
介護職員が実人数4人、常勤換算2人。親を見るのは何人?
実人数は人の数、常勤換算は勤務時間などを基に常勤の人数へ換算した数字です。実人数4人・常勤換算2人でも、常に2人がその場にいるとは限りません。職種、集計時点、兼務の有無を確かめ、親が利用する時間帯の対応体制を別に質問してください。
2026年10月の調査は、結果発表ではない
厚生労働省は2026年介護サービス施設・事業所調査について、10月1日時点の状況を回答するよう案内しています。設問によっては9月末日や9月中の情報を使います。これは調査の実施案内であり、2026年の集計結果が発表されたという意味ではありません。
案内には常勤換算従事者数の計算補助ツールが掲載されています。家族がツールを操作する必要はありませんが、人数の欄が単純な在籍者数だけではないと分かります。以前の記事で扱った全国の介護職員数の推移と、親が使う事業所の勤務体制は別に読みます。
私は、数字が新しいかだけでなく、何を数えた数字かを先に確かめたいと考えます。大きな人数を見て安心したくなりますが、母数も集計日も違う数字を並べると、比較したつもりで違うものを比べてしまいます。
実人数と常勤換算は、同じ職員を別の物差しで数える
常勤換算は、非常勤の勤務延時間数を常勤が勤務すべき時間数で割るなどして、常勤の人数へ換算する考え方です。厚生労働省の届出資料にも説明があります。実人数は人の数を表し、常勤換算には小数が出る場合があります。小数だから職員が足りない、という意味ではありません。
理解のための仮の計算例を置きます。常勤の所定労働時間を週40時間とし、同じ職種の非常勤4人が、それぞれ週20時間働く場合です。他業務との兼務や特別な取扱いがない前提なら、20時間×4人÷40時間=2人分。実人数は4人で、時間を基にした換算は2人です。自社の配置を示す数字ではありません。
この例の分母は週40時間です。40時間をすべての事業所に共通する値として使ってはいけません。2026年調査の計算補助ツールは、事業所の一週間の所定労働時間を入力し、32時間未満なら32とするよう説明しています。実際の届出では該当する制度の取扱いを確認します。
ここで言い切れるのは、常勤換算2人と『いつ行っても2人いる』は違う、ということです。勤務が重なる時間も、交代する時間も、この合計だけでは見えません。私はこの数字を、家族が時間帯の質問を始める入口として使うのがよいと思います。
人数を公開する良さと、数字だけでは見えないこと
職員数を確認できる仕組みの良さは、見学の印象だけに頼らず、質問の根拠を持てることです。私は、実人数と常勤換算を併記する情報には意味があると考えます。家族が『この数字は何を数えていますか』と聞けば、勤務体制の説明を受ける出発点になります。
一方で、人数だけで支援の質や、自分の親との相性を順位付けすることには賛成できません。親に必要な支援、利用時間、職員の役割が違えば、同じ数字でも相談すべき内容が変わります。私は運営者に、数字を大きく見せる説明より、その数字では分からない範囲も示してほしいと思います。
介護サービス情報公表システムの見方では、公開情報を確認する入口を整理しています。表示された値を書き写すときは、欄の名前と基準日も一緒に残してください。人数だけ切り取ったメモでは、相談時に意味を確かめ直すことになります。
正社員かどうか、兼務しているかも分けて読む
2026年調査の計算補助ツールの説明では、雇用形態にかかわらず、所定労働時間の全部を勤務する場合を常勤としています。正社員という呼び方と、調査でいう常勤は同じ物差しではありません。勤務形態は常勤専従、常勤兼務、非常勤から選ぶ構成です。
同じ職員が別の仕事も担う場合には、どの仕事の時間を数えたかが関わります。ツールには、その施設・事業所の当該職種での勤務時間を記す欄があります。家族は細かな計算をやり直すより、『この人数は介護職員だけですか。ほかの業務との兼務はありますか』と確かめる方法が使えます。
住まい、通所、訪問の職員数を、法人全体の人数として足しただけでは、親の利用時間の体制は分かりません。私は、住宅の説明と併設事業所の説明が一枚に載る場合ほど、どのサービスの欄か確認することを勧めます。提供体制について答えを受けた日もメモしておくと、後の相談に使えます。
私は、人数を家族の時間に置き換えて説明したい
私はこう考えます。『職員は何人です』と答えただけでは、家族が知りたいことに届かない場合があります。食事のとき、帰る準備のとき、相談したいときに誰が対応するのか。人数を、親が過ごす時間と必要な支援に置き換えて説明したい。計算を家族に覚えてもらうより、次に聞くことが一つ見える説明にしたいと思います。これは個別の相談の再現ではなく、私の意見です。
大石浩之(磐田市/不動産業)として、富士ヶ丘サービスの代表取締役を務めています。住まいの『ふじがおか見付連理枝』、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営する側です。自社に有利な一つの数字だけで、契約を勧めるべきではないと考えます。
私は、説明を簡単にしたい一方、簡単にし過ぎると勤務の違いが消えることに迷います。だから計算例には前提を添え、実際の配置を保証する数字とは分けます。自社の具体的な職員配置も、この記事の仮の人数から推測しないでください。
見学では、利用する時間帯を一つ指定して聞く
見学時にできる確認は、親が利用する時間帯と必要な支援を一つ示し、誰が対応するか質問することです。例えば食事の介助を相談したいなら、その時間の担当と、確認が必要な条件を聞きます。単に職員数を増やしてほしいという話より、必要な支援の確認につながります。
デイサービス見学で見る場所の記事も参考に、数字と現場の説明を並べてください。説明が足りなければ持ち帰ってよいのです。利用可否や費用は個別条件で異なります。人数の表示を理解したその日に、契約まで決める必要はありません。
よくあるご質問
個別の条件を確認する前に、ご家族の疑問を整理します。
常勤換算が小数なのは、人手不足という意味ですか?
小数は、勤務時間などを基に人数へ換算した結果として出る場合があります。その数字だけで不足とは判断できません。実人数、職種、兼務、集計時点、サービスの種類を合わせて確認します。本人に必要な支援を利用時間内にどう提供するかは別の質問です。この記事の仮の計算例を、事業所の基準適合の判定には使わないでください。
正社員なら、必ず常勤として数えますか?
2026年調査の計算補助ツールでは、雇用形態ではなく、事業所の所定労働時間の全部を勤務するかで常勤・非常勤を分けています。正社員という名称だけで判断しないでください。制度上の特別な取扱いや兼務の条件もあるため、実際の集計は該当する手引きで確認します。家族は表示の定義を事業所へ聞く方法で構いません。
常勤換算の数字が大きい事業所を選べば安心ですか?
数字だけで順位を付けず、同じ種類のサービス、職種、基準日の情報かを確かめてください。利用する時間帯にどの支援を受けられるかは、合計人数からは分かりません。見学では本人が必要とする介助を具体的に伝え、対応の範囲を確認します。数字と説明の両方を持ち帰り、担当ケアマネジャーと比較する材料にしてください。

この記事を書いた人:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
富士ヶ丘サービス株式会社の代表取締役。サービス付き高齢者向け住宅「ふじがおか見付連理枝」、ふじがおか見付デイサービス、ふじがおか訪問介護センターを運営しています。住まい・通所・訪問は別のサービスです。プロフィール
参考にした公式情報
以下の一次情報を2026年10月22日に確認しました。公表日・更新日と開催日は区別しています。
- 厚生労働省・2026年介護サービス施設・事業所調査の案内(2026年10月確認)
- 厚生労働省・常勤換算従事者数の計算補助ツール利用方法(2026年10月確認)
- 厚生労働省・介護保険最新情報Vol.1214(常勤換算の注記)(2026年10月確認)
制度・数値・予定は変わることがあります。利用可否・自己負担・必要な支援は個別条件で異なります。医療上の判断は医師等に、サービス内容は各事業所に確認してください。
相談フォーム 電話で相談:0538-33-7070(9:00〜17:30)
運営する側からの実務の案内です。担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターに確認を。