
相談先に伝えるときは、「まだ利用するサービスは決めていません」と添えても構いません。まず話を整理したいという希望も、相談の目的になります。本人と家族の意向が違う場合は、両方を記録します。家族の希望だけを本人の希望として伝えないようにしたいところです。
運営する側から言うと、記念日に問い合わせ件数が増えることだけを成果にはしたくありません。家族が、自分たちも支援を受けてよいと分かること。そのうえで、決める材料が一つ増えること。私は、そのくらい具体的な変化を介護の日の意味として受け止めたいと思います。
よくあるご質問
相談前に確かめたい質問を整理します。個別の状況に当てはまるかは、各窓口で確認してください。
介護の日は祝日ですか。
厚生労働省が介護への理解や支え合いを促すために定めた日で、国民の祝日ではありません。日付は11月11日です。制定時の資料には、利用者や家族、介護従事者を支える趣旨が示されています。記念日だから窓口が休み、または必ず催しがあるとは判断せず、相談先や主催者の案内で個別に確認してください。
家族が相談してもよいのですか。
介護の日の制定趣旨には、介護家族を支えることも含まれています。親の困りごとだけでなく、家族が続けにくい作業や休めない時間についても相談して構いません。利用条件があるサービスの判断とは分け、まず状況を伝えてください。担当のケアマネジャーや地域包括支援センターへ、相談先を確認することから始められます。
記念日までにサービスを決める必要がありますか。
介護の日は契約の期限ではありません。記念日を理由に入居や利用を急ぐ必要はなく、本人の希望と家族が続けられる範囲を確認する材料にできます。個別の申請や予約に期限がある場合は、その手続きの案内を別に確認してください。何を決めるかが定まらない段階でも、困っている場面を一つ伝えるところから始められます。

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営しています。住まい・通所・訪問を分けて、ご家族が判断できる材料を整理します。プロフィール
参考にした公式情報
以下の一次情報を2026年10月19日に確認しました。公表時期と今回の確認日は区別しています。
制度や情報は変わることがあります。利用可否・自己負担・契約条件は個別の状況で異なります。本記事は一般的な整理であり、補償・医療・設備の判断を行うものではありません。専門の窓口へ確認してください。
相談フォームで問い合わせる 電話で相談する(0538-33-7070/9:00〜17:30)
運営する側から、契約を急がず確認できる材料をお伝えしています。介護の支援については、担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターに確認を。